【20】闇に沈んだ森 前編
ーーーGGGLLLLLLL!!!
ーーーGUUuoo!!!
ーーーWOOooooo!!!
「フッ!『重力』!!」
暗闇に、風に揺れる草木に紛れながら連携して飛びかかって来た狼達から少し後ろに飛んで距離を取って時間を稼ぎ、稼いだ時間で『重力』を発動して狼達を一箇所に集め、木製の大棍棒を思いっきり振り下ろして纏めて叩き潰す。
ーーーガサガサガサ……
あー、やばい、やばいね、思ったよりやばい。どこからともなく魔物が現れては次から次へと襲いかかってくる、ペースが悪かったからって魔物を引き寄せる効果がある〈魔笛〉を使ったのは失敗だったか!?休む暇がない!
「ぐっ」
草むらから勢いよく飛び出して自らの額から生えた角で敵を刺し貫かんと迫る角兎を体を横に逸らして回避し、さらにら続け様に飛び込んで来た二匹の内一体は棍棒を盾にしてして防ぎ、もう一体は体を捻ってギリギリ角に当たるのだけは回避出来た。半歩ほど距離を取って棍棒に突き刺さって身動きが取れなくなっている個体と自分にぶつかって地面に墜ちた個体を纏めて棍棒で叩き潰し、再度突っ込んで来た最初の個体を棍棒を振り上げて力任せにかち上げる!
ーーーGuGIGI!!!
ーーーGy!Gy!
「これ無理だ、このままじゃ魔力が先に尽きる!【道具生成】」
【道具生成】で生成したのは吸魔の効果をもつ鉄製の腕輪と〈衝撃石〉。【吸魔】の効果は5m以内に居る敵から毎秒1MPを吸収というもで…この無尽蔵に敵が迫ってくる今の状態に最も適しているはずで、〈衝撃石〉はその名前から想像できる通りの効果を持っていて、どこかに叩き付けると破壊属性をもつ衝撃破が発生して周囲を吹き飛ばす使い捨てのアイテム!
腕輪を装備した直後に暗闇から飛んで来た石の礫を棍棒で防ぎ、それが飛んで来た方向に〈衝撃石〉を投擲すると一瞬の間を置いた後に雷を思わせる強烈な閃光が瞬き、それとほぼ同時に凄まじい轟音が辺りに響き渡り遅れて強風が吹き荒ぶ。
そして臆することなく〈衝撃石〉が着弾した場所に向いうとそこでは周囲の草木が全てななぎ倒されて広場のようになっており、天高くに浮かぶ中心から砕けた青、赤、紫の3つの月が放つ月光によって照らされたこの場は、この暗い森の中で一際異彩を放っていた。
せっかく貯めたポイント半分も使っちゃったけど、これで敵の視認性も良くなったし、障害物も減ったから随分戦いやすくなったはず!開けた場所だからさっきみたいな遠距離攻撃は避けにくくなるけど『重力』を貼り続けていれば殆どは無力化出来るはずだから大丈夫。
「ふ〜ッ!『重力』」
息を軽く整えて『重力』を発動し、〈衝撃石〉を警戒しているのか近付いて来ない魔物達を強引に引きずり出す、数は…五匹ぐらいか、まだ引き寄せられて来てる奴らもいるしギリギリ『重力』を維持し続けられそうだ。というか、よって来た奴ら全員『重力』に吸い寄せられて実質戦闘不能になるんだからこのまま吸い寄せられた奴らを定期的に間引きしていけば比較的安全にレベルとポイント貯められるのでは?
ーーーBUHI!!!!
そんな甘ったれた考え正すように現在の『重力』の威力では吸い寄せることの出来ない重量級の魔物…オークが木々の隙間から現れた。
「この世界のオークはゲームと同じイノシシタイプか」
現れたオークはしっかりと武装しており、武器は傭兵から奪ったのか錆び付いた槍を手にしているが防具はその2m強の背丈と恰幅のよさ故に合わなかったのかボロ布を纏うだけでのようだ。
オークが槍を掲げるとその穂先とオークの体が淡く光を帯びて…
「ッ!」
オークが槍を腰の辺りで構えてこちらに向けた、その動作に見覚えがあった自分は出来るだけ大きく横に飛んで…その直後、オークは構えからは想像も出来ないような一瞬と言っていい速度で先程まで自分が場所通過して行った。もし少しでも判断が遅れていたら自分はあの槍で刺し貫かれるか巨体に跳ね飛ばされる事になっていただろう!
「オークは確か中層の魔物…だったよな」
あのエフェクトは間違いなくスキル発動の予兆だった。ジャイアントベアと相対した時も少し思ったけど、表層と中層に難易度の差があり過ぎじゃ無いか?表層じゃ魔物ですらない普通の動物も混じっている程に低難易度な場所なのに、中層に入るといきなりスキル持ちと相対する事になると難易度急に上がりすぎだろ!
突進の勢いのまま通り過ぎて行ったオークが殺しながらこちらに向き直ろうとしているスキルを見逃さずに飛びかかって勢いのままに棍棒を叩き付けた!が、オークが振り返りざまに掲げた腕に容易防がれてしまった、そして棍棒を防いだオークの槍がまた淡い光を帯びたのが見えて慌てて転がるように回避行動を取った直後に先程まで自分がいた場所に槍が突き刺され、それと同時に無数の突きのエフェクトが現れて地面にその痕跡を残した。
うん、やばいね、今の自分が食らったら一発で致命だ。というか表層の中でも比較的浅い所で戦ってるのに中層の魔物が出てきたと言う事は、戦い始めてからかなり時間がたってそうだけど…制限時間まで後どれぐらい残ってる?ちゃんと見たわけじゃないけど月はかなり高い所にあった気がするしもう半分すぎてしまったのだろうか?今のレベルはいくつ?9には上がったか?
ーーーブォン!
横に薙ぎ払われたオークの槍を飛び上がって回避し、その直後に棍棒を投げ付けてオークがそれに対処している隙に【武器生成】を発動して、紐で繋がった鉄製の戦槌と盾を生み出す。ジャイアントベアと同じ中層出身の魔物相手じゃ木製武器じゃ攻撃力が全然足りないだろうから新たに武器を作ったけど…これで今まで貯めてきたポイントがこれで殆ど空になってしまった。
中層の魔物であるオークが居る以上、いくら〈魔笛〉を使って居るとはいえ表層の魔物は近寄って来ないだろうけど、普通に中層以上の魔物は乱入してくる可能性があるからそれらに対処しようと思うと…必要経費だったはずだ。
オークの突き攻撃を盾で逸らし戦槌をオークの持っている槍に叩き付けた、すると槍はその錆び付いた見た目通りの耐久性を持っていたらしく一撃でへし折れた。
ーーーBUMO!?
明らかに同様したら様子を見せるオーク、その隙を見逃さず槍に叩き付けた方とは逆側、戦槌の尖った面をオークに思いっきり叩き付けるとオークはよろめいてたたらを踏み、攻撃が当たった場所からは血が飛び散るが倒れる気配は無い。
「ぐぅっ!」
戦槌をフルスイングしたことによって伸びきった体をオークの拳が襲った。すんでのところ盾が間に合い、直撃こそ防げたもののしっかりと防げた訳ではなくオークのその巨体から放たれた拳はたとえがむしゃらな一撃だったとしてもとても重く…容易く手繰り飛ばされてしまった。
攻撃を盾を使って防いだにもらかかわらず殴られた左腕はかなり強い痺れを発していて力が入らなくなっており、少しの間に使い物にならなさそうだ。
先程折った槍の柄をオークが投げつけて来たのを見て咄嗟に身を低くして回避した直後、オークの全身
が淡い光を帯びてっっ!?
このタイミングであの構え、またさっきの突進だと思い、咄嗟に戦槌をアンダースロウで投げつけた!この判断が項を奏して突進を開始した直後のオークの足に命中して盛大にすっ転んだ。ズザーー!!と地面を滑ってくるオークを跳躍して飛び越えて回避、紐を引いて戦槌を回収し後は手を着いてうつ伏せのまま起き上がろうとしているオークの腕に戦槌を振り下ろすと折れ曲がってオークは再び体制を崩して倒れ、続けざまに後頭部に振り下ろすと最も多くの鮮血が辺りに飛び散り、それらは『重力』に吸い込まれて行った。
「フゥ〜さすがに疲れた、表層の魔物は離れてるはずだし一息ぐらいつけーー」
ーーーミシミシミシッ!!
ーーーGAAAOOOOO!!!
ーーーGAAUUU!!
ーーーGLoo!!
草木がへし折れる音ともに現れたるは、3匹のジャイアントベアー…どうやらまだまだ休ませてはくれないらしい。




