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神秘のベールと旅の足跡  作者: 裏虞露
【第一章】始まり
22/122

【19】お医者様

黒蓮にかざした虫眼鏡の表示のひとつ、状態の欄には《毒状態》になっているだろうという予想とは異なり《異物》と言う表示のみがあった。幸い予想していた毒の状態異常にはなって居ないようなので直ぐには死なないだろうが…しかし《異物》か、状況的には太腿に刺さった矢の一部が引き抜いた際に残ってしまったんだろうが《異物》の状態異常はゲームでは身体改造に失敗でもしない限りかかることの無い状態異常で……魔法やポーションでは解除出来ない。


「ど、どう?お姉ちゃん、大丈夫?」


「……とりあず命に別状は無いからそこは安心して良い…んだけどこの様子だと歩くのに支障がありそうだ」


「そんなっ!それじゃもう……!な、何とかならない…の?」


「この黒蓮が患っている状態異常は魔法やポーションでは治せなかったはずで…治すには特殊技術がいる」


「ど、どんな人?お医者さん?」


「間違っちゃ居ないけど、その中でも手術が出来る人が必要だったはず」


「手術??」


そう答える金華の様子から察するにこの世界では手術が一般的では無いらしい、まぁ瀕死の大怪我を追っても最下級の回復魔法で頑張れば直せる世界だし手術なんて面倒なで危険な技術が発展する訳ないよな。そういえば状態異常を解除する魔法、ポーション、スキルでは病気も治せなかったはずだけどそっちは手術と違って競合も少ない様に思うんだけどこの世界だどうなっているんだろうか?


「ど、ドーン?」


「あ、ごめん金華、手術っていうのは….今回の場合は被術者に負担を極力与えず、二次被害も出さず…患部を切り開いて原因を取り除く技術を持った人の事だね」


「それって傷付けてるよね?ほんとにそれ大丈夫なの?」


「普通はダメだから特殊技術なんだ」


「……兎に角その、手術柄できる人を見つけて来ればお姉ちゃんを助けられるってことだよね!」


「そうなんだけど…多分この街には居ないぞ」


「え」


「俺も確かめた訳じゃ無いから、もしかしたら居るかもしれないけど…金が足りないと思う。昨日ご飯を食べる為に市場に通った時に見た、それなりに数のある回復ポーションの値段が一つ金貨5枚で解毒ご金貨1枚だった事を考えると……」


「そん…な」


話を聞いた金華は少しの間理解が追いついていなかったのか呆然と立ち尽くした後、力無く崩れ落ちようとしたので咄嗟に手を伸ばしてその体を支える。


「わ、わたし、私の、せい、で……うわぁぁぁぁーーーー!!!」


「そんな事ないよ」


体を支えた自分の体に抱き着いた金華は時折嗚咽を漏らしながら感情のままに泣き叫んだ、それに込められた感情が後悔か懺悔か、あるいはその両方なのかは自分には分からなかった。今の自分には金華が落ち着く様に背を撫でながら今は気休めにもならないであろう言葉をかける事しか出来なかった。


それから暫くして泣き疲れてしまったのかいつの間に金華は意識を失っており、ひとまず空いているもうひとつのベットに金華を移動させて…この部屋を後にしようとした時に声をかけられる。


「ま、まって」


部屋を後にしようとしていた足を止め、声の方を向くと底には辛そうに体を少しだけ起こした黒蓮がいた。


「まだ安「ドーン!わ、私大丈夫だから」


「…とてもそうは見えないが」


「そんな…事はないわ、ふぅ〜見てなさい」


そう言って気合いを入れた様子で黒蓮は勢い良く体を起こして立ち上がろうと体重かけるが…


「ぐぅぅ!」


予想通り、立ち上がる瞬間は我慢出来たようだが直ぐに矢が刺さっていた方の足から体制を崩して倒れてしまったので地面にぶつかる前に捕まえて支える。


「ほら、やっぱり安静にしてないと」


「あ、あ…」


そう言って黒蓮をベットに戻し、また離れようとすると引っ張られ、そちらを見ると矢張り黒蓮が


「黒蓮どうかしたのか?」


「あ、あ、その、、弱くて、、ごめんなさい、魔法使えなくてごめんなさい、何も出来なくてごめんなさい、無能でごめんなさい、け、けど妹は、金華は、金華は!私なんかと違ってなんでも出来て優秀で…とっても優しい子だから…だから、私はどうなっても良いから!なんでもします!どうかお願いします!…金華は……」


そうこちらに縋り、慈悲をこうように言う黒蓮の顔は酷く崩れていて大粒の涙を止めどなく流しており…此処ではない何処かを見ているような気がした。


人間しかいない街に旅人でもなさそうな獣人の姉妹が…って時点で何か訳ありなんだろう事は察してたけど……ん〜


力尽きてまた意識を失ってしまった黒蓮をまたベットに戻して…少し迷った後、書き置きを残して宿屋を後にした。


《朝には帰ってくるから、おとなしく待っててね》



太陽が地平線の彼方に沈み、夜が空を制し初め時刻。街中に目を向ければ衛兵らしき人達が手を空に掲げ、金華が使っていた物と同様の物と思われる魔法を使い、街中に規則正しく光源を設置して行く作業を行っている所だった。


「ふぅー」


自分を落ち着かせ、律するように深く行きを吐く。先程の金華と黒蓮の顔が脳裏に過ぎり、街の外へと向かう足の動きが鈍くなるのを抑制する様に。別に自分は彼女達を捨てた訳でも夜逃げしているわけでもない、先程二人には言いそびれたが黒蓮の状態を回復する手段…というか算段は実はある。


本当は金華に一緒に黒蓮を治すために頑張ろう的な話をして明日から頑張るつもりだったんだけど……黒蓮のあの様子を見る限り時間はなるべくかけない方がいいような気がする。だけどそんな感覚的な話を理由に眠りについた金華を起こす起こすのは忍びないし…というわけで一人でやる事にした。


出来れば二人が起きるであろう日が昇る前には全ての事を終え起きたい。今回やるべきことは実に単純でポイントを貯めてレベルをあげる事、レベルを上げる理由はLv10になると【命の生成(クリエイトオブライフ)】のスキルが新たに使えるようになるはずだからそれが目的で、現在のレベルは詳細こそ分からないものの『重力(グラビティー)』が使える事から察するに恐らくLv8、あと二つレベルを上げれば【命の生成(クリエイトオブライフ)】を習得出来るはずだ。


そしてそれを使って手術が行える特殊技能を持たせた生き物を生成して黒蓮に手術を施させる。うん、出来るはずだ特殊技能持ちを生み出すのはかなり大量のポイントを消費するが…まぁさすがにレベルが二つも上がる頃には十分な量が溜まってるでしょ。


最初素手スタートなのが少し不安だが魔力はまだ余裕があるし……きっとどうにかなる。


そんな楽観的な希望を胸にとうに暗闇に沈んだ森を目指して足早にその場を後にした。




主人公たちのイラストと設定、現在使えるスキル等の一覧を第一話の前に追加したので気になる方は是非見てください。

次の話は7時ではなく17時に投稿します。

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