【17】不安と洞穴
周囲への影響のない『下位加速』と宣言してから指をパチンと鳴らして最後に登録と言う。そして登録出来たのかの確認の為にもう一度指を鳴らすと……
何も起こらなった。
「……はぁー」
これもダメ…いや、まだそうと決まった訳じゃない。この機能を自分は殆ど使っていなかったから登録手順を記憶違いして覚えていて、そのせい上手く登録出来なかっただけかもしれない。けどスキルor魔法名の宣言、登録したい動作をする、登録と宣言、この3つは間違いなくあったし…となると必要な手順が足りないか順番が違う?
「動作登録→動作→『下位加速』でどうだ?」
ーーーパチンッ
登録した時の動作を再現するように指を鳴らすと……正しく『下位加速』が発動した。自分の記憶能力はまだまだ捨てたもんじゃないらしい。
取り敢えず明日黒蓮の目が覚めたらこのやり方を教えて…いや、その前に金華に教えて見た方がいいか?もし黒蓮がこの方法でもスキルの初どうが出来なかったら追い討ちをかける事になりそうだし。
ジャイアントベアを楽に倒せて、それで十分なお金も貰えたからこれから順風満帆な異世界生活が始まるんだろうな〜と何となくただ漠然と思ってたんだけど……まぁリアルはそう上手く行かないよな。
そんな事を思いながら再びベットに横になり目を閉じて……次に気が付いたら時には太陽の光が窓口から差し込んでいた。
★
「ん、ん〜?はぁ…あのまま寝ちゃったのか」
めっちゃお腹すいたしとりあず飯を…て、その前に黒蓮達の様子を見に行かないと行けないな、もしかしたら寝てる間になにか起きたかもしれないし。
服装や髪型が乱れて無いか気を付けた後、部屋を出て二人が泊まっている部屋の扉をノックする……が反応は無い、結構いい時間だし起きて無いって事は無いと思うんだけど……ふむ、鍵は
「ちょっと乙女の部屋の前で何やってるのよ」
そんなことをしていると左手側からもはや聞きなれた声に話しかけられ、そっちの方向を向くとそこにはいつも撮りの黒蓮と金華の姿があった。自分はその姿に安堵感を覚えながら釈明の為に言葉を紡いだ。
「ごめん、あんな終わりだったから黒蓮の事が心配でさ」
「そう。まぁそうね、昨日は私も色々と迷惑かけたしそれでチャラって事にしてあげるわ…えっとごめんなさい」
「別に大して迷惑はかけられて無いし、そもそもこ事の発端は俺だからな、気にしてくれてるんならそれだけで十分だ」
「…ありがとう」
「金華、昨日すぐ寝ちゃってごめん。大丈夫だったか?」
「うん、結局あのとお姉ちゃん朝まで起きなかったし、全然大丈夫だったよ」
「そっか…それでこの後はどうするんだ?」
「ドーンはまだ朝ご飯を食べて無いでしょう?部屋で待ってるから先に食べて来なさい」
「わかった」
と、言うわけで2人とすれ違うように下の階におりて味の薄い朝飯を手早く食べ終えてそのまま二人の部屋へ行き扉をノックする。すると2人は居なくなっていた……なんて事は無く扉が開き金華が出迎えてくれる。
「来たわねドーン。それで今日どうするかなのだけど、私としては取り敢えず昨日と同じ流れで依頼、討伐、納品を済まして……午後は…その、スキル発動の練習に費やしたいのだけど…どうかしら」
「うん、良いと思うよ!先に進むら強いに越したことはないしね」
「俺は…黒蓮がまた頑張り過ぎなければそれで言いと思う」
「同じ失敗はしないわ。それじゃ決まりね、早速傭兵ギルドに依頼を見に行きましょ」
★
宿屋での話し合いのあと、傭兵ギルドでDランク依頼の《水の魔結晶採取》の依頼を受け、街から見て何時もとは違う方向にある森の中を歩いていた。違う方向と言っても出て来る敵が変わったり植生が変わる訳では無いから別に何時もと変わりは無いんだけど。
「これ、本当に方向あってるの?」
「ちゃんとまっすぐ進んで来たから大丈夫だよお姉ちゃん!」
金華の発言から察しの良い人には既にわかったかもしれないが今回の目的である水の魔結晶は、マジックマッシュルームとは違い固定の湧き場所…いわゆる群生地と呼ばれるものが存在しているらしく、傭兵ギルドで依頼を受けた際にその場所と道順を教えて貰えたので、その通りに進んで来たんだけど……如何せん緑豊かな森の中だ、そもそもまっすぐ勧めているのかも若干怪しい上に普通に目印として教えられたものを見逃している可能性もある。ほんとゲームではデフォルトで搭載されていたマップ機能の便利さが身に染みて分かる。やっぱり武器防具を揃えるよりも優先して便利な道具を作るべきだろうか?
「あ!葉っぱがギザギザな低木!」
「ほんとね、よく見つけたわ金華。え〜と、あ!あれね!」
今しがた金華が見つけた葉がギザギザの低木は目的である洞穴に至るための最後の目印であり、コレがあったという事は近くに洞穴があると言うことで…黒蓮が指さした方を見ると確かにそれらしい盛り上がりと亀裂があった。
「おお?思ったり広そうだよ!」
「確かに思ったよりは広いけど…武器を好きに振り回せる程じゃないわね」
「洞穴のなかにある泉や見ずの魔結晶を目当てに魔物が洞穴のなかにいることがあるって受付の人が言ってたからちゃんと気を付けて進めよ」
「そんなことわかってるわ。行くわよ」
黒蓮を先頭に自分が最後尾で陽の光が刺さない真っ暗な洞穴の中へ金華が作った魔法の光を頼りに歩を進めた。
洞窟の内部は先に言った通り森の中にある事もあってかまだまだ入口からほど近い場所だと言うのに灯りがなければ全く先が見えそうに無いぐらいに暗く、更には所々で太い木の根っこが洞穴内部に露出しており、もし灯りを持たずにこの洞穴に侵入していればこれらの木の根にぶつかったり蹴躓いて転んでしまったりしたことは間違いないだろう、もちろんそんな状態で魔物とまともに戦うなんて事が出来るはずも無し。
しかし、金華は一体なんの魔法を使っているのだろうか?金華がこれまで使っていた魔法から察するに金華は信仰系の魔法使いなんだろうけど…信仰系魔法にこんな光の珠?を追従飛行させるようなスキルがあっただろうか?
信仰系魔法は他の魔法は他の魔法と比べて少し特別で、ゲームでは信仰対象によって魔法の効力や威力が変わる使用だったけどここまで原型が無いのは初めて見たかも……いや、ちょっと待てよ?そういえばこの光何処かで見た事あるような?一体何処だったか〜
「止まって、魔物よ」




