【9】仲間
「わ、わかった…ていう俺、仲間で良いのか?最初の約束だったまともな武器も渡したし俺も魔物と戦えたから長くても明日までかと……」
「えぇ…そんな訳ないじゃないじゃん!あ……もしかしてドーンは私達と一緒は嫌…なの?」
悲しそうな声で金華はそう言った。少し前とは打って変わって耳も尻尾もしょぼくれてしまっており、すごい悲しそう。
「そんな事は無いよ、二人と仕事出来るなら…うん、俺もすごく嬉しいよ」
俺がそう言うと金華は勢い良く顔を上げ、期待に満ちた瞳でこちらを見つめていた。
「本当!?」
「うん、本当だよ。ああだけど黒蓮もそのつもりなのか?なんと言うか黒蓮にめちゃくちゃ怪しまれてるというか警戒されてるよな俺」
「それは……」
「それは?」
「多分大丈夫!お姉ちゃんはほら基本ツンデレってやつでね〜その上流されやすいタチだし、あの感じなら押せば行けると思う!比較的デレてたし」
「そ、そっか」
結構当たりきつい感じたんだけどあれでデレてる方なのか…一緒にやって行くって言ったバッカリなのにちょっと不安になってきた。
「それじゃ傷を癒す魔法を使うから、ベットにすわって?」
「わかった」
そう答えてベット縁に座りしゃがみ込んだ金華に腹を見せるように服を捲り上げしゃ直後「ーーーガチャ」と扉が開く音が聞こえた。
「借りて来たわ…ちょ、ちょっと何やってるの!?」
扉の方に振り返るとそこには手拭いと桶を持った黒蓮が顔を真っ赤にして立っていた。はて、一体なんで黒蓮そんなに顔を赤らめてるんだ?もしや自分の素肌を見て…てまさかそんなウブな分けないか、そもそも扉からじゃほとんど背中しか…………あぁなるほど。
「ドーンが受けた傷を見てるだけだよ?あ、お姉ちゃんも見てよ、ドーンこんな酷い怪我してるの隠してたんだよ!」
「そ、そう。怪我をしてたのね…うわっ……」
「ね、お姉ちゃん酷い怪我でしょ?ちょっとした怪我でも、放置ちしてたら大変な事になる事もあるんだからこんな大きな怪我なら尚のことだと思うの…だから次から我慢したりしないでちゃんと言ってねドーン?」
「分かった、次から気を付ける」
「うん!ちゃんと言ってね?それじゃ治すから…『下級回復』」
一拍置いて目を閉じ、祈るように手を合わせた金華がそう言って魔法を発動させると柔らかい光が患部を薄く覆い…それに伴って痛みが徐々に和らいで行くの感じる。
「ん〜結構あとが引いて来ましたし今日はここまでまた明日ね」
「ありがとう金華」
「んへへ、どう致しまして」
「それじゃドーン私達体を拭くから外に行ってなさい」
「…分かった、下にいるから終わったら教えてくれ」
そう言って部屋を出た自分は階段を降りて1階に向かった。記憶が正しければ受付を挟んで階段がある方の反対側にロビー…と言うか食堂らしき物があったはずだからそこで待つことにしよう。
そう言えば…ドタバタしてたからすっかり忘れていたけれど今日森で目が覚めてかまだ1度も食事をしていない、ドーンの種族故かお腹がすいた感じはしないがまぁ食べておいて損は無いだろうしせっかくだから食べようか。そんな事を考えながら食堂にはいって値段は…良かった書いてある今の所持金でも買えそうだ。
「……ふむ」
周囲から露骨に視線を感じる、姉妹と共に宿屋に入って来た時よりも数こそ減っている気がするもののその時より遠慮が無いような気がする……やはりこの格好は目立つのだろうか?まぁ確かに今の服装は見た目だけはかなり現代的…というかこの街では見かけないタイプの服だからある程度は仕方ないのかもしれない。
「あれをひとつ」
「あいよ」
眠たげな受付のおじさんに食堂に掛けてある居酒屋にあるそうな看板のさの1つを指さしてお金を支払い、適当な席に座る。
実際の所、この服装はそういう見た目装備なだけでゲームと同じなら本当に来ているのはただの布切れのはずだが……というか、レベルもスキルもアイテムも熟練度もリセットされてるのにどうして種族と見た目はそのままなんだろうか?……ああいや、違う、違うな順序的にそれはただしくない、正確には…
「はいおまたせ」
「ああ、ありがとうございます」
目の前に料理が置かれ、思考の海から浮上する。料理を置いたら直ぐに離れて行く受付のおじさんにかろうじて例を言って運ばれてきた料理に視線を下ろす。
料理は看板に書いてあった名前の通りパンとスープの二つで、パンはこの手の異世界物では定番の黒パンと言われる硬いパンでスープは……予想外な事にゴロゴロとした肉が複数入っている、てっきりこう言うのは屑野菜がメインで肉が一切れ入ってればいい方だと思っていたんだけどどうやらそんな事はないようだ、そう言えば傭兵ギルドの恒常依頼には各魔物の肉の換金レートが書かれていたし、魔物が好戦的かつ数がいることを考えると肉はそれなりに沢山手に入るのかもしれない……入ってる野菜は想像通りのものだし。
そんな事を考えながら出された食事を食べる。時間が時間ゆえかスープは冷めきったものだったがそれなりに味付けはそれなりにされているようで十分に食べれるレベルだし、硬いとよく聞く黒パンを思っていた程ではなく十分に食べられた。時間と言えば外は既に真っ暗にも関わらず、周囲に灯りらしき物が無いのにどうして明るいのだろうか?
「ドーン、次はあなたの番…ってご飯食べてたの?」
「ん、ああそうだな。….もしかしてダメだったか?」
「別にそんな事はないけど…まぁ良いわ、私達はご飯を食べたら戻るから早く拭くのよ?」
「分かった」
「あ、痛くて出来そうになかったら私が拭いてあげるから遠慮無く読んでね?」
「気遣ってくれてありがとう、でも大丈夫だよ」
そう言って食べ終えた食器を持って食堂を後にした。




