【103】カコさんとの一幕
ーーーコンコン
「はい、大丈夫ですよ」
「失礼するわ」
牢屋から去った後カコさんがいる待合室に訪れた。ルドさんも確認しているだろうから問題無いとは思うが、無事やメンタル面の確認のためだ。
カコさんは待合室の席に着いて、綺麗な姿勢で何かしらの本を読んでいたようだった。
「お邪魔だったかしら?」
「いえ、そんな事はありませんよ?気遣ってくださってありがとうございます。」
とても穏やかな雰囲気を浮かべながらカコさんはそう言い微笑む。
「席、失礼してもいいかしら?」
「もちろんです」
「それで…襲撃があった訳だけど、怪我や体調なんかの問題はないかしら?」
自分達全員が席に着いたの確認した後、黒蓮はさっそくカコさんに今回ここを訪れた理由と要件をカコさんに伝えると、カコさんはよく注意して見ていなければ分からない程に僅かに困惑しま表情を浮かべたが、それは直ぐに消えて穏やか笑みに変わった。
「ええ、ルドさんと黒蓮さんが守ってくださっておかけでなんともありません」
「それは良かったわ。けど、なにかしら不満や不安があったならなんでも教えてちょうだい。」
「不満や不安ですか?」
黒蓮に質問されたカコさんは艶かしい所作で足を組んで指を口元に寄せて、考える様子を見せた。そして数分後に何か思い付いた、あるいは思い出したのかカコさんは口を開いた。
「そうですね。お二人共とてもお強かったですし、襲撃者も丁寧処理してくださっていたので特に不満はありませんが……しいて言うならもう少し近くで守って欲しかったぐらいでしょうか」
「近くで…そうね、それら少し配置を変えて金華に私の方に来てもらおうかしら?二人ともいいかしら?」
カコさんと話をしていた黒蓮はこちらに向き直って確認してくる。
「…うん!大丈夫だよ!」
「俺も問題無い」
金華は少し考える素振りを見せた後、黒蓮の提案を元気よく了承した。自分としても、敵の強さ敵に仲間が居なくても余裕で対処可能なので一人なっても問題は無い。もちろん2人が目に見えない所で危険な目に合う言うのはとても心配だけど、二人も出会った頃と比べてかなりかなり強くなったし、さっきの襲撃者のレベルから推察するに二人だけでも十分に対処出来るはずだ。
「ならそうしましょう。カコさんもそれでいいかしら?」
「はい、私の我儘を聞いて下さりありがとうございます」
そう言ってカコさんは嬉しそうな笑みを浮かべながら深々と頭を下げた。
「いいのよ。それも私達の仕事内だし…貴方のらいぶ?はとても良いものだったもの。カコさんに私個人としても頑張ってほしいって思ったの」
「あ、私も!私も!すっごい綺麗だったもん」
「そうだな。動きも踊りも良いものだった」
「ふふ、皆さんありがとうございます」
黒蓮は少し照れくさそうにカコさんの事を褒め、それに追随するような形で金華と自分もカコさんのことを褒める。カコさんはあんなアイドルみたいな事やっているだけあって、褒められるのに慣れているらしく、褒めた黒蓮に慣れた様子お礼を言う。
「お話ってこれで終わり終わりだよね?だったお昼ご飯食べよ!」
そこで話が終わったと見たのか金華がお腹が空いた様子でそんな提案をしてくる。
「そうね。午後もまた襲撃があるかもしれないものね。まだ少し早い気もするけどお昼にしましょうか」
「生成するか?」
「いえ、実は襲撃が来る直前にルドさんから昼食にとカコさんの分も含めてご飯をもらったのよ」
そう言って黒蓮が昨日渡した薬を収納る為に一緒に渡した〈次元ポーチ〉からそこそこ大きさの箱を取り出した。黒蓮の話から察するに弁当箱なんだろうけど…少し大きいきがするけど。
「あぁ今日は置いてなかったのはそういう理由だったんですね」
「もしかしてお待たせしちゃったかしら?」
黒蓮が少し申し訳なさそうにしながら取り出した箱をカコさんに差し出し、続いて自分達の分も取り出した。
「これで全部よ」
「おっきいね!」
金華がそう言ってワクワクした様子で箱を開けると中にはロールパン二つと葉野菜に包まれた肉が二つ入っており、出来たてでは無いにも関わらず美味しそうな匂いが弁当箱から立ち上がって、食欲がそそられる。
「それじゃ食べましょうか」
ルドさんから渡されたお弁当を配り終えた黒蓮が改めて席に着いて言う。
「いや、護衛が一緒にご飯を食べ出すのはまずいだろ?」
「それは…そうだけど、あのぐらいの強さの連中なら問題ないでしょ」
「妨害だったり暗殺だったりに物理的な強さは…そこまで必要無い。油断は良くない黒蓮」
「それはそうなのだけど…」
「そんなに俺と一緒にお昼ご飯は食べたかったのか?」
「そ、そんなわけないでしょ…」
顔を顰めて、微妙そうな顔をする黒蓮にからかうようにそう言うと、黒蓮は顔を赤らめて恥ずかしそうにそう言い返してきた…いつもみたいにキツく言い返しては来ずに。
「兎に角、俺がしっかり警戒しているから三人は安心してお昼にして欲しい」
場に流れる微妙な沈黙を、押し流すようにそう言いながら黒蓮から渡された弁当箱を『次元収納』の中にしまった所で、まるで見計らったかのようなタイミングに扉がノックされた。
すると自分達が来た時同様直ぐに招き入れようとするカコさんを静止して席から立ち上がって自分が扉を開けるとそこにはルドさんがいた。
「ルドさんどうかしましたか?」
「少し時間に余裕が出来たのでドーンさんにもう1つの依頼の完遂をお願いしに来たのです」
「もう1つの依頼……そういえばアイテム生成する約束をしてましたね。しかしそれだど護衛の方が…索敵系と防御系のスキルを使えるのが自分だけなのであまり離れたくないのですが……」
「それでしたら問題ありません。今この建物にいるのは私達と私の手の者達だけですし、中にはゲームの知識を注いで育成した者もおりますので、まずい不意に事態など起こりませんし……先程の襲撃者から得た情報が確かなら今日はもう大丈夫なはずです。」
「と、いうと?」
「どうも、相手方が痺れを切らしたようでしてね?騎士団を動かして強引に終わらせるつもりのようなのです」
「そんなこと出来る……いや、やって大丈夫なんですか?」
「もちろんダメでしょうね。これでもうちの商会を懇意にしてくださっているお貴族様もいらっしゃりますからね、そうでなくともこんな禁じて中の禁じ手を使ったら間違いなく辺境伯の評判とメンツは地に落ちるでしょう。大人しく私に恭順してくれればそんな事にはならなかったに…愚かですよね?」
「その通りですね」
言動とは裏腹ににこやかな笑みを浮かべるルドさんはとても不気味……
ルドさんの言う通りプレイヤー特有と知識と力、それらを前にして敵対を選んだ辺境伯とやらは愚か者に違い無い。そうでなくてもルドさん……ユグドラシルのメンバーと敵対するなんて有り得ない。
「ちなみに一体何故辺境伯家と敵対しているのですか?貴方ほど人ならこんな事になる前に丸め込むぐらい容易かったでしょうに」
「ドーンさんよくわかっていらっしゃいますね。もちろんそれも可能でしたが、後々のことを考えるのとこの方が手間が少なくて済むからですよ。
…ちょうどいい機会ですし、せっかくだから聞きます?私の戦略を…




