【100】踊り子
屋根の上で捕まえたプロっぽい間者を捕まえ三人の居る路地裏へと戻った。
「殺さずに捕まえて来てくれたんですね」
ルドさんが自分が捕まえた間者を見ていう。
「その方が良いと思いまして」
「ええ、もちろんです。人を呼びますから彼に引渡してください」
そう言いながらルドさんがパンパンと手を叩くと路地の向こうから黒ずくめの人が現れ、捕まえた間者を手渡すと黒ずくめの人はそそくさとこの場を立ち去った。
「ドーンさんお陰で懸念事項が1つ減りましたね。それでは今度こそ護衛対象の場所にご案内行きます」
ルドさんは嬉しそうに微笑みながらそう言って来た道を引き返す。その後に続いて移動する事数分、傭兵ギルドがある大通りとは別の大通り出て、すぐの場所にそのお店はあった。
「なに…これ?」
「すっっごい派手、派手だよ!」
その店構えを見て黒蓮は動揺した様子を見せ、金華は周囲の店とは一線を画すその店構えに興奮している様子だ。
「……クラブか?」
二人のの反応も仕方がないだろう。中世風の街並みの中に、唐突にケバケバシイまでの派手装飾が施された現代風の建築物がドン!とたっているのだ。そんな事しなくても建築様式の違いがもろに出ていて目立つだろうに、そんな事お構い無しにネオン街にも無さそうな派手過ぎる装飾が所狭しと施されており、信じられない程目立っていた。
「ココです、何かに入りますよ」
予想通り、この周囲の雰囲気を完全にぶち壊す建物が護衛対象の人物がいる建物らしい。……これだけ悪目立ちした上で、上手くやってるってなったらそりゃまぁ目をつけられるだろうって感じ。
豪華な扉を開けて、建物の中に入って行くルドさんに続いて建物の中に入る。建物の中は薄暗く、入って来た扉けが閉じられると殆ど真っ暗になり……狭い通路の先から差し込む光に照らされるだけどなる。
何も言わずに先へと進むルドさんに続いて奥へと進んでいくと、奥から人の多くの人気配と音楽の音色が聞こえてくる。
「♪♪〜〜〜〜」
使われているのは、聞こえてくる音的にハープ、チェンバロ…太鼓系の打楽器だろうか?そしてらの音楽お交わるように美しくも激しい歌声が聞こえてくる。
「こっちです」
このまま先に進むのかと思っていると、ルドさんが道の中ほどで急に立ち止まると、壁と同化していた扉を押し開けてその中へ入って行った。暗闇で気が付かなかったがどうやら扉があったらしい。
ルドさんは自分達全員が中に入ったのを確認すると、今入って来た扉に鍵をかける。
「それでは、これから彼女の控え室に案内しますので、そこでしばらくお待ちください。」
そうして案内された部屋はテレビで良く見るような控え室で…メイクをするための鏡と椅子がズラリと設置されている。
ルドさんは自分達を適当な席に座らせると、護衛対象の踊り子…カコという女性を連れてくると言って部屋を退出した。
「…どうかしたのか黒蓮?」
そんな中黒蓮が妙にソワソワしていたので、どうしたのか話しかける。
「別に…いえ、なんというか、ここ、変な感じしないかしら?こう…具体的になんで変なのかは分からないけれど」
「変か……建築様式が普通の建物とまるで違って居るからそう感じたんじゃないか?」
「そう…なのかしら?」
黒蓮は得心行った様子ではなかったが納得はしたようだった。
建物の外観も内装も現代から引っ張ってきたような感じで、既存の建物とは似ても似つかないからそこに違和感や気味の悪さを感じても不思議じゃない。
その後、三人で他愛もない話しをしながらゆっくり待っていると、部屋の扉がコンコンとノックされた。入って大丈夫だと、返事を返すと扉が開かれてそこからルドさんが入ってきてそれに続いて件の護衛対象と思われる女性が部屋に入ってくる。
まず目を引かれるのはその肢体だろう。彼女は金の装飾が施された小麦色のヒラヒラしたベールの様な衣装を身にまとっているが、その生地はとても薄く全身が覆われているにも関わらず、そのグラマラスな肢体が透けて見えているのだ、さらに彼女が少し動くだけでヒラヒラの服がヒラヒラ動いて見えたり見えなかったり……うん。もちろん大事な所は透けないようになっているみたいだけどもしかしたらと思わせる、かなりのスケベ…ドスケべな衣装だ。体のムチムチ具合を強調するような装飾もあるし。
それでもそこまで卑猥な印象を受けないのは、彼女の美しくおっとりした顔立ちと、透けているとはいえちゃんと隠されえ居るからだろうか?
「「………」」
膝裏まで伸ばされたボリューミーな金髪、赤眼、タレ目
ーーーグリッ
「うっ」
そうやって彼女の事を観察していると、左右が脇腹をグリッと押し込まれる。思わずそっちの方を見ると金華と黒蓮が見るからに不機嫌そうにジト目をこちらに向けていた。
「ごめんなさい」
「はは……紹介ししましょう。この子がカコ、うちの看板娘にしてアイドルです」
「カコと申します。皆様私を護衛してくださるという事で…えぇと、よろしくお願いします」
「事前の説明通り護衛の期間は今から月影祭が終わるの四日間です。期待していますからね?」
「はぁ…まぁ任せておきなさい。私達とっても強いからきっと大丈夫よ」
黒蓮が自分の方を見ながら軽く溜息を着いたあと、カコさんの方に向き直って安心させるように近強く言う。
「彼ら…前から護衛してくださってる方から聞いています」
「彼ら?」
「…エドワードさんを護衛していた人達かその仲間じゃないか?」
カコさんがいう彼らが思い当たらなかったのか黒蓮が疑問符を浮かべているので、自分が思い当たる彼らを伝える。そういえ名前聞いたこと無かったな。
「迷惑客等は前から護衛してくれている方々に引き続き対処していただきますので、皆様は彼女の防衛と脅威の排除を優先してください。」
「了解した」
「それでは、こちらが今後の彼女の予定表です。当然部外秘なので他言は厳禁です、取り扱いにご注意くださいね」
そう言ってルドさんは懐から四枚紙を懐から取り出して差し出した。それを受け取って内容を確認してみると、どうやら一日一枚でその日の予定が記載されているようだ、時間毎に分単位でキッチリと管理されているのがルドさんの几帳面さを表しているようだった。
今日はこの後またクラブで公演を行い、休憩を挟んで昼頃に街灯で宣伝のための公演を…夕方頃まで、その後は彼女の自由時間を1時間挟んでクラブで公演…それでは今日業務が終了。と言う感じの予定のようだ。
「当然護衛は業務中だけじゃないんですよね?」
「もちろんです。むしろ仕事中よりも人の少ない帰宅や睡眠中の方が危ないでしょう。もちろん最初は人前で襲って来るでしょうが貴方たちの強さと残り時間を考えると案外早くそっちも来るでしょうね。」
「なるほど…ちなみに元凶潰しに行くのはダメなんですか?」
「そうですね。ダメではありませんが敵は連合ですから、今のトップ…領主である伯爵を潰しても別の者が上に着くだけです。そもそも物理的に潰すのは外見が悪いですし…まぁ月影祭を成功させられれば勢いが弱まるでしょうし、そう出なくても解散させるぐらい容易です。」
「それなら、護衛期間が終わった後の彼女の身の安全を心配しなくても大丈夫そうね」
黒蓮はルドさんの説明を聞いて安心した様子で言う。
自分はそこまで考えが及んで無かったけど、確かに自分達の護衛期間中に彼女の命が狙われている問題が解決できなかった場合、その隙を付いて殺されるのは何もおかしくない。
「それでは四日間、カコさんの事をよろしくお願いしますね」




