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神秘のベールと旅の足跡  作者: 裏虞露
商人と月影祭
102/122

【99】依頼の開始

翌朝…天気は快晴、風も強く無いし気温も適温。とても過ごしやすい気候だ。こんなは日はついゆっくりしたくなるが、今日は依頼を受ける日だ。


ダンジョンで朝食を食べた後、三人で街に戻って早速傭兵ギルドの中に足を踏み入れた。早朝と言うこともあってかギルド内はむさ苦しいまでに人でごった返しており少々息苦しい感じがする。


ルドさんの話が本当ならばもう既に旅の軌跡団宛の指名依頼が来ているはず。


「…結構並んでるわね」


と、こぼした黒蓮の言う通り。そこそこ居る受付には依頼書を持った人の長蛇列が出来ており、折角早く来たのにかなり待つことになりそうだ。


「すみません、旅の軌跡団の方ですよね?」


そんな事を考えていると人混みの中から声をかけれた。声の主の方へと視線を向けるとそこには昨日傭兵ギルドで登録した時に対応してくれた受付嬢が遠慮がちに自分達に話しかけてきていた。


「そうだけど…なんの用かしら?」


「ルド商会から指名依頼が来ています。詳しい話は個室の方で行いたいと思うのですがよろしいですか?」


「もちろん構わないわ」


「わかりました、ではこちらに」


ルドさんとの約束通りルド商会から指名依頼が入って来ているようだ。受付嬢は了承を確認すると着いて来るように促して階段のある方に向かって歩き出し、人混みに気を付けながらその後を三人で追った。


受付嬢に案内されるままに階段を上り、部屋に通される。通された部屋は傭兵ギルドらしい質実剛健な感じが前に出ているが、外部の物も来るのか装飾品もそれなりに置かれいる。


「こちらにお座りください。」


受付嬢に促されるままに、革張りのソファーに金華、黒蓮、自分の順番で席に着いたのを確認した受付嬢は対面の席に座り、カバンから依頼表らしき紙を取り出した。依頼表には月影祭護衛依頼とタイトルが記されており、その下には依頼の詳細が記載されていた。


掻い摘んで依頼書の内容を説明すると。タイトルが月影祭護衛依頼。依頼内容は商会長のルドが指定する対象を月影祭完遂のためにあらゆる脅威から守り抜く事。報酬は最低金貨百枚、襲撃者の規模や強さに応じた追加報酬あり。その他作業報酬については要相談。期間は月影祭終了まで。


と、言った感じの内容だ。


だいたい商会でルドさんが言っていた内容と同じ依頼内容だし特に問題はないように見える。


「ひゃ、百」


黒蓮に大丈夫そうだと、目配せしようとの方をみると黒蓮は金貨百枚に驚いていた。


「この依頼、俺は受けていいと思うぞ黒蓮」


「あ、そ、そうね。この指名依頼受けることにするわ」


「……よろしいのですか?あのルド商会からの依頼ですよ?噂はご存知ですよね?」


「噂?」


そういえば、ルド商会について情報を集めるの忘れたままだったな。


こちらのそんな様子に、受付嬢は我が意を得たりと言わんばかりに笑みを深めると、つらつらと噂について語り出した。


「えぇ……旅の軌跡団の方々ら旅の方の様なので詳細は省きますが、どこどこの商会の荷馬車がルド商会の手先に襲撃されただとか、とある村で商品を無理やり買い叩いたとか、そう言う噂です!」


「えぇ?彼、そんな事していたの?」


「黒蓮…」


受付嬢の言う噂に半信半疑ながらも、まだ話を聞く体勢の黒蓮。このまま放って話を聞き続けていたら黒蓮が流されて「やっぱりこの依頼受けるの辞めましょう」とか言い出しそうだしここは話を多少強引にでも辞めさせるべきなはずだ。


少しだけ身を乗り出して受付嬢の話を聞く黒蓮の肩を掴んで優しく引き戻しつつ、依頼書を回収する。


「っど、ドーン?」


「お気遣い大変ありがたいのですが…申し訳ありません我々、既に先方のこの依頼を受けると約束通りしてしまっておりましてね?色々なものの兼ね合いでこの依頼を受けないという出来ないのです」


「そう、でしたか。でしたら…しかありませんね」


「はい、仕方ありません」


自分と会話中、黒蓮と会話していた時とは対象的な攻撃的な雰囲気の笑みを浮かべる受付嬢。まぁ貴族と敵対してるって話だし、ギルト職員ぐらい抱き込まれてても何も不思議じゃないし。


「なに、我々はとても強いので心配いりませんよ。それじゃ行こう」


そう言って席を立ち、部屋を後にする。黒蓮は少し戸惑っている様子だったが何を言うでもなく、着いてきてくれた。そうして三人で部屋を出て階段をくだり傭兵ギルドの1階に戻ってくるとそこではフードを目深に被った細身の男が待ち構えいた。


「お待ちしていました、それでは行きましょうか?」


男は周囲の喧騒に飲まれて今にも消えてしまいそうなか細い声で…しかし自分達と会話するには十分な声量でいきなりそんな事を言い出した。


「ルドさんですよね?」


自分が周囲に気取られないように気を付けて小声で目の前のフードの男にそう問いかけると、男は口元で指をいっぽん立てた後にゆっくりと頷き、振り返るとそのまま傭兵ギルドの外に出て言ってしまった。


「行くぞ」


「え、ええわかったわ」


「うん!」


話の流れに全然着いてこれていさそうな黒蓮を促しながらルドさんの後を着いて傭兵ギルドの外に出てその後を追って中央通りを少し歩いたあと路地裏方へと入って行く……そうして行き止まりにたどり着くとルドさんはくるりとこちらに振り返った。


「ここが目的地なのかしら?踊り子がいるにしては随分と薄暗い所だけど」


黒蓮がそう疑問をていするがルドさんは何も返さずただ無言で見つめ返してきている。


「もしかしなくても後を付けられてます?」


そういいながら自分も振り返って背後に広がる路地裏に目見やっても誰も居ない、しかし……【魔力探知】【生命探知】に一つ反応がある。個体識別が出来るほどの熟練度に自分の【魔力探知】【生命探知】は到達していないけど、周囲の反応よりあからさまに低いのがずっと着いてきていればさすがに判別が着く。


踊り子ってことは店に居るんだろうし、道が一緒の人が居てもおかしくないだろうと思ってたんだけど、どうやらそういうのじゃなかったらしい。


「ちょっと行ってくる」


二人にそう告げて『空間転移(テレポート)』で怪しい反応が場所に直接転移すると、屋根の上から自分達がいた路地裏を伺っている男がいた。服装は間者やスパイなんかが着ているイメージがある黒い服ではなく、何処にでも居そうな一般的な服装で顔付きも特筆すべき所の無いが……


「しっっ!!」


男は先程まで遠くいたはずの自分が真後ろに突然現れたにも関わらず驚いた様子も見せずに、即座に振り返りながらナイフを自分目掛けて振り回してきた!


急な攻撃に自分は動揺したが…しかし悲しいかな、レベル差、種族差によってもたらされるステータスの差は圧倒的であり、動揺した上で余裕を持って敵のナイフを躱し、反撃でナイフを振るう敵の腕を素手でへし折り、そのままもう片方の腕もへし折る。


「っ!」


敵は痛みをこらえる様な表情をしながらも。それを行動に移して痛がる事もなく口を大きく開けた。最初るなにか呪文で言うのかと思ったが、敵が開いた口の中で光の反射によって一瞬だけキラリと光った物によって、それがすぐに間違いだと気が付かされた。


こいつ、自殺しようとしている。


間者が勝ち目がない、逃げられないと悟った時に自殺するための道具を口内に仕込んでいるのはテンプレ中のテンプレだ。


……汚いけど仕方ないな。


大きく開いた口の中に手を突っ込んで敵の口内にある異物を引き抜く。どうやら歯と接合されていたらしく歯が根元から抜けてしまったが…ふむ、これは…ゴムか?中に液体が入ってるがこれは普通に毒薬かな?


そんな事を考えながら、覆面越しでも分かるほどに目に見えて驚愕している敵を…情報収集に必要かと思い死なない程度にボコって三人のいる路地裏に戻った。



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