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エピローグ

 3月14日。ホワイトデー。

 今日は、バレンタインのお返しを渡す日だ。


 今年の俺のバレンタイン戦績は、母親とカノジョから計2つ。


 中学時代は、母親のみだったことを考えれば飛躍の年と呼べるだろう。


 カノジョと表現したが、付き合い始めたのはチョコをもらった後になる。

 紆余曲折があったが、彼女……初音こよりと交際することを決めた。


 思い返せば、当初の俺の彼女に対する態度はひどいものだった。

 勝手に誤解して、冷たい態度を取っていた。それでも果敢に諦めず、俺に好意をぶつけてくれたこより。


 それなのに俺は、こよりではない別の女の子……あろうことか、こよりの姉に恋愛感情を抱いたのだ。こよりの精神が壊れるのは当然の流れだったと思う。


 俺は彼女を深く傷つけてしまった。だからその責任を取っていこうと思う。


 あ、責任なんて言葉を使うと、義務感で付き合っていると思われるかもしれない。でもそれは違う。こよりとの交際は俺も楽しい。どうして紗香を好きになったのか忘れるくらい幸せな時間を過ごしている。


 多分、恋を自覚したタイミングがおかしかっただけなのだ。

 そもそも俺はあの時、看病してくれているのはこよりだと思っていた。それが結果的に紗香だったから脳が混乱しただけで、俺は間違いなく初音こよりという女の子に惹かれていた。


 自分で言っていてよくわからなくなってきたが、とにかく俺はこよりが好きってことだ。


 話は戻すが、本日はホワイトデー。

 マシュマロ等の食べ物でお返しするのも考えたが、俺はデートをプレゼントすることにした。


 遊園地のチケットからなにやらと準備は万端だ。


 今日は最高のデートにしてやるからな! 


「あれ、もう来てたんだ。待たせちゃった?」


 待ち合わせ時間より10分は余裕を持ってきたが、既にこよりが着いていた。


「えへへ、デートが楽しみすぎて早く着いちゃいました」


「そっか、絶対満足させるから期待してろよ」


「うん。期待してる。期待通りじゃなかったら許さないからね」


 俺の隣にやってきて、腕を絡めてくるこより。


 彼女は時折、姉である紗香の真似をする。

 敬語だったり、くだけた喋り方だったり、たまに博多弁が出てきたり統一感はまるでない。でもそれが、初音こよりという女の子であると俺は認識している。


 ……そう、そのはずだ。


 俺は何度も騙されてきた。

 何度も何度も、騙されてきた。


 だからだろうか、たまにふと余計な思考が生まれてしまう。


 今、俺の隣にいるのは本当にこよりなのか、と。


 でも俺には初音姉妹を見抜く術はない。まぁもっとも、あれから紗香とは接触していないし、こよりに成り切ってくるとは思えないけどな。


「どうかしたと? ナイトくん」


「ううん、なんでもないよ」


 余計な思考を抱いたせいか、こよりが心配してくる。


 こんな風に俺の些細な変化に気づいて心配してくれるのは、こよりに決まってる。ったく、なに変なこと考えてんだかな……。


 自嘲しながら、デートの場所へと足を運んでいく俺なのだった。


【完】

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― 新着の感想 ―
[良い点] ホラーチックで終わって草 [気になる点] 結局、こよりが何で好きになったかとかよくわかんなかったような気がする
[一言] ホラーかな?
[気になる点] >「どうかしたと? ナイトくん」 まぁ、付き合って1ヶ月あったら名前呼びに変えるわな。 それとも…? [一言] ワイはラブコメやと思う。
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