妹への告白
パンクラトフに戻った日の夜のことだ。ひとつのベッドで一緒に横になっていたルークとロベリア。闇の中でロベリアが囁いた。
「ねえ、お兄様?」
ルークはまだ眠っていなかった。「どうした、ロベリア?」
「ミンツェとお兄様は親しいの?」ロベリアは、訊いた。
ルークはこの質問が来ることを予期していた。妹が生まれてからずっと一緒に暮らしてきた。今さら、自分の気持ちを彼女に偽ることはできない。
「ああ。僕は以前、彼女と任務を一緒に成し遂げた。ロバートやジェームズも一緒だ。スクラッパーの中で彼女が一番歳が近くて、接しやすかった。そこで仲良くなった」ルークは正直に話した。「そしてこの前、一度キスをした」
「思い合っているのですか?」
「そうだと思う。彼女は、僕らと同じアバスカルの傭兵だったんだ」
「その話は私も聞きましたわ」ルパートをパンクラトフへ連行している道中で。
「部隊は違ったようだけど、僕らとミンツェは味方同士だった。彼女は先に敗走し、ガルシアに逃げ延びて《イングリッドの涙》に加入したんだ。だから僕は関心を持った。そして彼女は……、すごく可愛いんだ。心を惹かれるくらいに」
「お兄様は……、まだシーラのことを忘れられないと思っていましたわ」
「確かに、僕の心にはまだ彼女が生きている」戦死したかつての恋人の面影が。「だけど、人は前に進まなきゃいけない生き物なんだと思う。ミンツェに彼女を重ねていることは認めるよ。だから少しだけ、このまま距離を詰めるのを躊躇っている」
「私は、お兄様を信じています」ロベリアがいった。「幸せな選択をすることを。ミンツェを好きなら、私やシーラを気にしないで。自分の本当の気持ちがわかったら、教えてください。そして彼女に伝えて」
「ありがとう、ロベリア」
「おやすみなさい、お兄様」
そこで会話は途切れた。
眠りの中で、ルークは夢を見た。僕はひとりの少女を抱きしめていた。その顔が誰なのか、起きたときには思い出すことができなかった。




