表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の姫君と巫女  作者: 剣持真尋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/89

エテルの猛獣


「失礼な態度を取った俺を許してくれ」ルパートが、命の恩人であるルークたちに礼をいった。「俺と商品を護ってくれてありがとう」


「依頼主を助けるのは当然ですわ」ロベリアが少し誇らしげにいった。「《イングリッドの涙》は、全員精鋭の戦士ですのよ」


「ルーク、死体を埋めてくれないか」ミンツェが願った。片腕の彼女ではそれを行うのは難しいだろう。


 シャベルがない代わりに、ミンツェが「穿孔トゥレパネイション」の魔法を行使して、地面に大穴を掘った。


 ルークが男の死体をそこへ投げ入れようとしたとき、懐から何かが落ちた。


「ちょっと待ってくれ、ルーク」ミンツェが小さな塊を拾った。それは銀の徽章エンブレムだった。「これは、まずいぞ」


「その装飾に見覚えがあるのか、ミンツェ?」


「ああ」ミンツェは頷いた。「これは《エテルの猛獣》の証だ。パンクラトフにあるギルドのひとつだよ」


 ルークが他の死体も検めると、襲撃者の全員がその徽章エンブレムを所持していた。


「ギルドのメンバーが盗賊をしたのですか?」とロベリア。


「そのとおりだろう。だがそれは、誰かの依頼であるはずだ。彼らはルパートの馬車を、最初から狙って襲撃したんだよ」


「心当たりはありますか、ルパート?」ルークが訊いた。


「いや、さっぱりわからんな」


「ルパート、君はやけに筋肉質だな」ミンツェがそう指摘した。「まるで戦士みたいな体つきだ。実は君自身、相当強いのではないか?」


「…………」


 それはルークもロベリアも気がついていた。逞しい肉体もそうだが、何より身のこなしが、訓練された人間のものだったからだ。


「君は、本当にただの商人か?」


「ちくしょう!」ルパートは腰の剣を抜くとミンツェに斬りかかる。


「おっと」ミンツェもすでに抜剣していた。


 ふたりが剣戟を交わす。だが、圧倒的な技量の差があった。ミンツェの剣が、ルパートの剣の腹にあたり、真っ二つに折る。


「生憎私は傭兵崩れでね」彼女がルパートの喉元に剣を突きつける。「そのへんの盗賊なら赤子の手を捻るように殺せるんだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ