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竜の姫君と巫女  作者: 剣持真尋


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行商人の警護


「一体何の冗談だ?」行商人ルパート・モルダーは、高い金を払って雇った護衛が、三人の少年少女だと知って呆れた。しかもその一人は、隻腕だった。「こんな餓鬼共に、ダイヤを運ぶ馬車の護衛が務まるわけがない。盗賊が来たら真っ先に殺されるか、俺を置いて一目散に逃げてしまうだろう」


「なんですって?」ロベリアが青筋を立ててジョセフィア・メイヴァーを抜刀する寸前で、ルークが止めた。


 ルパートは怯んだが、三人を侮蔑するような態度は崩さない。「その短気。精神が未熟な証拠だろう。おまけに女だ。片腕のそいつも役に立たん。お前の身体も貧弱じゃないか」ルークにいった。「ギルドに人員の交代を要請する」


 そのときミンツェが、人差し指を空に突き上げた。ぽかんとする依頼主に、「ルパート君、見てくれ」というと、小声で囁いた。「雷鳴サンダー


 晴れ渡った空に突然、巨大な亀裂が生じ、雷鳴が轟いた。霹靂に市民が驚き、誰もが空を見上げた。


 ルパートも同様だった。「お前がやったのか?」


「今のは指向性を持たせなかったが、敵に直撃したらどうなるだろうね」ミンツェはにこりと笑いかけた。「そこに積んであるダイヤモンドだって、砕けないことはない」


 半ば脅迫だったが、ルパートは唾を飲み込んで、最終的には三人を護衛として認めた。特に、ルークを馬鹿にしたような態度を取ると、ロベリアの特大の殺気が発せられて、パンクラトフを出る頃には大人しくなってしまった。



 ミンツェは片腕でも手綱を巧みに操り、馬を走らせていた。だから、前方から三人の男が馬に乗りながら武器を掲げたとき、彼女は咄嗟に剣を抜くことができなかった。


「うわあああっ!」ルパートの悲鳴。


 ルークもロベリアも、すでに戦闘態勢に入っている。だがミンツェは、今だ手綱を握っている。


 ならず者のひとりが、ミンツェに襲いかかった。


 ルークが馬の背を蹴ろうとしたそのときだった。ミンツェが、「泥濘スワンプ」と唱えた。


 敵の真下の地面が、一瞬で泥沼に変わった、馬の足が沈み、たちまち首元まで飲み込まれていななく。男もひざ上まで泥に捕らわれ、そこでミンツェはやっと、剣を抜いた。自分で作り出した底なし沼を避けるついでに、男の首を斬り落としたのだ。


光矢ホワイトアロー!」残るふたりの男たちは距離を取る作戦に出た。離れた場所から魔法で攻撃する。光弾のいくつかがルークとルパートの馬車を引く馬の一頭に向かってきた。


 ルークはすでにロベリアから魔力供給を受けていた。「反射魔法リフレイン


 光弾が跳ね返り、反撃した。襲撃者はなんとかそれを防いだが、生まれた隙をロベリアのジョセフィア・メイヴァーに斬り殺された。


 盗賊は、全滅した。

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