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竜の姫君と巫女  作者: 剣持真尋


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再会


 ルークたちは王都に入り、宿屋に馬車を預けると、まず第一に酒場を、フィオナを眠らせ続けて、連れていくのに費やした労力を労うための食事処を探した。中央通りを歩くと、昼間から営業している店はたくさんあった。


 ロバートは一行の実質的なリーダーであるジェームズを見て急かした。「喉が渇いて仕方がないんだ。どこでもいいから、早くワインが置いてある建物に入ろう」


「わかっている、ロバート。フィオナも腹が減っただろう。あの店に入ろう」ジェームズが指を差し、五人は酒場へと入った。


 カウンターにひとりの男が座ってワインを飲んでいた。瓶の横には食べかけのステーキが置かれていて、食欲をそそるにおいが漂ってくる。だがルークたちは料理ではなく、男の足に注目していた。彼は、義足だった。


 そしてフィオナは、驚いて目を見開き、震える声で話しかけた。「お父様……!」


 その声音に、自分を呼ぶ声に、男はすぐに振り向いた。そして、立ち上がった。「フィオナ!」


 呼ばれた少女が走り寄って、父親に思いきり抱きついた。彼女は泣いていた。「会いたかったわ……!」


「ああ、無事でよかった……っ、生きていたんだな!」父親も娘を抱きしめた。感動の再会に相応しい光景だった。他の客たちが、状況を理解して拍手し、皆で酒を呷った。


 だが、幸せな時間は長くは続かなかった。父親が四人の男たちに気づき、緊張に息を呑んだ。


「やあ、久し振りだね。魔術師カーン」ロバートが手を上げて挨拶してみせた。


「……君たちは、俺の娘を攫ったのか? それとも保護して、ここまで送り届けてくれた? ワイバーンを殺したあとに」


 ロバートは少し苛ついた。「もちろん後者だ。俺たちはフィオナをワイバーンの巣から助け出した。そしてあんたを探して、この王都まで追ってきたんだ」


「娘を救ってくれたことに感謝する、《イングリッドの涙》よ。一生の恩だ。どうもありがとう」カーンは頭を深々と下げた。


 ジェームズはカウンターに行き、カーンが座っていた椅子の横に腰を落とした。そして店主に、人数分のステーキとワインの瓶を二本頼んだ。「残念だが、これで平和的にお別れとはいかないんだ、カーン。だがとりあえず、また一緒に酒を飲もう」

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