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竜の姫君と巫女  作者: 剣持真尋


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旅の目的地


 ロバートは御者席で馬を操りながら一度振り返り、眠っているフィオナを見た。「なあ、順調すぎないか?」


 ジェームズは小窓から景色を眺めていたが、自分の肩に頭を乗せている少女に視線を移し、瞼にかかっていた青髪を払ってやった。向かいの席にルークとロベリアが座っており、ふたりは干し肉を食べている。「ロベリア、フィオナを起こすから、昼食を食べさせてくれ」彼女は常に意識を奪われているが、食事や排泄は別だ。餓死してしまえば、魔術師ファーギンの預言が無意味になる。


「席を移動しますわ」ロベリアが荷物から新しい干し肉とワインを取り出して、彼と席を代わった。


 たしかに、不気味だ。キンスキーを出てから、一度も襲撃に遭っていない。こちらは馬車で移動しているが、相手はその気になれば馬で追いかけてくるだろう。枯れ地の四人の男たちのように。そしてあの老夫婦のように、別の都市で待ち伏せすることもできる。だが、メジンバーの旅籠でも、その次の都市のホジソンでも、誰も襲ってはこなかった。


「いいことだ、ロバート。もうすぐ王都だ。そこまでいけば警備はさらに厳重になるから、教会の奴らはもはや手出しできないだろう。諦めるしかないさ」


「あれ?」ロベリアに肩を叩かれて、フィオナは目覚めた。「また、眠ってしまっていたわ」


 ロベリアが干し肉を食べさせた。「硬いから喉に詰まらせないでね。ワインは飲める?」


 ルークは屋形を出て御者席に行き、ロバートの隣に座った。「ロバート、手綱取りを替わるよ」


「いや、大丈夫だ」鞭を振って馬をさらに速く走らせる。「王都まで俺が動かすよ。ルークは休んでいてくれ、到着したら、フィオナはずっと起きていなくちゃならないんだ。お前は反応が速い。俺たちが背後から食われないように守ってくれ」と彼に小声で話した。



 やがて、巨大な城塞が見えてきた。フェレイラ皇国との戦争で、激しい砲撃に耐え抜いた強固な城。その城下街に馬車はようやく辿り着いた。

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