賞金稼ぎ
「ニコラ・ド・ドモンジョ。殺人九件。強盗七件。殺人強盗一四件。殺害人数三八人。極悪人ね」ジーラは言った。「新入りが受けるにしては重すぎる任務だけど」
「大丈夫ですわ」とロベリア。
「なにを根拠に?」今度はきつい口調で彼女は睨み付けた。「ちなみに、うちの仲間も二人やられているの。ベテランの二人組がこの任務を受けて返り討ちにあった。ひとりは片腕を失った。そしてもうひとりは死んでる」
「残念なことですわ。その人たちは弱かったのです」
「ドモンジョの前に、私に殺される覚悟はある?」ジーラの全身から殺意が漲る。
「あなたも弱いから、私は殺せませんわ」
「やめろロベリア。いい加減にするんだ」僕は彼女を叱った。
「ごめんなさい。お兄さま」
「ジーラさんに謝るんだ」
「ごめんなさいですわ」ロベリアは素直に頭を下げた。
「別にいいわよ。死んだら許してあげるから。あなたたちに、私の恋人の仇を討てるとは思えない」
恋人の仇。彼女はそういった。
「恋人が殺されたのですか?」
「ロベリア!」
「婚約者だったの」ジーラはそういうと、依頼書に受託の押印をして僕に渡すと、そっぽを向いてしまった。