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竜の姫君と巫女  作者: 剣持真尋


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愛する家族を取り戻すために


 二十二年も前に、ミクロス・ガルシアは女中のディアドレと駆け落ちした。だが王都を徹底的に捜索されてもミクロスの足取りは掴めず、このパンクラトフにも近衛騎士団がやってきて、住民たちの調査が行われたが、ジェームズは戦線に出ていて、ロバートはまだ赤子だった。ルークとロベリアは生まれてもいない。


「君の父親はおそらく本物の廃太子だ」そう保証したのはジェームズだ。それは王族を名乗ることは大罪になるからだ。不敬罪、侮辱罪、詐欺罪、どの容疑でも死罪は免れない。ガルシア王家の者と、国民が同姓同名なのはありえないのだ。「だけど普段は偽名を使っているんじゃないのか、フィオナ?」本名を名乗って身分が他人に露呈したりすればただでは済まない。


「お父様は家族以外と接するときには、自分だけはカーンと名乗っていました」


 杖を持ち義足をした魔術師とこの村で会ったときのことをルークもロベリアも思い出し、問題は早く解決するのではと目配せした。「もしかしたらフィオナのお父さんは、あなたを探しにバベット村にやって来たのかもしれませんわ」


 しかしロバートがあの男は浮遊魔法フロートで飛び立ったあとかもしれないと指摘し、ジェームズは考え込んでワイバーンと戦った可能性に気づいた。魔法で空を飛んできたとすればあの男は相当な使い手だろうが、俺たち四人でも手こずった二匹を倒せてはいなかった。


 だが末路を想像するのは後回しにするべきだ。俺が新しくフィオナを養育することはできれば避けたい。親と死別した憐れなキャッスル兄妹を昔拾ったのは、自分が戦地から敗走して愛に飢えていたからだ。まずは昨日の酒場を隻脚の男がもう一度訪れたのか調べて、店主と会話していたら内容を聞き出し、彼の行方を追うことが先決だろう。だから、皆には悲観的なことは伝えずに捜索を促した。


「ロバート、ルーク、ロベリア。明日は村人たちに聞き込みに行くぞ。大食いの魔術師を目撃していないか。運良く彼を見つけ出したらフィオナと会わせよう。そこで再会が叶えば最高だ。そうしたら俺たちはパンクラトフへ帰り、得た金で遊ぶんだ。だがもしも人違いなら任務は終わりを迎えない。父親が彼女を迎えに来てくれるまでは」

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