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竜の姫君と巫女  作者: 剣持真尋


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森の隠れ処


 ジェームズ・トゥーフェイスが素晴らしい腕前を披露した射手と抱き合い、ロベリアは彼方に落ちていく獲物を追いかけたい師弟を押し留めた。仕留めた彼を納得させようと、ルークはロベリアに加勢した。「森の洞窟に辿り着くべきです」唯一疲労していない彼はいった。「巣の場所を特定し、片割れの雌を見つけ出して、僕が奇襲します」まだ役目を果たしていない剣を握り直す。「僕の体力は全快で、今なら」


「邪魔なモンスターはいなくなりましたわ」ロベリアが兄に続いた。


「それもそうだな。ワイバーンの巣に獲物がまだ残っている」ロバートは興奮した自分に言い聞かせるように頷いて、借り受けていた弓をジェームズに返した。


 ジェームズはまた弓を担いだ。「それならこのまま森を進もう。渓谷に落ちた守り手は放置して」


 ルークは焼けた倒木を跨いで先頭に立ち、ロベリアたちを連れて歩きはじめた。「巣に雌が篭っていたら、僕がワイバーンを狩り、この任務を片付けましょう。戦果を解体し、洞窟から運び出して、さっき仕留めた死骸も回収して、バベット村の住人たちに確認してもらいましょう」


「はやく依頼を終わらせて、パンクラトフに帰りたいですわ」


 そして一行は、シジクの森の深部へ進む。ジェームズが巨岩の裂け目を見つけ出して、それが竜も通れるくらいの幅があり、目的地だと判断した。皆が足音を消して侵入した。


 ルークは死臭を嗅ぎ付けて、足を止めた。そして、血の臭い。


 ワイバーンが身体を地に伏せて目を閉じているということは、眠っているのか。今が、好機だと思った。地面を蹴り、セドリック・アルベルト・モワナを振り下ろした。


 接近も殺気にも気がつかなかったらしく、ワイバーンは首を斬られ、頭部が転がった。ルークは剣を鞘に納めて、空間を見周した。奇襲は成功して、呆気なく討伐は終了した。牧童ドルフの復讐は叶えられた。


「誰か倒れているぞ」ジェームズがいった。


 生きた人間がいるとは、驚きを隠せない。ロベリアはワイバーンの死体を飛び越えて、倒れている少女に近寄った。村娘だろうか。気絶しているようだ。割れた卵の残骸の上に横たわっていた。ワイバーンに連れ去られたようだが、その身体には傷ひとつなかった。すぐに彼女を保護しなければ。


 ロベリアは青い髪の少女を抱き上げて兄に任せた。ルークが背中におぶって、洞窟から外へ出てシジクの森を引き返す。ロバートが谷底の様子を見に行くべきだと主張したが、人命が第一だとジェームズが抑えて、人里へ帰還した。

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