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竜の姫君と巫女  作者: 剣持真尋


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火を吐く翼竜


 傷付いたワイバーンの怒りの咆哮が轟く。


 翼を破壊すれば生きたまま捕獲できるが、もし炎になる息吹ブレスを食らったなら一溜まりもない。ルークはやっとロバートをワイバーンの顎の中から救い出した。診ると千切れた左腕の付け根が焼け焦げて、出血を防いでいた。


「ルーク……頼む、妹に治癒魔法ヒールを使うようにいってくれ。痛みで死にそうだ」


治癒魔法ヒール!」ルークがいうまでもなく、ロベリアは彼を魔力で包み込んで、腕を再生させた。彼は、右腕を取り戻した。元々失っていた二本の指も綺麗に元通りに。


「ありがとう……ロベリア。俺の腕が治った」


「一時撤退だ!」ジェームズが叫び、一同はモンスターの巣から走り出す。ワイバーンは追っては来なかった。ルークはワイバーンの片足を切断した。しかし、ロバートがすぐに仕留めようとして剣を頭部に突き刺す寸前に噛みつかれた。四人はシジクの森の外れまで辿り着いた。パンクラトフからかなり離れているとはいえ、ここまで来ればモンスターに襲われる心配はないだろう。ワイバーン以外にも街の外には危険な怪物はいるが、人里が近くにある森の入り口なら、危険は少ない。


「依頼書には、ワイバーンは森の奥の洞窟に棲んでいるとありましたわ」と、ロベリア。


「狩りにでも出てきたのだろう。おかげで、予定より早く発見できた。ロバートの馬鹿が負傷したのは想定外だったが」ジェームズが彼を責めた。「お嬢さんがいなければ死んでいた。俺はミトラにどう言い訳したらいい」


「皆すまなかった。奴は思ったより、動きが素早かった。姉貴も連れてくるべきだった」


「油断するなといっただろ。言い訳はいい」ジェームズがロベリアに近づいて、いった。「彼を治してくれてありがとう、ロベリア」


「平気ですわ。魔力の消費も軽かったです」


「とんでもない魔力量してるな。化け物だ」


「命の恩人に、なんてことを」ジェームズが彼を殴りつける。ロバートは血を吐き出す。「ロベリア、この傷は治療しないでいいぞ」


 ロバートがもごもごいった。「これくらい自分でも治癒ヒールできる。ルークも、俺を救ってくれてありがとう。助かったよ」


「ああ、無事でよかった」ルークはいった。彼とロバートは、アダムソンの指輪の任務で親しくなり、ロバートは次の任務にルークと全快したロベリアを誘ってきた。都市外の、シジクの森に棲み着いたワイバーンの討伐。


 しかし、それは一匹ではなかった。手傷を負わせたワイバーンは雄だった。洞窟には、他にも産卵期で狂暴化している母親がいる。

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