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竜の姫君と巫女  作者: 剣持真尋


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ジョセフィア・メイヴァー


 オリヴァー・ホワイトヘッドから報酬金を受け取ってロベリアとギルドを出たあとも、ルークはしばらく懐の重みを気にしていた。人を殺してこれだけの大金を得たのは初めてだった。オリヴァーの眼には驚きがあった。ロベリアが短期間で回復したことが信じられなかったのだ。そして彼は、ロベリアが亡きマリウスの腕を再生させたのを思い出した。


 自分の魔法に対抗する実力不足の所為で、ロベリアはニコラ・ド・ドモンジョの自爆の的になり、魔力と体力を今も消耗している。そして精神力も。ロベリアが負ったのは火傷だけではない。愛刀を折られた胸の痛みも。ケヤラ・リン・ラロンドが戦場で彼女と闘う機会は、二度と失われてしまった。ルークは妹を武器屋に誘った。《第七星教》の本部を襲撃しアダムソンの指輪を強奪した対価で、ロベリアの新たな得物を買うつもりだった。「ここが、レオナルドのいっていた店だ」と歩みを止め、通りの建物の中でも一際大きな店構えに驚きつつルークとロベリアは看板を見た。「《マリー・ド・ワイス武器商店》」




「いらっしゃい!」店主のマダム・ワイスが出迎え、ふたりは中に入る。店内には様々な武器や防具が陳列されいて、彼らを歓迎してくれた。「丸腰なのを見ると、ご用命なのは多分そちらの可愛らしいお嬢さんかしら?」


「そうですわ」ロベリアは少し恥ずかしそうだとルークは感じた。武器を持たない戦士の心細さを。戦闘で魔力が枯渇したときには、己の肉体と装備品だけが生き残る術だった。




 未亡人が再婚するように、店を歩き回った末には自分と相性の良い刀を見つけ出した。ジョセフィア・メイヴァーの銘を打たれた、死んだ相棒とよく似た一振りを、ロベリアは兄に与えて貰った。「ありがとう。お兄様」


 だけどケヤラを手に入れた額より、金貨の数は六つも多くなった。それだけの業物を、彼女はこれから魔力を少しずつ注ぎ込んで、馴染ませなければならない。魔法との戦闘に耐えられるように。新しい鞘と腰に差して、ルークと《マリー・ド・ワイス武器商店》を出て帰路につく。気持ちが充たされていた。「これからよろしくね、私のジョセフィア」

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