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竜の姫君と巫女  作者: 剣持真尋


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生き残りの片割れ


《イングリッドの涙》には、「スクラッパー」と呼ばれる集団が所属している。「片割れ(スクラップ)」の彼らは、皆躰の何処かが欠損していた。再起不能なまでとはいかずとも、肉体の一部を失った者たち。欠落した心を抱え、自身と仲間の有用性を渇望する群れた亡霊。


 ロバート・キャッスルは新入りの「スクラッパー」だ。まだ若く、若さゆえに無謀な任務を受けて失敗し、右手の指が二本しかない。利き手で剣を握るのを諦め、扱いづらいダガーを苦労して駆使し、暗殺や誘拐で稼いでいる。そして特に拷問はギルドでは重要な任務だった。「特別室」は、スクラッパーたちの「作業場」だったが、最近はジーラたちに占拠され、皆不満を口にしていた。


 そのジーラが死んだ。スクラッパー入りを免れたマリウスも結局は肉体すべてが消失した。


 今日の仕事は、解放された作業場に男を運び込むことだった。誘拐は楽に終わった。彼のボスは標的のいる教会を伝え、助っ人まで寄越した。戦闘は彼に任せればいい。ロバートより五つも年下のそいつは、男というよりも少年だった。新入りの彼よりも新米で、しかし剣の腕は確かだった。ルークと名乗った少年は司祭を一瞬でスクラップにして、切り落とした四肢の傷を治癒魔法ヒールで塞ぎ、出血死しないようにした。しかしロバートは、


「馬鹿野郎」新米を叱った。「手足が失くなれば拷問する箇所が減るだろ。一本くらい残しとけよ」

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