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竜の姫君と巫女  作者: 剣持真尋


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バウンティハンターたちへの悼み


「お兄さまが無事でよかったですわ」ロベリアは、全身に負った火傷が痛むはずなのに、気丈にもほほえんだ。


 あのとき自分は死んだと思ったが、ふと気づくとルークは全くの無傷だった。爆炎のなかで目を開けると、マリウスとジェレミーが、前に飛び出していた。皆を守るために。ギルドマスターは自分を防御していた。リリアンは助からず。そしてロベリアは、ルークを押し倒して防火魔法サラリで包んでいた。そのかわり、自分の層が薄くなった所為で躰を焼かれた。その場で必死に治癒魔法ヒールを施したが、ルークの魔力では爛れた皮膚を完全に癒すことはできなかった。


「すまない」ルークは謝罪をこぼすことしかできない。本当に妹が死ななくてよかった。そうなったら、ルークは一生苦しむだろう。たとえそれが今のロベリアの痛みより易しいものだとしても。


「お兄さまは悪くありませんわ」ロベリアはベッドから起き上がった。上質な樫の木で作られ、何枚も毛皮が敷かれたベッド――二人が《恋座目屋》を去ってから借りた民家に設えられたものだ。


「ああ……」ルークは妹に気を遣わせたくなくて話しかけた。「ドモンジョは悪人だが、彼も他方では被害者だ。自死を強制されて愛する娘まで巻き込んでしまったのだから」


 もしもウィロードの魔女がドモンジョを支配していなかったら、一連の事件はこれほどの被害を出さなかっただろう。


「損耗したギルドは魔女から手を引いたのですね」


 ギルドマスターはいった。これ以上ウィロードの魔女を追跡することはない。オリヴァーの千里眼スコープでも追いきれなかった。奴がこの都市にまだ潜伏している可能性はあるが、ドモンジョの死後十日が経ちこれまで野放しにしていても新たな強盗事件は起こっていない。だから、他の都市に逃走したと考えられている。もしくは他国へと。「ドモンジョが死んだことで依頼書は破棄された」


「それなら新しい任務を受けるしかありませんね」


「ロベリアは、休んでいてくれ」ルークはすでにギルドで新しい依頼を探していたが、欲しいのは報償金ではなく妹の躰を癒す薬だった。だが、その秘薬を手に入れるには高額の金がいる。ロベリアが自分で治癒魔法ヒールをできるほどに体力を回復するまでは、一人で依頼を引き受けるつもりだ。仲間はいない。ジーラとマリウス、ジェレミーもリリアンも死んでしまった。

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