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最強の剣士
全ては一瞬の出来事だった。セドリック・アルベルト・モワナはドモンジョの両腕を斬り落とし、彼の大剣は空を舞い、さらに真っ二つに折れた。
そして、ルークは納刀を済ませていた。何事もなかったかのようにその場に立っているだけだ。
「ぐあああっ!?」
ドモンジョは叫んだ。痛みに吠えたわけではない。驚きをもらしたのだ。
痛む暇もなく――正確には、ルークの剣の切れ味が良すぎて、痛みすら感じなかった。そしてようやく、血飛沫が雨に混じる。
「さすがお兄さま!」
ロベリアがぴょんぴょん跳び跳ねて喜ぶ。
「貴様、何者だ」ドモンジョが問いながら、吹き出した血が止まった。治癒魔法。
「ルーク・ユーバンク・ラッセル」
「お兄さまは最強の剣士ですの」ロベリアが微笑む。「終わりですわ」ドモンジョの首に刃を振るった。
――そのとき。
落雷がロベリアに直撃した。




