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竜の姫君と巫女  作者: 剣持真尋


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牢獄の鼠

「ジャクリーヌ――」


 ジーラはドモンジョに襲いかかる。娘を救いに来たのだから、奴は分身ではなく本物だろう。娘を守らなければならないから、巻き込む危険がある広域魔法は展開するのが難しい。だが、こちらは使える。


風刃シルク!」巨大な斧を振りかぶり、床を叩き割りそうな勢いで弧を描いた。刃先から巨大な斬撃が放たれる。


 ドモンジョははっとして、とっさにサラサの前に立ちふさがった。ジーラの斬撃が彼女を巻き込む範囲に及ぶと判断したのだ。


魔法壁シェル」手のひらから青い障壁が展開し、二人を包み込んだ。斬撃は弾かれて霧散した。


 独房の扉が蹴破られ、マリウスが踏み込んできた。「ドモンジョ。この間の借りを返すぜ!」と片手をドモンジョに狙い澄ました。「光矢ホワイトアロー!」無数の光弾が放出され、ドモンジョに迫る。彼の狙いは正確で、ドモンジョの頭部と心臓の位置に攻撃は集中した。少なくともマリウスには少女を巻き添えにしない配慮があった。だがそれも、標的が魔法を避ければわからなくなる。


「ちくしょう」ドモンジョは少女を庇っている。「防御魔法ミラージュ」彼は早口で呪文を唱えて、躰を硬化した。逞しい筋骨が黒く染色し、光矢ホワイトアローの狙う眉間や左胸が煌々とした魔力の塊を弾いた。ドモンジョはサラサを抱き抱えて背を向け、自分が開けた穴から脱出しようとした。


 その僅かな隙に、牢獄の左右の壁が同じようにぶち抜かれた。二つの穴から男女が一人ずつ現れ、挟撃態勢に入る。ドモンジョの両側から元素魔法が放たれた。


 炎。ジェレミー・オーブリー・ワトソン。


 雷。リリアン・テレス・メイソン。


 二人の攻撃は牢獄の壁を直撃し、ジーラとマリウスの前方で炸裂した。ドモンジョは、景色が晴れたときには姿を消していた。死体はない。サラサも。


「逃げられたわ……」

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