一緒にお風呂
全ての部屋の片付けが終わる頃には日もだいぶ傾き、夕飯というには少し遅いくらいの時間になっていた。
「あぁ……料理すんのめんどい。でもその前に風呂だな、掃除して服も汚れてるし。けど今から一人ずつ入るには遅すぎるか…………夏樹ちゃん」
「夏樹、でいいですよ」
「じゃあ、夏樹。一緒に風呂入るか?」
「え……!?」
い、いいんだろうか!?
……いいや、よく考えろ。
私は小学生で、春乃さんはその従姉妹。小さな女の子が親戚のお姉さんと一緒にお風呂に入るというだけだ。考えてみれば、どこに問題があるというのだろう。
「は、入ります! 入らせて下さいッ!!!!」
「お、おう。なんか、威勢がいいな……?」
◇◇◇
かっ……ぽん。
「よく温まったか、夏樹」
「は、はい」
「のぼせるなよ。顔が赤いぞ……隣、ちょっと失礼」
「……!!」
湯煙の中、桃源郷を目に焼き付ける。お風呂場特有のこもったサウンドが古びたレコードのように味わい深い。春乃さんの声が普段より魅力的に感じられるのは気のせいではないだろう。
「今日はいろんなことがあって、疲れただろう……ゆっくり汗を流せよ」
「は、はい……」
「何だ、緊張してるのか? これから家族になるんだ。少しずつ慣れていけばいいさ」
「そ、そうですね」
「それにしても、二人だと少し狭いな。こうするか、よいしょっと……」
「…………っ!?!?」
背中に触れるこの感触は、まさか……。
……うぉぉぉおおお!!
……私の中の作家の血が騒いでいる!!
この感動、どうにか文章で表現せねば……!!
「って、夏樹、鼻血出てるぞ!? 早く出ろ……!?」
その後、無事のぼせた。
◇◇◇
「サブタイトル:幼馴染とお風呂」
……その後、俺は幼馴染と風呂に入った。ところで、ショートケーキを食べる時、苺は最初に食べるべきか、それとも最後に食べるべきか。甘いクリームに包まれたそれは雪国で見た早朝のゲレンデのように一片のシミも汚れもなく、純粋な輝きを放っているようだった。俺は苺のあまりの丸さに驚き、咄嗟に円周率を数え始める。そして最後には苺をでひょいとつまんで、頬張る様を想像した。確信する、俺は苺を最後に食べる主義だ……。
<感想欄>
「一言:なぜ風呂シーンなのに突然ケーキの話?」
「一言:幼馴染はどこへ行ったんですか」
「一言:例えが謎。」
「一言:ハハ、子供には分かるまい……!」
「一言:やっぱどヘンタイなんすねwwww」
「一言:これは犯罪(いいぞ、もっとやれ。)」
あの感動よ、伝われ。
説明不足な気がしたのでタイトルを若干変更しました。