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従姉妹のお姉さん

一話に序盤のカンタンなあらすじがあります。

よろしければご覧ください。

 あれから数日間、書き上げた話をネットに投稿し続けている。毎日数時間おきに更新しているので、なかなか早いペースらしい。


 内容は主人公の男を中心とした高校が舞台のラブコメディだが、現代にしてはエッチなシーンを含む程度にも関わらず、サイトのページに送られてくる感想の数は留まることを知らない。


<感想欄>


「良い点  :全部! 面白いし文章も上手い!

 気になる点:越すぎません……!?

 一言   :どんなAI使って書いてるんですか!? これもう大発明ですよ!!」


(10代 男性)


「良い点  :女の子が可愛い。

 気になる点:検閲どうやって回避したんだwwww

 一言   :これは神。絶対続けて欲しい。」


(30代 男性)


「良い点  :恥ずかしがるシーンが萌える。

 気になる点:めちゃ越々……!!

 一言   :女だけど興奮しました……ハァ……ハァ……」


(20代 女性)


「良い点  :越

 気になる点:越

 一言   :越」


(年齢・性別非公開)


 再三になるが、そこまで大胆な描写はない。

 せいぜいラッキースケベで押し倒すくらいで、直接的な描写もキスシーンくらいしかないのに、この反応から察するに現代人の飢えは深刻らしい。


<感想欄>


「良い点  :面白い

 気になる点:作者どHENTAIで草

 一言   :毎日数時間投稿とかニートですか?」


(20代 男性)


「はぁッ!?」


 に、ニートじゃないし! 来月から閲覧数に応じてサイトから報酬が振り込まれる予定だし! 今はちょっと休んでるだけだもん……ッ!!



「返信:ニートじゃありません!!!」



 反射的に送ったら逆に本物っぽくなってしまった。

 何で幼女になってまでこんなこと言われなきゃならないんだ!?




「いい加減にしろ!!」




「ひぃ……ッ!?」


 すると突然、部屋の外で怒鳴り声が響いた。

 声からして叔母さんのものではない。


「葬式から何日か経つけど、まだあの子を放置しておくつもりか? いつまであの部屋に居させるんだ!?」


「仕方ないのよ、今はまだ忙しいし……」


「言い訳するな! 普段は世間体ばかり気にして、こういう時だけ施設に送るのか!?」


「あ、あの子のことを考えた結果よ。本人にとって何が幸せかなんて分からないじゃない」


 ……何やら物騒な話をしているな。


 どうやらまた私の処遇で揉めているらしい。声からして相手は大分若いな。私の知らない親戚だろうか。


「とにかく夏樹に会わせろ!」


「あ、ちょっと勝手に……!」


「のわ……っ!!」


 部屋のドアが向こうから引かれ、耳を当てて盗み聞きしていた私は前に倒れ込む。目の前ではドアノブを手にしたお姉さんがパチクリと目を丸くしていた。


「まさか今の話、聞いて……」


「ご、ごめんなさい」


 気まずそうな顔をした叔母さんを尻目に、お姉さんは身を屈めて私に話しかけた。


「夏樹ちゃん、私のこと覚えてるか。従姉妹の春乃だ。前に何度か家に遊びに来ただろう」


 お姉さんの顔には見覚えがあった。彼女は父方の伯父さんの娘で、数年前に就職して以来一人暮らしをしていた筈だ。子供好きな人で何度か私の両親の家にも遊びに来たことがある。


「春乃さん!」


「久しぶり。いろいろと……大変だったな」


「うん」


「夏樹ちゃん、真面目な話があるんだ。この叔母さんは君を施設に送ろうとしてる。それを望むなら止めはしない。けどもしそうでなかったら、私の家に来ないか? 私は君を疎んだりしない。どうするかは君が選べ」


 この人は良い人なんだろう。

 直感的にそう感じる。


「一つだけ……お願いがあります」


「何だ?」


「この本とパソコン、持っていってもいいですか?」


「本……?」


 お姉さんは部屋を見渡すと意外そうな目をした。

 今どき本を読みたがる子供なんて珍しいのか。


「ここへ来てから、ずっと読んでたのか……?」


「うん」


「本、好きなのか?」


「うん」


「そうか。なら、持って行こう」


 話は決まった。

 私は春乃さんの家に行くことになった。

 更新を一つ前倒しにしました。

 次は予定通りお昼頃の予定です。

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