表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/16

衝撃の事実

 体育の授業が終わるとそれなりに汗だくになった。

 今日は暖かい日だったし、体育館は風通しが悪い。


「もうびしょびしょだよ〜〜」


「はは、よく汗かいたね」


 更衣室へ向かう途中、志信ちゃんは前髪をかきあげてオールバックにしていた。露わになった額が凛々しい。


「でも、ビックリしちゃった。あんなに運動が得意だったなんて」


 今日は珍しく男女混合でドッジボールだった。私は早々に当てられたが、志信ちゃんは最後の方まで残って敵チームと凌ぎを削っていた。特に神楽坂とのコンビネーションが良く、みんなもヒューヒュー言っていた。


「すごかったよ。神楽坂くんと二人で目立ってたし!」


「拓人と一緒によく遊ぶからね」


「カッコ良かったなぁ」


 そういうと志信ちゃんはやっぱり照れた。

 カッコいいと言われるのに弱いらしい。


「ねぇねぇ、実はずっと気になってたんだけどさ」


「うん、何?」




「最近は女の子もブラジャーつけないのが普通なの?」




「えっ……?」


 尋ねた瞬間、志信ちゃんは固まった。

 志信ちゃんを見て思ったことなのに、変なの。


「志信ちゃんもつけてないよね。雛沢さんみたいにまだ大人っぽい胸じゃないけど、汗かいたら透けない?」


「え、透け……?」



「月島君は男よ」



「え……っ?」


「あ、雛沢さん」


 いつのまにか側にいた雛沢愛理に告げられ、困惑する私と落ち着き払った様子の志信ちゃん。志信ちゃんは「志信くん」だった……ってコト!?




 いやいや流石にご冗談を!!




「そ、そんな訳……!? だって、席も後ろだよ!?」


 私の隣は男子で志信ちゃんの隣も男子。

 同じ列なのだから志信ちゃんは女子のはずでは……。


「いつの時代の話をしてるのよ、席順を男女で決めてたのは相当前のことでしょう」


「えっ……そ、そうなの?」


 そう言われれば確かに、今世の記憶では隣の席が女子だったこともあったかも知れない。けれど前世の記憶に引っ張られて無意識にそうだと思い込んでいたんだ。


 近くの席が偶然列ごとに男女で揃っていたのもあり、何となくそうだと思ってしまった。


「やっぱりな。志信、結構間違われやすいから」


 気がつくと神楽坂も側に来ていた。

 更衣室の前、四人で顔を突き合わせる。


「通りで……女子だと思われてたのか。ちょうど、髪も切ろうと思ってたところだったしなぁ……」


「今のも似合ってるぞ? 志信はお母さん似だから」


「えぇ、そうかな?」


 志信ちゃん改め「志信くん」は、男だと思って見てもやはり可愛らしかった。勘違いはしたものの、仕方ないと思うしかない。


 ……いや、けど待て。

 ……だとすると今までの私の行動って……!?


「くしゅんッ!?」


「あ、夏樹ちゃん汗かいたままだった」


「って何よ、その格好。透け透けじゃない!?」






「イヤァぁぁぁぁああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!!!!」






 恥……っ!!

 殺……っ!!



「な、夏樹ちゃん、どこ行くの!?」


 耐えきれず更衣室へと駆け込む。

 すると中にいた子たちが全員バッと振り向いた。


「夏樹ちゃん、かわいそう……」

「見られちゃったんだね……」

「外の声ぜんぶ聞こえてたよ?」



「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?」



 もうムリ……!


 誰 か 助 け て ……ッ!!!!









続きは明日です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ