第2話 潜入?
目が覚めたら、牢の様なものに入れられていた。
私は予期せず魔王城の潜入に成功したのだ!
……しかし捕まっている。
だけど対応は悪くない。
牢の中にはベッドもトイレもお風呂もあり、カーペットが引かれている、前面が格子な以外は普通の部屋だった。
騎士団の宿舎に比べればむしろ豪華な部屋だ。
私は不思議に思ったが、とりあえず何もすることがなくて暇になったので、筋トレをして過ごした。
女ゆえに筋肉が付きにくく、1日でも筋トレをしないと筋肉は、あっという間に脂肪になる。
私は、筋トレや訓練ならば何時間でも時間が潰せた。
そして、食事を運んできたスケルトンの魔物に私は魔王に会いたいのだと訴えた。
食事を運んで来るぐらいの知能が有れば、話ができるのではないかと思って、しつこく声を掛けたが反応がない。
これは多分言葉が通じないのだ……私はがっくりした。
翌日になると、話が通じないと思ってスケルトンに管を巻き始める。
「スケさんごはんありがとう。……ここは何もすることはないけど、私には出ていけと言われた我が家よりも居心地がいいわ」
私は格子の小窓から差し入れられたごはんのトレイを受けとる。
「できれば、魔王と戦って死にたかったなぁ~。何で私は閉じ込められているのかしら?」
スケルトンだからスケさん。
私は勝手に彼をそう呼ぶようになった。
スケさんはスケルトンゆえに肉がなく、表情が読めない。
そもそも声帯が無いのに、何故私は彼が話ができると思ったのだろう?
「魔王に会えたら私はもう死んでもいいのに……ここまで来て魔王に会えないなんて、何て不幸なんだろう?」
「スケさん。魔王に会わせて!」
私はスケさんが理解していないと思って、勝手な独り言をいい続けた。
ところがスケさんは話をしないだけで、私の言う事を理解していたらしい。
その夜、魔王が私に会いに来たのだ!
魔王は思わずひれ伏したくなる存在感を身にまとっている。
ゴージャスな衣装にマントを翻して歩くだけで、その存在感が異質な者だとわかる。
そして、私が今まで見たなかで一番のイケメンだった。
私は魅了の魔法を掛けられたに違いない。
あまりのかっこ良さに言葉が出てこない。
その美しく禍々しい姿から目が離せなくなったのだ。
魔王は私を眺めていたが、私が何も言わずに見とれていたので、そのまま身を翻した。
あっ!まずい!行ってしまう!
こんなチャンスは2度とないかもしれない。
「私は魔王と戦いたいの!」
叫んだが、魔王は行ってしまった。