青い羊
喉の渇きは極限にまで達していた。
僕は、大木の生い茂る森の奥深くまで草を掻き分けながら、敵兵から逃げてきた。
もうだいぶ遠いところまで来た。
追手の姿はもう見えない。
仲間たちとははぐれてしまった。
ここはどこなのだろう?元の場所に戻れるだろうか?
水分を求めていた。
一滴でもよいから水が欲しかった。
一滴の水をいくつもかき集めて、たくさんの水を…
不意に行く手を塞がれた。
目の前に大木がいくつも倒れ、折り重なり、その先が見えない。
これを乗り越えた先に水があるかもしれない。
僕は倒れた大木に足をかけ、その上に登って行った。
そして、その向こう側の景色が見えたとき、僕は奇妙なものを見つけた。
地面が3mばかり裂け、その先に1匹の青い羊がいた。
透き通るようなシンフォニーブルー。
それは虚ろな目で、身動き一つせず僕を見つめている。
なぜこの青い羊は僕を見ているのか?
僕は渇きも忘れていた。
潤いの象徴のような青。
僕を見つめる空洞の瞳。
僕は徐に抱えていた自動小銃を自らの頭に向けた。
そして…
読んでくださった方、ありがとうございます。