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竜宮農場へようこそ!!  作者: たてみん


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テストとメールの混線会話

今回はちょっと会話部分がいつも以上に読みにくくなってるかもです。


そして、間違えて本日2話目だったしw

週明けの月曜日。

今日の授業から先週行われた試験の結果が返ってくる。


「よぉし、お前ら席に着け。お待ちかねの答案用紙の返却だ」


にやりと笑うのは化学教師の赤坂先生だ。

化学は最終日の試験科目だから、土日返上して採点していたと思われる。

うーん、だからこの変なテンションなのか?

「誰も待ってねぇ」という皆の反論をスルーして返却を開始した。


「いいか。赤点は30点未満だ。該当者は今週の木曜日の放課後に追試を行う」

「横暴だ!」

「時間外労働反対!」

「馬鹿野郎。それはこっちのセリフだ。

お前達のせいで夏休みが補習になってみろ。それこそ時間外労働だ!

それともお前達は夏休みを学校で過ごしたいのか?」

「……」

「……」


押し黙る赤点組。

そりゃまあ誰だって夏休みを学校で過ごしたい訳がない。

多分に先生の願望が籠められている気がするけど、まぁ説得力があって良いだろう。

沈んだ雰囲気を払拭するように先生がそっぽを向きながら続けた。


「あー。追試の内容だが、予定では今回の試験と大きく変わらないだろう」

「え?」

「いやむしろ、違う問題を作るとか大変だよな。その為にまた徹夜するとか御免被りたい」

「ん?」

「教師はただでさえ期末は忙しくて追試中も資料のまとめとかしないといけないしなぁ」


そう言ってにやっと笑う先生。

釣られて赤点組もにやっと笑った。

つまり、試験内容はほぼ一緒で追試中はカンニングも見て見ぬふりをするぞと言ってくれてるようだ。

教師としてはどうなんだと思わなくもないけど、咎める者もいない。

うちのクラスに正義感の塊みたいなやつは居ないからな。


そうして答案用紙を返し終わった後は試験内容の解説。というか、答え合わせ。

これをちゃんと聞いておけば、まず追試で落ちることは無さそうだ。

俺?俺は87点だから赤点とは無縁だ。

いつもに比べて特別高い訳じゃないけど、下がってもいない。いつも通りだ。


「まぁこんなもんだろうな」


俺の言葉を代弁するように陽介がつぶやいた。

どうやら陽介もそれなりの点数が取れたみたいだ。

ま、あいつの場合。今回は眠気との勝負だっただろうしな。

その後、今日のうちに返ってきた試験は合計3科目。

どれも中の上。いつも通りの結果だ。

別に一流大学に進学したい訳じゃないし、これくらいで十分だろう。

両親からも高校卒業以降は好きにしていいって言われてるしな。

そうして今日も最後の授業が終わる。


ピロンッ♪


それと同時にメールが届いた。

リースからか。という事は試験の話だろうな。

まったくアルフロで会えるだろうに。


ピロンッ♪

ピロンッ♪

ピロンッ♪


と思ってたら連続で追加が来た。

レイナにサクラさんにツバキさん。どうやら全員に送ってたみたいだな。


ピロンッ♪ピロンッ♪ピロンッ♪ピロンッ♪


ええい、忙しい。

こりゃ帰ってアルフロにログインしてからじゃダメっぽいな。

仕方ないので図書室に行って、腰を落ち着けて返信をするとしよう。

歩きながらメールの内容をチェックすれば、案の定、試験結果の話だ。

みんな無事にいい点取れたみたいだな。


カイリ:『みんなお疲れ様。ざっと流し読みしただけだけど、無事にいい点取れたみたいだな』


そう一言送ると、みんなからお礼の返事が飛んでくる。

ちょっと嬉しく思いながら図書室に入ると先客がいた。

霧谷さんだ。

今日は珍しく本じゃなくてスマホとにらめっこをしている。


「霧谷さん、こんにちは」

「え?あ、先輩。こんにちはです」

「今日は読書じゃないんだな」

「ええ。ちょっと帰る前にメールをしたくて」

「なるほど。じゃあ俺も」


そう言って向かい合わせに座りながらもお互いにスマホでメールを送る。

ただ折角一緒に居るのにメールしてるってのも勿体ないし、小声で雑談しながらにしよう。


「ところで霧谷さんは試験の結果はどうだったんだ?」

「え?はい。まだ3つしか返ってきてないですけど、どれもいつも以上に良かったですよ」


リース:『やっぱりカイリ君のお陰だよね!』

レイナ:『ほんとそうですね』

カイリ:『いやいや、みんなの地力があってこそだって』


「それは良かったね」

「はい」

「でもそうすると、いつもとは勉強法を変えたりしたの?」


カイリ:『俺の話してた内容なんてほとんど試験に出なかっただろ?』


「はい。今回は友達と集まって勉強会をしてたんです」


リース:『ほとんどというか、全くでてないよw』

サクラ:『ですね。それなのに成績が上がる不思議』


「勉強会かぁ。俺も今回は友達とやってたぞ。ただ、思いっきり脱線してたけど」

「脱線ですか……先輩らしいですね」


ツバキ:『やっぱり新しい事ばっかりで脳みそが活性化したんじゃないじゃないですか?』


「そうか?」


リース:『はい。なんというか型にはまらないところとか』

レイナ:『ん?まぁ確かにそうですね?』


「そうか、そんな風に思われたのか」

「あ、決して悪い意味じゃないですよ?自由奔放というか奇想天外というかですね」


カイリ:『奇想天外ってw それは誉め言葉じゃないだろ』

サクラ:『え?えぇ。誉め言葉としては変ですね』


「ほらやっぱり」

「うーん、日本語って難しいですね」


リース:『それはさておき、畑の具合はどうですか?』


「お、話題転換で逃げた」


リース:『いえ、別に逃げた訳じゃw』


「やっぱり試験もですけど、私達の一番気になるところって言ったら今はそこじゃないですか」

「いやまぁそうなんだけどな」


カイリ:『昨日の段階で芽は出てたから今日この後ログインしたらどんな植物が育ってるか大体分かるはずだ』

リース:『収穫出来るのは明日?』


「早ければそうだな。後はどんな料理にして食べるかだけど」


カイリ:『まずはおにぎりだな!』


「そうですね。お米の定番と言えばそれですよね」


カイリ:『よし、そうと決まれば早速アルフロにログインして、畑の具合を見てこないとな』

リース:『そうね。じゃあまた後でね!!』


そう送って席を立つと、ちょうど霧谷も席を立ったところだった。

まるで示し合わせたようになったのはちょっと面白いな。


「もう帰る?」

「はい」

「じゃあ途中まで一緒に行こうか」

「お供します」


そうして俺達は連れ立って図書室を後にした。

歩きながらスマホを見ればよく分からないメールが届いていた。


レイナ:『あの……』

サクラ:『いま話が飛んでなかった? それとも私に届いてないだけ?』

ツバキ:『大丈夫。私も同じ状態だから。というか、カイリさんとリースさん。誰かと話してた?』

カイリ:『まぁ。たまたま一緒にいた友達と雑談しながらメールしてたな』

リース:『あ、わたしも』

レイナ:『多分、口で話す内容とメールが混ざってたと思うんですけど、その友達は大丈夫ですか?』


「ん?」

「え?」


レイナの言葉に慌てて顔を上げて霧谷さんを見るとばっちり目が合った。

凄い偶然だな。


「えっと、ごめん。もしかしてさっき俺変な事話してた?」

「え?いえ。特におかしい所は無かったと思いますよ?」

「そうか、なら良かった」

「先輩も。私さっきメールしながらで上の空で話してたから意味不明なこと言ってたかもしれないです」

「ん?いや、気にならなかったから大丈夫じゃないか?」

「それならいいです」


カイリ:『どうやら大丈夫だったみたいだ』

リース:『私の方も特に違和感はなかったそうです』

レイナ:『そ、そうですか』

サクラ:『あ、あれ?それってもしかして……』

ツバキ:『もしかするのかも。だって先日の勉強会の時もあれだったし』


「あれ?あれってなんだろう」

「さぁ、なんでしょうね」


カイリ:『なにかあったっけ?』

ツバキ:『いや、べつにね。気付かないならそれはそれで面白いから良いと思うよ』

サクラ:『ただの私たちの想像だから気にしないで』

レイナ:『世間は狭いなってお話なだけですから』

リース:『???』


再び霧谷さんと首を傾げ合う。

うーん、よく分からないけど、こんな日もあるか。

後書き酒場


ウィッカの開いたバーは現在、島の奥様方によって営業が行われている。

店員は全員が全員既婚という訳ではない。

当然未婚の若い娘もおり、これまた未婚の男性客を呼び込んでいた。

さながら婚活パーティー会場化していると言っても過言ではないだろう。


「ミッズホちゃーん。こっちにエール3つね!」

「はーい」

「こっちはゴルゴンゾーラ2人前よろしく!」

「はいはーい」


普通に注文する客の中には、当然ナンパを始める冒険者も居る。

その若い冒険者も今日一番の美少女に勇気を振り絞って声を掛けた。


「なぁなぁ。そんな働いてばっかりじゃなくて、こっちでお酌してくれよ」

「あははー。スピリタス1本注文してくれるなら考えても良いですよー」

「ちょっ。それ1本で100万Gするじゃん」

「ダメなら諦めて下さいねー」

「せめて1口分だけでも!」


更にそう言い募る若い冒険者に周囲から憐みの目が向けられる。


「仕方ないですねー。じゃあコップに1杯だけですよ?

隣で見てますから素敵な飲みっぷりを期待してますからね」

「お、おぉ。任せておけ!」


ちなみにお猪口1杯で1万Gだけど、コップ1杯で10万Gだ。

冒険者は若干顔を青褪めさせながらも後には引けなくなって10万Gを前払いしつつコップを受け取る。


「さっ。一気に逝っちゃってください!!」

「お?あぁ、分かった」


一瞬、何かおかしいと思いながら、少女にお酒を注いでもらってご満悦だ。

その勢いのままぐいっとコップの中身を呷った。


「がはっ」


口から火を噴き倒れる冒険者。

コップはきっちり回収されている。

それを見た周囲から呆れた声が届いた。


「若いねぇ」

「この酒を飲むにはちょっと若すぎるな」

「別名、火酒だからなぁ。俺ですらお猪口1杯でぶっ倒れたんだぞ」

「それにミズホちゃんはああ見えて魔女だからな。口説くのは1000年早いぜ」

「あらー。誰が魔女なのかしら?」

「いやいや、誉め言葉だって。ほ、ほら。こっちには山盛りパスタ頼むよ!」

「はいはい。まいどどうも」


にっこりと笑う少女に冷や汗を流すベテラン冒険者。

今日もこの店は繁盛しているようだ。



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― 新着の感想 ―
[良い点] だがそれが良い! [一言] これでも気づかないなんて…↑
[一言] 知らぬは本人たちばかりなり?
[良い点] ひどい夫婦漫才をみたwwwww もう結婚しちまえ! [一言] >温泉覗き 某スマ●ラの桜井さんがボヤいていたように 追加要素でセクシャルや犯罪によって、年齢区分が厳しくなるのは 非常に「運…
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