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竜宮農場へようこそ!!  作者: たてみん


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中層階の攻防

やって来ました、第6階層。

と言ってもダンジョンの見た目は特に変わらない。

壁の色も黒から赤に変わるとかそんな事はないし、出てくる魔物が変わるだけだ。


「全体的に岩っぽい?」

「そうみたいね」


上層階で出てきたのが「ノーマル」としたら中層階のここは「ストーン」だ。

ストーンリザードにストーンゴーレム。

水中からは岩魚。……イワナ、じゃなくて岩の鱗を付けたピラニアっぽい魚だ。

なんであれで泳げるのか謎だけど、ゲームだからとしか言いようが無いな。

池から池へと飛んでいく姿は一瞬クレー射撃っぽいけど、残念ながらレイナの針だと逆に弾かれて終わってしまう。


「硬すぎてリースやレイナの攻撃じゃ歯が立たないな。

サクラさん達はどうですか?」

「うん、剣じゃ厳しいかも。

でも鉱石系のダンジョンって聞いてちゃんと打撃武器も用意してきたよ」

「私も」


そう言ってサクラさんが取り出したのは長斧の歯の部分がハンマーになってるウォーハンマー。

ツバキさんはモーニングスターだ。

なるほど。あれなら岩系の魔物相手でも十分通用しそうだな。


「ふんっ」

「グラッ!」

ガンッ


サクラさんの振り下ろしがストーンリザードのメイスに受け止められていた。

どうやら防御力だけじゃなく、パワーやスピードも兼ね備えてるようだな。


「くっ。こいつ岩っぽい見た目なのに動きは悪くないよ」

「伊達に中層階じゃないってことだね!」


1対1でも勝てなくはないみたいだけど、楽勝とは行かないようだ。

これはもし数で攻めて来られたら厳しいな。

更にそこに追い打ちをかけるようにリースの悲し気な声が届く。


「カイリ君……」

「何かあった?」

「ここの魔物、食べられないみたい」

「へ?あぁ」


言われてドロップ品を確認してみれば魔石しか出て来てない。

極たまに宝石も落とすみたいだけど、要は魚っぽい見た目の魔物もイノシシっぽい4足歩行の魔物も、肉はドロップしないんだ。

魔石が必要なのは主にウィッカさんだから、正直こんなに要らない。


「ま、まぁ。温泉の保温に使えると思えば良いんじゃないか?」

「あ、そっか」

「それでも第10階層に降りるまでには余るくらいには手に入りそうだけど」

「そうだよね」


と、そんな呑気な会話をしている間もサクラさん達が頑張ってくれてる訳で。

第8階層に来る頃には少し息が上がってきたみたいだ。

休憩するにしても安全地帯みたいなのも無いしな。


「ブリラさん。普段休憩を取る時はどうするんだろう?」

「それなら結界石を使うと確実だな。魔道具屋に行けば買えるだろう。

というか、むしろ普段はどうしてたんだ?」

「いつもはそんなに長く危険な場所に居続けないからなぁ。

一番長くて牛肉狩りに行ったときだけど、あの時も手早く拠点作って休憩してたし」

「あのぉ、私達は持ってますよ?」


おずおずと手を挙げるサクラさん。

流石に2人にとってはそういう休憩用アイテムは必需品か。

それならという事で、俺達は見晴らしの良い場所で休憩を取ることにした。


「もぐもぐ。防御力の高い魔物は生産職には厳しいものがあるな」

「ズズ……。そうね。例え私達がモーニングスターを持っても振り回されるのが落ちよね」

「はむはむ。ですね。上手く弱点属性を突ければ良いんですけど」

「石の魔物の弱点……そういえばウィッカさんがボス戦で使ってた接着剤は?

稼働部分を固めてしまえば身動き取れなくなったりしそうじゃないかな?」

「そうねぇ。やってみる価値はありそうね」

「あとは熱疲労か?

火炎魔法やリースの温熱魔法で熱して湖に沈めてみるとか」

「私の温熱魔法じゃ急加熱はまだ出来ないから無理かなぁ」

「それは残念。おっ、これ新作か?」

「そうなの。スパイシー味よ!」

「……お、お前ら。寛ぎ過ぎだろ」

「ん?」


ブリラさん達がまた俺達を呆れた目で見ていた。

そんなに言われるほどの事をしてるだろうか。

俺達の状況はと言えば、最低3つ使えば良い結界石を8つ使って広めに場所を確保しつつ、ゴザを敷いて座布団敷いて車座に座りつつ、お茶とお菓子を食べているだけだ。

これで桜が咲いてお酒があればお花見だな。


「……変かな?」

「別に……」

「いや、変だろ。むしろお前達の誰も変じゃないと思ってるのが一番変だろ。

結界石を多めに使うのはまぁ強力な魔物が出るところではよくやる事だから分かるけど。

普通、座布団とお菓子は無いからな」

「そ、そういうものか」


普通の冒険者って大変なんだな。

冒険中に空腹度がギリギリになってきたらどうやって回復するんだろう。

携帯食がある?

あぁ、キノコつみれみたいなのか。

確かにあれなら歩きながらでも食べられる。


「ただ、これ。食べ始めると手が止まらないんだよな」

「カイリ君、スナック感覚で食べてるからね」

「だからおまえらは。はぁぁ。……!?

まずい、お前ら。とっとと片付けろ!」

「え、はいっ」


突然焦り出したブリラさん達に、俺達は急いで座布団とゴザをしまう。

こういう時に「え、どうしたの?」なんて悠長に聞き始めるのはアホの子だと思う。

普段のんびり目のレイナやウィッカさんでさえスイッチを切り替えたようにテキパキと動きだす。


「結界石はそのままにしろ。第9階層まで走れ!」

「はい!」

「くそっ。昨日の奴らは第6階層で見かけたって言ってたからこっちには居ないと思ってたのに」


結界の範囲外に出て駆け出したところで、それは空から降ってきた。

張ってあった結界の上に降り立ったそれはガンガンと結界の壁を殴ったかと思うと、ガラスの砕け散る音と共に結界を粉砕してしまった。そして残っていた結界石をボリボリと食べている。


「あれは蜘蛛?」

「半分な。岩カニグモって呼ばれる魔物の徘徊型ボスだ。

見ての通り魔力の篭った石が大好物だ。

倒すとレアメタルが手に入るらしい。どうだ、戦うか?」


好戦的で試すような言葉を投げかけられたが首を横に振る。

あれは先日の巨大タコ程ではないにしても、相当強い。

見た目からして堅そうだしここで戦うのは得策じゃない。


「パス。逃げ切れるなら逃げよう」

「オーケー。奴は第9階層では見たことがない。そこまで行けば何とかなるだろう」

「帰り道は塞がれてるか。よし、みんなは先に行って。殿は俺がやるから」

「カイリ君!」

「大丈夫だ。第9階層で待っててくれ」


俺は逃げる足を止めてみんなを見送り、結界石を食べ終えてこちらを向いたボスと対峙した。

さて、今回は水場も少し離れているし、勝てる見込みはほぼないか。

かといって負ける気も無いけど。


「さて、悪いけど少しだけ付き合ってもらうぞ」

後書き日記 リース編 続き


さて、ダンジョンです。

最初のイベントの時はダンジョンには入らなかったので初体験ですね。

どんなところなのか楽しみです。


うーん、明るい洞窟?

むしろ明るすぎませんか?

一瞬天井が抜けてるんじゃないかと上を見上げてしまったほどです。

まぁ便利で良いだろ?と言われたらその通りなのですが。


道中の魔物は基本的にサクラさんとツバキさんで余裕で殲滅出来てます。

時々水中から飛び出してくる魔物もレイナが投げた針に刺されて沈んでいきます。

……あれ、私さっきから何もしてなくないですか?

いえ、よく考えればイベント準備が始まってから大した事をしてない気がしてきました。

カイリ君は言うに及ばず、ウィッカさんはお店を出店して島の人たちとの交流とこれから来る人たちとの交流の場を作っていますし、他の3人もこうして活躍しています。

じゃあ私の出番は?

私の得意分野と言えば料理ですが、料理屋を出すのはウィッカさんのバーと趣旨が被ります。

お料理教室?わざわざイベント中にやる必要もないですね。

他になにかみんなの役に立てることは……


何かヒントはないかとダンジョンを睨みつけていた時。

ブリラさんから『休憩所』という単語が聞こえてきました。

その瞬間閃きました!


今回私たちは先に進むことを優先していますが、他の冒険者たちは採掘などの重労働をしてここに辿り着くはず。

つまり軒並み疲れているだろうし、女性なら軽く汗を流したいでしょう。

(実際に汗をかいてるかは別として)

だから温泉は絶対にヒットすると思います。

問題は覗き対策でしょうね。

湯あみ着は当然着るとして、トラップ。そうトラップです。

なぜでしょう。覗き対策=トラップの公式が成り立ってしまいました。

さあ、レイナも手伝ってください。

レイナの針と糸はトラップには欠かせませんからね。

憎き覗き魔をこの世から撲滅しましょう!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙い [一言] ハラスメント対策なんだし、それこそ覗きには運営に手伝ってもらってもいいんじゃなかろうか
[一言] 覗き魔に慈悲はない
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