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竜宮農場へようこそ!!  作者: たてみん


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リアルは豊かになったけど

それにしてもアルフロを始めてから俺の生活習慣はずいぶんと変わった気がする。

なにせまず学校帰りにスーパーによって食材を吟味するようになったのだ。

帰宅後は18時までログインして皆に挨拶しつつ畑の収穫を行う。

18時になったらいったんログアウト。

風呂に入って、夕飯を作って食べて、宿題を片付ける。

20時から再びログイン。

大体日付が変わるくらいまで畑を耕す。

翌朝はなんと7時起きだ。元々が8時前だから1時間近く早くなった。

朝食を食べつつ昨夜の残り物で弁当を作って学校に行く。


「で、今日のおかずはなんだ?」


昼休みに陽介が俺の席に来て一緒に飯を食うのも変わったことの一つだろう。


「今日はいつもの野菜炒めの他に焼き鮭も入ってるよ」

「おぉ。とうとう海里の弁当もレベルがあがったか」

「いつまでも野菜炒めの男だと思ったら大間違いだぜ」


ここ数日はずっと野菜炒めだったからな。

いやだって、野菜って買ったら1回で使い切れないから数日はどうしても同じになってしまうのだ。

まぁそのおかげで残った野菜が勿体ないから自炊を止められないってのもあるんだけどな。


「ちなみに、この野菜炒めだってちょいちょい変わってるんだぞ」

「というと?」

「今日はなんとカレー粉が入ってるんだ!!」

「なな、なんだってぇ!!」


大仰に驚いてくれる陽介。

こいつのこういうノリは好きだな。


「大丈夫なのか?昨日は確か七味唐辛子を入れ過ぎて真っ赤になってただろ」

「あれはまぁ、若気の至りというか、肉の臭みを消そうと思って入れ過ぎただけだ。

安心しろ。ちゃんと味見してある」

「そうか。

しかし焼き鮭が入ってるのはアルフロの影響か?

昨日はアジの切り身が送られてきてたしな」

「まぁな。

そういえば送った食材はどうだ?

確か知り合いの料理人に渡してくれるって話だったと思うが」

「あーそれがな」


そう聞くと陽介は苦虫を嚙み潰したような顔をした。


「あの品質の食材じゃダメだったか?」

「いや、品質は驚くほど良かったらしい」

「それなら何が問題なんだ?」

「……調味料が無いんだ」

「はぁ!?」


聞けば一般的に流通してるのが塩以外ほとんどないらしい。

一応ハーブの類は見つかっているから肉を焼く分には問題ないけど、俺がこれまで渡した食材を調理しようと思ったら茹でて塩を振って終わりになるそうだ。もしくはスープ系だけど、そっちは俺は食えないって伝えてるからな。

料理人としてはただ炒めただけのものを料理だとは言いたくないのだろう。

それにしても変な話だ。


「アルフロってサービス開始から4か月も経ってるんだよな。

それなのになんでそんな状況に陥ってるんだ?

こういうゲームっていくら大変とは言っても生産系が頑張るものだろう?」

「まぁな。

実は前々回のイベントの最中にひとつ事件があってな。

それまでは少数派とは言っても生産職もそれなりに居たし、コショウやトウガラシを始めとした各種調味料からソースも流通してたんだ。

だけどその事件で、生産系、特に食料生産に関連する奴らがレシピを秘匿したまま軒並みジョブを変えてしまったんだ。

結果、そいつらは自分たち用にだけこっそり少量作るようになって、その残りが時々オークションに出てくるような状態なんだ」

「そうだったのか」


過去に何があったかは後で調べるとして、それで良く皆生きてるなって逆に感心するな。

俺だったらもう、攻略そっちのけで美味いもの探しの旅に出てしまいそうだ。


「アルフロは今は空腹度が無いからな。まだ何とかなってるんだ。

だけど近々、空腹度も実装されるって噂もあるから、そうなったらマズいかもしれない。

それでさ。

海里の方でそういう調味料も作れたりしないか?」

「うーん、とは言ってもなぁ。今出来てる作物もなんであれが出来たのか分かってないからな。

色々試しては見るけど期待はするなよ」

「ああ、それでも十分だ」


何と言っても、俺の育てた野菜たちを美味しく食べるためだ。

色々チャレンジしてみるか。


「ところで」

「ん?」

「GWイベントはどうするんだ?」

「あぁ、何かやるんだっけ」

「限定フィールドで宝探し的なものらしい。

ま、ぶっちゃけ1期組と2期組のオリエンテーションがメインだろうな」

「ふぅん。まぁ参加できるなら参加してみるか」


もしかしたらそこで調味料や新しい食材が手に入ったりするかもしれないしな。

あとあれだ。

この機会を逃すと俺がゲーム内で他のプレイヤーに会うのはずっと先になりそうだしな。

後書き日記


21xx年4月25日

無事に『解体(動物)』スキルを手に入れて、クエストも無事にクリアした結果、屋台のおじさんが使ってた塩を分けてもらいました。

さっそく鑑定した結果は『ハーブ塩』。

さらに追加情報で、このハーブ塩は街の近くで採れる素材で作れるという事でした。

つまりハーブが街の近くで採れるんですね。

もしかしたら昨日までで採れたものの中にあるのかもしれません。

ハーブ……日本語で言えば香草、もっと言えば香りの強い草と言い換えても良いでしょう。

そこで目に付いたのは「解毒草」と「活力草」です。

早速アイテムボックスから取り出して臭いを嗅いでみます。


うーん、よく分かりません。


なら乾燥させて粉にすれば?

見た目的にもハーブ塩に近づきますしね。

でも乾燥させるにはどうすれば良いのでしょう?

火魔法で水分を飛ばす……ダメでした。あっという間に炭になってしまいました。

べ、別に私の腕の問題ではないと思います。

大丈夫、私だって成長してます。

こういう時は先達の知識を借りるに限りますね。

なので街の薬剤師に話を聞きに行くことにしました。


……またクエストですか。

いいでしょう。美味しいものを食べる為です。

頑張って乗り越えましょう。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙い [一言] 野菜ハムカレー粉炒めとか好きです 魚もカレー粉焼きに合うの結構ありますよね カレー粉の万能性と作成難易度のヤバさよ…… ゲーム内で使用できるのはいつのなるのやら
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