表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜宮農場へようこそ!!  作者: たてみん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/162

イベント情報公開

7月6日。

この日は一般のプレイヤーに7月のイベントについて情報が公開された。


【イベント名:『伝説の霧隠れ島にてレアメタルを手に入れよう』

普段は深い霧に包まれて近寄ることすら出来ない島がある。通称『霧隠れ島』。

その島の霧が10年ぶりに晴れるという予言がもたらされた。

期間は、7月24日~30日の1週間。


霧隠れ島は別名、鉱石島とも呼ばれるほど、多くの採掘ポイントがあり、また他ではなかなか手に入らないレアメタルも採掘が可能である。

普段はごく限られた販売ルートでのみ取引されているこれらが、霧が晴れることで直接島に行って採掘が出来るようになる。

これを受けて各国では拠点となる出島を準備し、冒険者たちに船の貸し出しを行えるように手配している。

予定では、7月14日に拠点への転移門の開通、16日から船の貸し出しを開始する。

貸し出す船は自由に改造が可能であり、また未改造では航海中に何かあればすぐにでも沈む危険がある。

冒険者たちは十分な準備を行ったうえで、霧隠れ島に向かってほしい。


ただし、期間中は特殊な磁場の影響により、鉱石のアイテムボックスへの収納、ならびにマーケットへの出品が行えなくなる。

その為、採掘した鉱石は船に積んで拠点に持ち帰ることになるだろう。

そしてそれはつまり、無法者たちの格好の獲物とも言える。

この情報は普段盗賊行為を行っている者たちの耳にも入っている。

彼らもこの機会に大挙してやってくることだろうから、くれぐれも注意してほしい。


この内容を読んだプレイヤーの反応はと言うと、概ね良好なようだった。


「よっしゃ。やっと鉱石系イベント来たぜ」

「前回は農産業というか食料系だったからな」

「これで武器の強化が捗るぜ」

「レアメタルって何かな?」

「ミスリル、オリハルコン、アダマンタイト。どれもまだ出て来てないからな」

「ファンタジー系の定番だね」

「ただ船の改造しろってあるけど、船大工なんて居たか?」

「……」

「……」

「……」


その一言で慌てて動き出す攻略組。

一応、海の多いこの世界。一般の船大工も居るし、プレイヤーで職業:船大工は何人か居る。

しかしそれも100人に満たない程度だ。

フリーの船大工と言えば片手で数えられるかもしれない。

その為、イベント開始までの期間は船大工争奪戦が行われることになる。


同時に海賊対策も話し合われることになった。


「やっぱ基本は船体の強化と、武装だよな」

「ああ。船の武器って言ったら大砲とバリスタかな」

「バリスタはともかく、大砲は世界観違うんじゃないか?」

「うーん、なら魔導砲とか?」

「巨大戦艦に魔導砲載せて、並み居る海賊どもを一網打尽だな!」

「おお!格好いい」

「問題はそれを誰が造るんだって話だけどな」

「……」

「……」

「無念だ、くっ」


がっくり膝を突くプレイヤー達。

やはり大艦巨砲主義はいつの時代もロマンらしい。


「後は魚人族に援護をお願いするとかどうだ?」

「魚人族? あぁ、そういえば一部友好な奴らがいるんだっけ」

「そうそう。こういうのに力を貸してくれるかまでは聞いてみないと分からないけど」

「まぁダメで元々ってところだな」

「あと、友人に泳ぎが得意な奴が居るからちょっと相談してみるかな」

「お、そんな奴いるのか」

「ああ。……あれ、そうなのか。なら仕方ないな。

すまんみんな。その友人、イベント期間中は別の用事があってログインできないかもしれないらしい」

「まぁ、仕方ない。そこはリアルの用事優先だな」

「じゃあとにかく俺達で出来ることを考えよう」

「そうだな。魔法系プレイヤーを集めるだけでも十分戦力になるしな」

「ところで、みんな。試験勉強とか大丈夫か?」

「ちょ……」

「おま……」

「みんな必死に忘れようとしていた案件を」

「あーいや、すまん」


そうして若干冷たい風が流れつつも話し合いは続いた。




そして時を同じくして盗賊たちには追加でメッセージが届いていた。


【盗賊プレイを楽しむ皆様へ。

今回のイベントでは、皆様には海賊として参加して頂きます。

海賊には専用の拠点を用意させて頂きます。拠点への移動は7月10日から可能とさせて頂きます。

拠点の場所は24日のイベント開始まで非公開であり、拠点の外に出ることも出来ません。

海賊の場合、海上で他のプレイヤーの船を沈めた場合、その船に積んであった鉱石を自分の船に載せる事が可能です。

ただし、各種族の拠点を攻めることは出来ませんのでご了承ください。

イベント終了時点で拠点に存在する鉱石が、皆様の取り分となります。


なお、もちろん、イベント開催までに罪を清算することで、一般プレイヤー同様に活動することも可能です。


「よっしゃあ!俺達の時代が来たぜ!!」

「おうよ。最近トップ攻略組が巡回とか始めた影響で燻ってたからな」

「海上戦なら5分と5分。更に奴らは鉱石を満載して足が重くなってるはずだ」

「なら横っ腹に突撃して大穴開けてやろうぜ!!」

「おっ。それいいな。船に突撃角付けようぜ」

「やっぱ海賊って言ったら大砲なんかでチンタラ撃ちあうより突撃だよな!」


なぜか突撃艦を造ることに闘志を燃やす盗賊たち。

それが吉と出るか凶と出るかは後でわかることだろう。

ただ彼らは彼らで楽しそうなのは間違いない。

一般プレイヤーよりも4日も早く拠点入り出来る理由を考えた者が1人も居なかった事だけが残念でならないが。


「え、試験勉強?一夜漬けに決まってんじゃん」

「俺なんて1朝漬けだぜ!」

「サイコロの準備は万端だ。2の2は任せろ」

「いや、麻雀じゃないから」


……まぁこれも理由の一つだったのかもしれない。

後書き日記 リース編 続き


滝を見て回った後は少し戻ったところにあるベンチでお昼にしました。

ランチボックスを開いてポットからお茶を用意します。

そう言えば先輩って好き嫌いはあるんでしょうか?

特にないと。それは良かったです。

サンドイッチの具?ええっと、それは食べてからのお楽しみです。当ててみてください。

そうしてお昼を食べながら色々話をしました。

来る途中も思いましたが、先輩は雑学知識が豊富で話をしていて飽きません。

いったい何をしたらそんなに知識が身に付くのでしょう?


ははぁ。どうやらご両親の影響だそうです。

聞けば世界中を飛び回っては面白い話を聞かせてくれるのだとか。

……あら?

最近同じような話を聞いた気がします。

どこでだったでしょう?

まぁ今は良いですね。

ではそろそろ帰りましょうか。

といっても久しぶりに森歩きでちょっと疲れました。

そう言ったら先輩は私の荷物を持ってくれました。

い、いえ。おんぶはしてくれなくて大丈夫です。

流石に恥ずかしいですから。

そして帰りの電車に乗って、それから……。


はっ。すみません。寝てしまっていたみたいです。

もたれかかってしまっていたみたいですけど、重くは無かったですか?

それなら良いのですが、先輩を枕にしてしまうなんて。


そして帰り道。

流石に家まで送って頂くのは申し訳ないので分かれ道までで大丈夫です。

今日のデートはどうだったか、ですか?先輩的には凄く楽しかったと。

そうですね。私としても悪くなかった、いえ。

もし次があるならまた誘ってほしいなって思えるくらい良かったです。

これから期末試験があるのであまり遊べないですけど、夏休みに入ってからなら、また誘ってください。

試験は大丈夫か、ですか?

はい。そちらは友人と勉強会も開いたりしてるので多分大丈夫です。

元々成績は悪くないですし、トップを狙ってる訳じゃないですから。


今日はありがとうございました。

また試験が終わったら夏休みの計画を立てましょう。

そう言って先輩と別れました。

今日はいい夢が見れそうです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙い [一言] そうだね各種族の拠点には攻め込めないね でも海賊は種族じゃないね 頑張ってね!!
[一言] 盗賊プレイヤーも運営公認なんだね。 リースと先輩、これもはや付き合ってるよね?ね? イベント島を楽しめる会場にしてなんとか鉱石の流出を防ぎ、また占拠されないように〜の為の下見? 先輩それな…
[良い点] 後書きでラブコメしていくスタイル!好きですねw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ