表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜宮農場へようこそ!!  作者: たてみん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/162

島に住人が増えました

さて、食事の準備は出来た。

みんなも今か今かと心待ちにしている。

後は俺の号令一つで十分っちゃ十分なんだけど。


「おっさん」

「ん?あぁ、わかった」


隣に立っているおっさんに声を掛けると、心得たというように頷いた。

この辺りは年の功というか、ちゃんと分かってくれるらしい。


「あーおほん。

みんな。今日は私の友がみんなの為に料理を持ってきてくれた。

しっかりと感謝して頂くように。

それとこの後、幾つか伝えないといけないことがあるが、それは食べてからで良いだろう」

「「わんわんっ」」


極々簡潔におっさんが挨拶をする。

このタイミングで長々と話すと目の前がよだれで水たまりになりそうだからな。

ちらっとこちらを見たおっさんに頷きで返す。


「では、いただきます」

「「わん!」」

ガツガツガツガツっ


おっさんの言葉を皮切りに一斉に食事に飛びつく子供たち。

うーん、完全に近所のわんこと同じ挙動だな。

料理を並べてから鳴き声以外に一切しゃべってないし。

ちなみにみんなが子供たちを見る目も完全にペットを見るそれだ。

リースもレイナも撫でたそうにうずうずしてるし。

これは拠点への受け入れはほぼ確定だな。

あと気になることと言えばだ。


「なぁ、おっさん。一応確認しておきたいんだが」

「んごんが?」

「いや、まず口の中のものを飲み込んでくれ」

「んぐっ。……ふぅ。それでなんだ?」

「何をどうやったら人獣の子供がこんなに沢山いるんだ?」

「あー話せば長くなるんだがな」


頭をポリポリと掻きながらおっさんは話始めた。


「ワシも以前は街に住んでたんだ。

これでも建設業では一目置かれる立場だったんだ。

その日も馴染みの酒場で飲んでた帰りだった。

橋の下から弱弱しい犬の鳴き声が聞こえて来るじゃねぇか」

「それで可哀そうになって連れて帰ったと」

「おいおい、そうだけど、端折り過ぎだ。

それからなぜかこいつら人獣と縁が続いてな。行く先々で会うようになったんだ」

「それで気が付けばこんなに沢山って、凄いな」


一般家庭だったら「捨ててきなさい!」ってお母さんが言いそうなものだけど、金も権力もあるおっさんにそんなことを言う人は居なかったって事か。

あれ、でも金があるなら100人くらい養えるような気もするけど。

その疑問に答えるようにおっさんが話を続けた。


「当時、というかまだ3年前か。

その頃は人狼事件ってのが流行ってな。

日中、人の姿に化けた魔獣が夜になって人を襲うってやつだ。聞いたことくらいあるだろ?

実際に魔物が起こした事件なんだが、どっかの馬鹿が人獣もその魔物と同類なんじゃないかって言い出しやがったんだ。

馬鹿だよな。こいつらじゃ頑張って人の姿になっても毛深い獣人くらいが精々で、すぐに見分けがつくって言うのに。

だが妄信した奴らにそんな道理は通じなくて、こいつらを差し出さないと館ごと焼き払うって脅された俺は、夜陰に紛れてこいつらと街を抜け出し、ここに隠れ住むようになったって訳だ」


なるほどね。

ただ、貴族同然で暮らしていたおっさんじゃあ立派な家は建てられても、畑や料理は素人レベル止まりで100人の人獣を飢えさせないようにするのがギリギリだったと。

むしろ良くこの状態で全員を養えていたなと褒めて良いところだな。


「あの、それでどうして私達が来たときは料理を作らされたんですか?」


そう聞いてきたのはサクラさんだ。


「そりゃ自分で作る料理が不味いのはほとほと痛感してたからな。

女の子が2人も来てくれたんだ。

少なくともどっちかは料理が出来ると期待するだろう。

そしてワシだって女の子の手料理が食べたかったんだ!

可愛い子のあーんは男の夢だろう!!」


いや、おっさん。

さっきまでの感動話が今の最後の一言で吹っ飛んだぞ?

一応男として否定はしないが、もうちょっとシリアスな状態を保とうな。

と話している間に子供たちもあらかた食べ終わったみたいだな。


「なぁみんな。これからも美味しいごはんが食べたいか?」

「「はい」」「「わん」」

「よし、ならおっさんを含め、みんなで俺達の拠点に引っ越しをするぞ」

「「はい」」「「わん」」


実に素直で元気な返事を聞きつつ、俺達はみんなを連れてグレイル島へと戻った。

今更だけど転送門って手を繋いでれば100人でも一気に飛べるんだな。

まぁそれはともかく。

島に飛んできた子供たちは新しい環境をみて楽しそうに駆け出してしまった。


「ほらみんな。戻ってこい。

ここにはここのルールがあるからな。

ここで生活するうえでは守ってもらう必要がある」

「「はい」」「「わん」」

「まず目上の人には敬意をもって接すること。

順番で言うと今日初めて会った俺達6人が1番上。その次がおっさんや向こうに居る牛たち。最後に皆だ」

「え、俺ってあの従魔と同列か?」

「「はい」」「「わん」」

「ぷっ」


奇しくもおっさんの問いかけを子供たちの返事がつながる。

笑っちゃ悪いが、おっさんの立ち位置はそれくらいで十分だろう。


「続いて、働かざる者食うべからずだ」

「??」

「つまり、美味しいごはんが食べたかったら皆の役に立つこと。

具体的に何をしてもらうかは決めてないけど、出来ることが分かったら色々手伝ってもらうからそのつもりで」

「「はい」」「「わん」」

「特に年長さんは職業訓練とか丁稚奉公みたいなものだと思って頑張ってほしい」


俺達だって本当の意味でずっと一緒に居られる訳じゃないし、近い話だと来年は俺も受験とかあるし、何かの理由でログインできなくなるって事もあるかもしれない。

だからこの世界に生きる人たちだけで生活出来るようになるのが理想だ。

幸い畑はあるし、料理もランプとバラがある程度は出来るらしいからもう一息だろう。


「住むところに関してはおっさんの担当だから、任せたぞ」

「そこで丸投げか。まぁ美味い飯と酒と住処の為だ。何とかしよう」

「よし、という訳で今は解散。島を探索するなり好きにしていいぞ」

「「わーい」」

「いこう、みんな」

「うんっ♪」


そうして子供たちは四方八方に飛び出していった。

これからここも賑やかになりそうだな。


後書き日記 リース編 続き


この世界には人獣と呼ばれる種族が居ることを初めて知りました。

というか、教えてもらわなければ普通に動物としてしか見ることは無かったでしょう。

実際に街での扱いも似たようなものなのだそうです。

その為、実は人獣だったと知られてしまったら高確率で捨てられるか殺されてしまうそうです。

酷い話ですね。

ダームのおじさんはそうして捨てられた、または捨てられそうになっていた子たちを保護していたようです。

そこだけ聞くと美談ですね。


ただ、結果として自分の首を絞めてしまい、森の奥深くで空腹に耐えながらの暮らしを余儀なくされていたそうです。

それは例えるなら、フランダースの犬が100匹居るようなものでしょうか。

そう言えば昔『フランダースの101匹わんちゃん』なんてパロディがありましたっけ。

101匹の捨て犬を拾って飼うことにしたネロが、空腹に耐えかねてそれから……あれ、どうなるんでしたっけ。

確か幾つかパターンがあってそのうちの1つは悲劇だった記憶もあるんですけど。


ま、まぁ。それは忘れましょう。

ちなみに私は子犬派です。え、強引な話の転換?気にしないでください。さっきのは忘れましょう。夢に出てきますから。

こほんっ。

レイナは大型犬が好きなんだそうです。確かに近所を散歩している子を撫でさせてもらった事がありますが、ふわふわで素敵な撫で心地でした。

そしてウィッカさんは猫派。今なら魔女スタイルと合わさって黒猫が似合いそうです。

ちょっと変わったところでサクラさんはタヌキで、ツバキさんはキツネが好きなんだそうです。

あ、でも、サクラさん。

その未来型ロボットはタヌキじゃなかったと思いますよ?

そしてカイリ君は犬も好きだけど狼の方が好きと。


見事にみんなバラバラになりましたね。

幸いどの子も居ますし、取り合いにはならないですが。

後の問題はそうですね。

運営に要望でも出しておきましょうか。

従魔以外にもペットシステムを導入するように。

この子たちをペットと呼んでいいかはちょっとだけ考えますけどね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] あれ? おっさんだけ今話題の無人島開拓スローライフゲームやってねえ? 言葉話す動物の住人とか正にそれな感じが 気にしない事にした方がいいのか?
[一言] 101匹ワンちゃん(犬?人狼?)は宝です それを壊す輩はモンスターと同列です 滅ぼされても文句は言えません
[気になる点] 人獣のペット(獣の要素が強いとは言え人型の幼いロリ&ショタ) 完全に事案だね(^_^;) [一言] 動物なら犬でも猫でも小さい子供の時の可愛い姿を見るのは好き
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ