仲間が出来ました
本当は1種類ずつ登場させるつもりだったのですが一気に行きます。
原因は頭の中にきびだんごが飛び交っているせいです。
そして早くも評価が4桁に((((;゜Д゜))))
皆様お読みいただきありがとうございます。
そしてスライムさんありがとう~~!!
1時間ほど掛けて畑の収穫を終えた俺は大きく伸びをした。
ずっと中腰だったからな。田舎の爺ちゃんの苦労が偲ばれる。
収穫を終えた畑を見返してみると、最初の緑が生い茂っていたのが一転、地面がむき出しになったのが分かる。
ただ、最初の岩盤ではなく、掘り起こされた状態だから、耕しなおすのは難しくは無いだろう。
多分今後は、畑の拡張しつつ、耕しては収穫してを繰り返すことになるんだろう。
それだけ聞くと単純労働+重労働だ。
他の人がやりたがらないのも分からなくはない。
ただ見返りがない訳じゃないからな。
収穫を終えたところで俺のジョブレベルもアップしていた。
それに頑張った成果が目に見えるってのは良いものだ。
俺は収穫した食材たちをアイテムボックスから取り出して並べてみた。
こうしてみると先日スーパーで買ってきた野菜に比べて色艶も良いし美味しそうだ。
というのはひいき目が過ぎるかな?
ちょんちょんっ
「ん?」
不意に肩を叩かれた。
振り返ってみると、そこに居たのは。
「イカ?」
「きょんっ♪」
足の長さまで含めると1メートルに達しそうなイカだった。
正確にはイカをぬいぐるみ風にデフォルメしたような可愛い見た目だ。
ただ2本の腕が刃物の様になってるし、この挙動も動物とは思えない訳で。
「えっと、魔物、だよな?
俺は食っても旨くないぞ」
「きょきょっ」
長い腕を左右にゆらゆら振って違うよのポーズ。
どうやら俺を攻撃する気はないようだ。
ならどうしたんだろうと思ったら、足の1本が地面に置いてあったほうれん草を指さした。
「もしかして、ほうれん草が好きなのか?」
「きょんっ♪」
そうらしい。
そう言えば説明書きにも特定の魔物の好物だって書いてあったしな。
あとここに居るってことはご近所さんなんだろう。
「ならお近づきの印に1つどうぞ」
「きょんっ♪」
「俺は当分ここで活動してるからな。
今後とも仲良くしてくれると嬉しいぞ」
「きょ~ん♪」
ほうれん草を受け取ったイカは嬉しそうに小躍りしてる。
うんうん。こうして自分が作ったものが他人に喜ばれるのは良いものだな。
そういえばさっきの岩の魔物。あいつもニンジンが好物だったってことなんだろうな。
そう思って岩のあった方を見たけど、もうそこにあの岩は無かった。
代わりに。
「……」
「おっと、お前いつの間にそばに来てたんだよ」
気が付けば置いておいたニンジンのすぐ横に例の岩が鎮座していた。
その姿は待てをしている犬のようだ。
お手とか言ったら手が出てくるかな?
「お前さんも欲しいなら……」
ピカッ!
岩に声を掛けようとしたところで、突然周囲が明るくなった。
ここはそれなりに深い海の中だから常時薄明るいくらいなんだけど、例えるなら夕暮れに明かりを灯したような……ってこれまんまじゃん。
俺達のすぐ上でオレンジ色の電球が周囲を照らしていた。
光源を手で隠しつつ正体を確認すれば1匹の魚が見えた。
「今度はちょうちんあんこうか。
ひとまず眩しいから光量抑えられるか?」
「ぴっ!」
小さな鳴き声の後、明るさが100Wの電灯から豆電球へと抑えられた。
「で、この流れで行くとお前もどれかが好物なのか?」
「ぴぴっ」
「しいたけか。まぁ3体とも好みが分かれたのを喜ぶべきかな。
よし、今日は初めて収穫出来たことと、みんなとの出会いを祝って宴会だ。
だから遠慮せず食べてくれ」
「きょっ♪」
「ぴっ♪」
「……くぃ♪」
俺が手を広げてどうぞ~ってやると、3匹とも嬉しそうにそれぞれの野菜に飛びついていった。
そして岩だと思ってたニンジン好きの魔物。岩がぐいっと持ち上がったと思ったら下から真っ赤なハサミが出てきた。
なるほど。ヤドカリの魔物だったんだな。
みんなが野菜を食べている姿を眺めつつ、俺はアイテムボックスに残してあった食材の一部をダンデへと送ることにした。
『うちの畑で採れた野菜第1号だ。どうか美味しく食べてやってくれ』
送信っと。
野菜の感想とかは明日あった時に直接聞けば良いだろう。
そして気が付けば既に出しておいた野菜は全部無くなっていた。
「お前たち、意外と大食いなのか。ちがう?特にお腹が空いてただけ?
普段は1日1つもあれば十分、か」
イカの足によるジェスチャーで何とか意思の疎通が出来た。
まぁ確かに。
この辺りに食えそうなものなんて何もないしな。
海溝がどこまで続いてるかは知らないけど、海流に流されてきて、たまたま好物が生ってる畑を見つけたから様子を窺っていたようだ。
で、ヤドカリがニンジンを貰ってるのを見て危険は無さそうだと思って近づいてきたらしい。
そんな彼らは今、俺の前に1列に並んでいる。
「えっと、どした?」
「きょっきょきょ」
「えっと、すまん。解読が難しいぞ?」
「くぃ」
上手く表現できなくて腕をワタワタさせていたらヤドカリから助け船が出た。
えっと、ヤドカリの岩をイカが撫でる……よしよし……ああ!
「お礼がしたいと」
「きょ♪」
当たりらしい。
お礼か。正直昨日まで一人でちょっと寂しくなってきたところだから、こうして賑やかになってくれるだけで有難いんだけど。
それならここに住んでもらう?もしくは時々でも良いから遊びに来てもらうとか。
いっそのこと皆で畑仕事出来たら楽しいかもな。
「皆さえ良ければ、一緒に畑を耕さないか? もちろん採れた野菜は食べてくれていいし」
「きょっ♪」
「ぴっ♪」
「くぃ♪」
どうやら提案は受け入れられたみたいだ。
3者3様、喜びを体で表現している。
と思ったら3匹がくぃっと手を俺に差し出した。
何だろうと思いつつその手を握ると
【岩ヤドカリと従魔契約を結びました】
【刀ヤリイカと従魔契約を結びました】
【光アンコウと従魔契約を結びました】
3匹とも俺の従魔になってくれたみたいだ。
そう言えば忘れかけてたけど、初期スキルで従魔術を選択してたんだっけ。
後書き日記
21xx年4月23日
今日はこれまで手に入った食材で料理を作ろうと思います。
昨日は変なのに絡まれましたからね。
よく考えれば、あれはナンパの一種だったんでしょう。
もしかしたら彼らが待ち伏せしてる、なんて可能性もゼロじゃないですから念には念を入れて、今日は街の生産施設で過ごす予定です。
さて、アイテムボックスの中の食材を確認すると、
・ウサギ肉
・狼肉
あと食材とは言えないけど食べられそうなものと言ったら
・滋養根
・活力草
・魔力茸
・解毒草
この辺りでしょうか。
ひとまずは無難にお肉を焼いてみましょう。
生産施設には備え付けのかまどや井戸などがそろっています。
利用料は1時間500G。他に火を使うなら燃料代などが掛かります。
なのでここで調理して売ろうと思ったら、それ以上の売り上げを出さないと利益が出ないことになります。
まぁ。当分の間は商売ではなく、自分の趣味で使うので良いのですが。
あとこの場に私以外に調理場を使う人が居ません。
時間帯の問題なのかそれとも料理人がそれだけ過疎化しているのか……。
ともかく無難にウサギ肉から焼いてみます。
味付けは残念なことに塩のみ。
最初なのでゲームのサポート機能をONにしてあります。
なので焼き上がりのタイミングはばっちりです。
焼けた肉を早速一口食べてみます……もぐもぐ……意外と臭みが強いですね。
続いて狼肉も焼いてみます。
こちらは期待していなかったのですが、悪い意味で予想を裏切りません。
はっきり言って不味いです。臭みがひどいし肉質は硬いし餓死寸前でもなければ食べたいものではありません。
何か臭みを消せるものがあればいいのですが。
ちょっと従兄に相談してみましょうか。