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竜宮農場へようこそ!!  作者: たてみん


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生産職らしい戦い方

沢山の感想ありがとうございます。

お返事を出せなくてごめんなさい。

というのも、感想の内容が色々考えさせられる内容ばかりなもので、返事を書こうとするとそれに本編が引きずられて行ってしまいそうだからです。

しっかり熟読させて頂いていますので、引き続きどしどし感想をお寄せ頂けると幸いです。

翌日。

朝のうちに畑仕事も終わらせて放課後はまた3人で冒険に出かける。

今回はウィッカさん達によるお見送り付きだ。

あ、そうそう。

いつの間にか農家レベルが上がっていたみたいで、新しい農産物が採れるようになっていた。

これでまたリースの料理の幅も広がるし良い事尽くめだ。


さぁ。やってきました獣人族第2の島。

事前に調べてきた情報によると、この島は港と村以外はバトルエリアというなかなかにスリリングな場所だ。

情報サイトにも、


『マナーが大事。マナーがなってない=PK候補生。不用意に知らない人に近づかない事!!』


と書かれてしまう程だ。

ただひとつ有難いことに、俺達が求めている牛は島中央に広がる平野部に生息しているらしい。

なので昨日のように林の陰から待ち伏せを食らう心配はない。


「今日は初日だし、1頭ずつ行ってみようか」

「「はい」」


そうして港区域を出ていざ平原へ。


「おぉ、居る居る」

「やっぱりかなり遠くまで見渡せるね」

「黒い牛と白い牛が居るのは、雄牛と雌牛でしょうか」


ざっと見ただけでも牛が10頭。プレイヤーが3組見える。

折角先に戦ってくれてるので、戦い方を参考にさせてもらおうかな。

どれどれ……。


「『スラッシュアロー』」

「ブモォーーー」

「よっしゃ来い。『鉄壁』」

ガギンッ!!

「よくやった!潰すぜ」

「おおぉ」


なるほど。弓職が釣って、盾職で足止め。

牛の足が止まったところで残りのアタッカーが総攻撃か。

実に堅実だな。


「『バーストアロー』!!」

「「ブモォーーー」」


おっ、あっちは魔法職で釣りか。

しかも3頭同時だ。ぱっと見、盾職は居なさそうだけど大丈夫か?


「『ストーンハンマー』」

「『トルネード』」


へぇ。岩をぶち当てて牛の勢いを消したところで突風で牛を吹き飛ばした。


「『アイススパイク』」


落ちてきたところに氷の槍で串刺し。

更に数発の魔法を撃ち込んでいる。

結果、一切近づけさせずに3頭とも倒してしまった。


「やっぱりこうして見ると戦闘職って強いんだな」

「ほんとね。今まで襲ってきた人たちが微妙だったからどうかと思ってたけど」

「あの人たちと正面から戦ったら勝ち目がないですね」

「だな。さ、俺達は邪魔にならない場所まで移動してから始めようか」

「そうね」


ただそうは言っても牛はそれなりに人気があるのか、ある程度進んでも人が途切れることは無かった。

仕方ないのである程度空いてるところで我慢することにした。

絡まれそうになったら謝りつつ全力で逃げよう。うん。


「それで、どうやって戦うの?」

「ん?」

「いや、何組か戦い方見たけど、私たちに真似できるのって無かったから」

「そうですね。釣るのは石を投げるとかでもいいですけど、わたしたちじゃ正面から牛の突撃を受け止める事なんて出来ないですし。かといって近づかれる前に倒せるような遠距離攻撃も無いですから」

「言われてみればそうだな」


やっぱり俺達は生産職だからな。

力押しの戦い方は残念だけど出来ない。

だから生産職なりの戦い方をするしかない。


「リースの包丁ならあの牛、解体出来る?」

「止まってくれれば大丈夫だと思うわ」

「レイナは針を投げる要領で石投げて牛を釣ってくれるか?」

「はい、頑張ります!」

「よし、じゃあ準備するから少しだけ待っててくれ」

「準備?」

「ああ。俺が出来ることなんてこれぐらいだからな」


そう言って鍬を取り出した。


「鍬?ここに畑を作るの?」

「うーん、流石にここに作ってもすぐに荒らされそうだな」

「じゃあ何をするんですか?」

「もちろん掘るんだよ。ただし畑じゃなくて落とし穴をな」


そう言いつつ『開墾』スキルで地面に奥行き1メートル、幅3メートル、深さ1メートルの穴を掘った。


「よし、こんなもんかな」

「……あっという間に掘っちゃったわね」

「ショベルカーもびっくりです」


いや、流石にそこまでじゃないと思うぞ。


「さ、それよりやってみようか。レイナ、向こうに居る1頭を頼むよ」

「はい。行きます!」


ヒュンッと風を切ってレイナの投げた小石が狙いたがわず牛のお尻部分に当たった。


「ブモ?」

「やーい、牛うし~!!」

「ブモォッ」


自分で言っててよく分からない挑発だけど、無事にこっちを標的に走ってきてくれたから良しとしよう。


「って、カイリ君。なんで穴のそっち側にいるの!?」


そう。リースの言葉通り、俺は穴よりも牛側に立っていた。


「いくら単純一直線な牛だって、あからさまに落とし穴があったら飛び越えるだろ?

だから囮が必要かなと思ってな。それよりリースは牛が穴に嵌ったら頼むな」

「う、うん。無茶はしないでね」

「はいよ」


さ、そんなことを言ってる間に来たな。

って凄い迫力だな。

正面からアクセル全開の自動車を待ち構えるようなものだし。

こっちは生身+はじまりの鍬が1本だけだ。


「さぁ来い!!」

「ブモオオォーー」

ズンッ


両手で構えた鍬の柄で牛の角を受け止める。

だけど当然、体重も速さも乗った突撃を止められる訳がなく、俺はあっさりと吹き飛ばされて穴の向こう側、リース達より更に後ろに落ちた。


「カイリ君!!」

「大丈夫。それより牛をっ」

「えっ?」

「ブ、ブモっ」


牛は俺に衝突した勢いのまま前進し、穴に落ちたところだ。

しかも丁度良く角が穴の側面に突き刺さって動けなくなっている。


「はっ」

ズバッ


屠殺よろしくリースの包丁が牛の首に深々と突き刺さる。

しかし即死とは行かないらしく、往生際悪く後ろ足を暴れさせる牛。


「任せてください!」


レイナが力強くそう言うと、糸を取り出して牛の両後ろ足を縛ってしまった。

変な体勢のせいか、たったそれだけで牛は動けなくなってる。

その隙に2回3回とリースが包丁で切りつけ、遂には牛を倒すことに成功した。


「よし、無事に倒せたね」

「そうね」

「カイリさんが吹き飛ばされた時は一瞬ヒヤッとしましたけど」

「一応自分で後ろに飛んだからダメージはほとんど無いから大丈夫だぞ」

「それでもやるなら先に一言言ってほしいな。見てるこっちは気が気じゃないから」

「そうだな。ごめん。次から気を付けるよ。

さて。じゃあもう何回かやろうか」

「そうね。今のうちに牛肉とかストックしておきましょう」

「わたしも牛革が欲しかったんです」


それから1時間かけて10頭ほど狩ることに成功した。

ちなみにドロップするのは牛肉、牛革、角、骨、血と内臓も手に入るようだ。

内臓はホルモンとかで食べれそうだけど血はどうするんだ?

ウィッカさんに渡して錬金術の材料ってそれじゃあ呪術だな。

あ、畑の肥料として使えるかな。

後書き日記 リース編


21xx年6月2日


今日からは牛狩りです。

本当は昨日のうちに狩場まで辿り着く予定だったんですけど、途中で邪魔が入りましたからね。

その分まで全力で狩りに励もうと思います。


ちなみに、ラムラリア西の村でも少しですが牛肉は手に入りました。

ただし、値段が高くて質は良くないという残念具合。

それに対してこれから向かう場所に居るのは『マーダーブル』『マーダーカウ』と呼ばれる魔牛。

事前情報からも「食べたことないけどA5ランクってこういうのか」とコメントがあるくらいですから、味は期待できそうです。

あと、牛肉もですが、牛骨も欲しいです。

煮込めば良い出汁が期待できます。


じゅるり。


おっと失礼。それにそういうのは無事に手に入ってからですね!

って、そういえば私たちどうやってあの牛を倒すんでしょう?

すれ違いざまに包丁を眉間に刺すとか?

刺すのは出来たとしても、避けられる自信はありません。

止まってさえいてくれれば何とかなりそうですけど、いくらゲームでも生身で牛の突進を止められるとは思えません。


と、思っていたらカイリ君が穴を掘りだしました。

物凄い勢いで土が掘り上げられていきます。

これが戦闘でも使えればボスだって倒せそうです。

使えないのはバランス調整の結果だったりしませんか?

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― 新着の感想 ―
[一言] 牛を連れて帰って飼育するんだと思ってた〜
[良い点] 更新乙い [一言] 牛肉牛肉 食べるなら、血はソーセージにしてみるとかですかね?
[一言] 岩のゴーレムとかならもしかしたら?
感想一覧
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