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説得と再襲撃

気分的に2章に入ってるので後書きが誰かは公開してます。

男性4人の後を追う形で街道を進む俺とレイナ。

今のところ何かが起きる様子はないけど、さてどうなるか。


「リースさん今頃どうしてるでしょうか」

(カイリさん、やっぱり危険じゃないですか?)


レイナが俺の顔色を窺うようにチャットを送ってくる。

それに対し、俺は安心させるように笑顔を返す。


「元々気分転換に出てきただけだから、デスペナ中は街で何か作ってるんじゃないか?」

(でもここを抜けないと牛にありつけないし、もしもの時の手段はあるから何とかなると思う。

 怖い思いをさせたらごめんな)

(それは、はい。大丈夫です)


そうして話をしてると、4人組のリーダーっぽい男性が話しかけてきた。


「お前たちって仲良さそうだよな。いつも3人で活動してるのか?」

「いえ、いつもは他にも居ますよ」

「そうなのか。もしかしてクランに入ってるのか?」

「ええ、そうです」

「なんだそうなのか。

しかしそうすると酷いクランだな。生産職だけでこんな危険な場所に向かわせるなんて。

俺達のクランなら絶対にさせないぞ」

「へぇ、優しいんですね」

「ふふん、そうだろう」


適当におべっかを使うと嬉しそうに頷く男性。

更には馴れ馴れしく俺の肩に手を置いた。


「なぁ、君たちさえ良ければうちのクランに鞍替えしないか?

そうすれば危険な場所に行く必要はないし、欲しい素材とかあったら俺達で取ってきてやることも出来るしな」

「はぁ」

「君たちを見ていると不憫でな。

優しい君たちのことだ。他のメンバーの無理な要求だって何とかしてあげようとしてしまうんだろう?

分かるぞぉ。その気持ちはよく分かる。

だがそれは奴らに良いように使われているだけだ。

君たちは気付いていないだろうけど、君のクランメンバーは君たちを体のいい道具としか見ていない。

そうじゃなかったら、君たちが冒険に出るときにサポートに付く戦闘職が居ないのはおかしいからな。

な、そうだろう!」

「そうなんですか?」

「そうだとも。君たちは搾取されているんだ。

いやぁ今日出会えたのは奇跡だな。

もし今日会えなかったら二度と会えなかったかもしれない。

君たちは本当についているよ。

ん?あぁ。君たちが悩む気持ちがあるのも分かる。

だけど今すぐ決断すべきだ。今ならまだ間に合う。

そんなクランは今すぐ脱退して、我々のクランに入るべきだ」

「……」


なんというか。自己陶酔し始めたんだけど、何なんだ?

初対面の印象はもっと普通の人だと思ってたのに。

見ても居ないのによくもまぁここまで言えるもんだ。

そしてどうにかして自分たちのクランに入れさせようっていう魂胆が透けて見える。

はぁ。

まぁ意図が分かりやすいのは有難いというべきか。


適当に話を流しながら先に進んでいると、ぼちぼち林の終点が見えてきた。

多分あの先に次の島に渡るための港があるんだろう。

タイムアップだな。

でもそう思ったのは向こうもだったらしい。

林を抜ける手前で足を止めると全員が示し合わせたようにこちらを振り返った。


「さぁ、君たちの結論を聞かせて欲しい。

もちろん我々のクランに入るよな!」


そしてそのタイミングでリースから連絡が飛んできた。


(カイリ君。さっきの盗賊たちはカイリ君達の後ろの林の中で待ち伏せしてるわ。

話してる内容からして、やっぱりその人たちとグルね。

クラン入りを断った瞬間、襲い掛かる算段みたい)

(そうか。残念だな。リースの居る位置は風上?あれできるかな?)

(うん、出来るけど、2人を巻き込んじゃうよ)

(そこはこっちで何とかするよ。じゃあ、盗賊が飛び出したところで頼む)

(分かったわ)

(レイナは針隠し持ってて)

(は、はい!)


「そうだな。俺達の事を思って言ってくれてるのは嬉しく思う。

でもやっぱり俺達は今のクランを抜ける気は無いよ」

「どうしてもか?」

「ああ、済まないな」

「そうか、残念だ」


そう男性が言ったところで、後ろの林からさっきの盗賊たちが出てきた。

人数も3人増えてるな。

って。


「リース!?」

「ごめん、見つかっちゃった」


盗賊たちに剣を突き付けられたリースが居た。

さっきの今って事は尾行に気づいてて直前まで泳がされていたのか?

意外とやるじゃないか。

っと、感心している場合じゃないな。


「てめぇら、さっきは良くもやってくれたな」

「いや、やったのはこっちの4人だから」

「うるせぇ。とにかく人質を殺されたくなかったら有り金全部寄越しな!」

「ぐっ。なんて卑怯な!!!」


ってノリノリで答えてみたけど、実際問題殺されても拠点送りにされるだけなんだけどな。

誘拐されたり凌辱されたりするなら話はまた変わってくるけど、このゲーム流石にそこまでは許されていない。

ちらっと後ろを見れば4人組は武器を出してはいるが戦う気はないようだ。

むしろあの武器は俺達に向けられる危険性の方が高い。


「えっと、今回は助けてくれない感じかな?」

「ああすまんな。善意で助けるのは1回きりだ。

もちろん我々のクランメンバーというなら話は別だがな」

「そっか」


さっきは盗賊なんて許せないって言ってた気がするんだけどな。

しかし流石にこれはまずいか。

人数だけじゃなく人質まで取られるなんてな。

後書き日記(続き) リース編


冒険者ギルドを出た私達は早速、牛が居る島を目指して1つ目の島に渡りました。

レイナさんによると、ここはバトルエリアありの島だそうです。

3人の中では私が一番戦闘には慣れてますから、ここは私が気を張らないといけないですね!

と思っていたら早速声を掛けてくる人達が居ました。

ぱっと見は普通の人達ですね。

ただ何かが頭の片隅に引っかかります。なんでしょう。


その原因が分かったのは、その後盗賊に狙われて離脱した後。

島の入口で声を掛け、私達の後ろからやってきた彼らは、本島の冒険者ギルドから私達をつけて来たんです。

多分カイリ君が冒険者に登録したのを聞いて、カモだと思ったんでしょうね。

もちろん転移門での移動先は3つの島のどれかまでは分からなかったのでしょうが、バトルエリアのあるこの島に張ったというところでしょう。


そして今、私は林の中をこっそりと進み、盗賊たちの後をつけています。

うーん、意外と見つからないものですね。

彼らが馬鹿なのか私の隠密スキルが高かいのか。

きっと両方ですね。

それと、もうちょっと近付けば彼らが話してる内容も聞こえるでしょうか。


ふむふむ。っと、もう林の出口が近いですね。

カイリ君からも盗賊たちが出て行ったら風上から毒草を燻すように依頼がありました。

これの煙を吸ったら麻痺と毒のダブルの状態異常になりますから、盗賊が何人いても負けません。

おっ。そう言っている間に盗賊たちが林を出っ!?


突然首筋に宛てられる刃。

まさか尾行していたつもりが更に尾行されていたなんて不覚です。

ごめんなさい、カイリ君。

優しいカイリ君の事だから人質なんて取られたらきっと抵抗も出来ずに殺されてしまうんでしょうね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 助けてミズモー! なぜかこのゲームでは生産職は搾取するために他のギルドから狙われるようで…こういった事は運営が注意できないグレーゾーンなのでしょうか?これでは生産職みんな辞めちゃうと思うんだ…
[良い点] 更新乙い [一言] 二重尾行ぅー やっぱり人数が居ると便利だなって
[一言] 迂闊だな
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