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竜宮農場へようこそ!!  作者: たてみん


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今後の方針

リースの料理でお腹を満たした俺達は改めてさっきの話をすることにした。


「で、ランキングだっけ。

ちなみにこの中でランキング上位を目指したいぞって人は居る?」

「私は別に」

「わたしも」

「それでお酒が美味しくなる訳じゃないしね~」

「ですね」

「『ランキングトップのみに秘境へご招待!』なんてあったら考えますけど」

「あ~それは今後のイベントであるかもな」


元々お互いのやりたい事をやる為に協力し合う為に結成されたクランだからな。

そういう意味もあって『至高の目標』=『ホーリーグレイル』っていうクラン名にしてみた。

ついでに島の名前も空欄になっていたので『グレイル島』にしてある。

東西に分かれているから、東グレイル、西グレイルって呼び分ければ良いだろう。


「それにしても、まさか攻略系ランキングの上位に入るとは思ってもみなかったな」

「……それ絶対ここのせいよね」

「そうですね。攻略深度って恐らく世界地図の中心もしくはこの北の謎の領域にどれだけ近づいたかって事でしょうから」

「そう考えるとぶっちぎりね~、私達」

「ちなみに他の攻略組の人達って今どの辺りなんだ?」

「えっと、最前線の人達でも3番目の島に渡れたかどうかって所です」

「各国から2番目の島にはボスが居る事が確認されているんですけど、そのボスを倒せたクランが数える程しか居ませんから」

「ここは多分5、6番目になると思います」


詳しく聞けば、各国の本島から渡れる島はフリーエリアの島が2つと一部がバトルエリアになっている島が1つ。

いずれも次に渡れるのが同じ島で、島の8割がバトルエリアに指定されてるそうだ。

更にその次の島に向かう為にはバトルエリアに居るボスを倒さないといけないのか。

1度もボスを倒さずに島の海岸線を迂回していくと、港に船が無いらしい。


「それなら前回のイベントのラムラリア島から他の島に渡った方が早くないか?」

「それがダメなんです。ボスを倒していない時と同様に島の外には船を出してくれないんです」

「そう、なのか」


あれ?前に花畑に行ったとき、思いっきり島から離れたよな。

もしかして船を使わなければ大丈夫とかそういう話か?

まぁ俺以外、泳いで海を渡ろうなんて考える奴はそうそう居ないか。

もしくは港で船が借りれないだけで自作の船なら大丈夫とか。


「ということは当分の間、攻略深度は俺達がトップのままか」

「そうなりますね」

「害が無いならいいんだけどな」


サクラさんの返事を聞き、小さくため息をついた。

害がないって言ったけど、陽介の様にランキングトップを狙う人達からしたら、目障りで仕方ないはずだ。

幸い俺達のクランはメンバーを公表してないから今のところ大丈夫だろうけど。

多分何かの拍子に知られたら、妨害とか嫌がらせとかを覚悟する必要があるだろう。


「拠点を移せば解決しそうな気もするけど、ここ以上の拠点なんてないだろうからな」

「そうね。結局この島って魔物も居ない普通の島って感じだったものね」

「それもこの遺跡となにか関係があるんでしょうか」

「北にあった柱が怪しかったけどね~」


その言葉に全員で島の北側に視線を送った。


俺達はクラン拠点をここにすることを決めた翌日から、まずは危険が無い事を確認するためにみんなで島の探索を行っていた。

その結果分かったのは、東西に分けられた島の西側には遺跡の他に森と湖が存在しており、東側は草原と岩場があるのみだった。

どちらも花や木の実はあっても、鳥類や哺乳類、さらには魔物の姿も見つけることは出来なかった。

そして遺跡についてだけど、俺達が今いる村の跡地の他は北の海岸に建てられた石の柱があるのみだ。

この柱だけは東の島にもあったので、もしかしたら東西で1対の柱なのかもしれない。

またその柱にはびっしりと規則的に記号が記載されていた。


「柱に書いてあった象形文字っぽいのを解読できれば謎が解けそうだけどな」

「学者系の職業なら可能かもしれないけど私達じゃ無理ね」

「はい。もしかしたらこの先はまだ未実装な可能性もありますし、当分は放置で大丈夫だと思います」


レイナさんの発言に全員が頷く。

さて、そうすると。


「昨日で島の探索もひと段落したし、現時点で何かしたい事ってみんなはあるか?」

「拠点の施設をもうちょっと充実させたいな、とは思うわね」

「まぁ今は仮設テントみたいな状態ですからね」

「建設系の職業の人が居ないから少しずつ進めるしかないわね」


そうなのだ。

村の跡地をチェックしたら資材を集めれば建物を修復できる事が分かったんだけど、

専用の技能を持った人じゃないと条件が厳しくなっている。

俺達だけだと真面な家を建てるには数か月必要になるだろう。


「あと欲しいと言ったら……」

「あっ!牛乳と卵!!」


はっと思いだした様に大声をあげたリース。

その勢いに全員の視線が集中すると恥ずかしかったのか顔を赤くしていた。


「えっと、牛乳と卵って今はリースが用意してくれてるんだっけ」

「う、うん。ただそれって市販品というか現地の人から買ってるからレア度と品質は高くないの。

知り合いで喫茶店開いてる人が居るんだけど、その人の所は魔物の乳と卵を使ってるらしくて、プリンを食べさせてもらったら凄く美味しかったのよ」

「俺達だと魔物から取ってくるのはかなり厳しいか」

「そうなのよね。だから酪農家のプレイヤーから買えるようになったら良いなって思って」

「ふむ、酪農か。それは確かに欲しいな」


実は俺としても欲しいと思っていた所だ。

というのもこれ以上畑を広げようと思った時に肥料の供給が間に合わなくなるんだ。

今はミズモが作ってくれる分で何とかなってるけど、ミズモばかりに負担を掛けさせる訳にも行かない。

だから家畜のフンが手に入ると凄く助かる。


「……よし。東側の島、何に使うか決まってなかったけど、牧草とか育てようか。

後は追々飼育小屋とかも作って家畜と酪農家を探すっていう方向で」

「いいの?私の要望でそこまでしてもらって」

「良いんじゃないですか?」

「そうね~。私達にとってもリースちゃんの料理が美味しくなるのは嬉しい話だしね~」

「まぁ段々農村の様相を呈してきますけどね」

「それはそれで良いんじゃない?わたし『牧野さん物語』とか好きよ」


『牧野さん物語』っていうのはうだつの上がらない牧場の3男を支援して大牧場を経営したりお見合いや結婚をさせながら世代を引き継いでいくゲームだ。

俺が子供の頃からあるゲームなのに今でも安定した人気を誇っている。


「じゃあ当面の間はそれぞれの活動に専念しつつ、酪農や建設系のプレイヤーでここに馴染めそうな人が居たら声を掛けていこう。

あと他にも困ったことがあったら気軽に相談を挙げてほしい。その為のクランだと思うし」

「「はい」」


そうして俺達は三々五々、自分のやりたい事の為に拠点の広場を後にした。


後書き日記


21xx年6月1日


昨日のランキング発表のせいで若干寝不足気味でしたが、何とか学校では居眠りせずに済みました。

……昼休みに爆睡していたそうですが。

そう言えば、私以外のみんなもランキング見ているはずですけどどう思ってるんでしょう?

昨日は島の探索がひと段落したので、早めに解散してしまったので、ランキング発表後にまだあってません。

もしかしたらみんな私みたいに寝不足になってるかもしれませんね。


学校内でもアルフロをやっている子がちらほら居たらしく、廊下を歩いていると「ランキングが……」と聞こえてきました。

気になって目を向けると、怒ってる風な子が数人。

怒ってる?……あっ。

もしかして私たちのクラン。

今回一気にランキングトップになった項目もあったし、ひがまれてる可能性がありそうです。

もしかしたら誰か絡まれてるかも。


そう思うと早くログインして皆に会いたいのですが、今日に限って掃除当番です。

急いで掃除を終わらせて帰ってログインすると、いつも通りのカイリ君たちの姿にほっとしました。

というか、取り越し苦労でしたね。

変に気を遣わせる必要もないので、いつも通りを心がけましょう。

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[一言] またカイリ君が女の子を拾ってきたりして?
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