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竜宮農場へようこそ!!  作者: たてみん


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31/162

害虫駆除は農家の仕事

勝手に畑に侵入してくるヤンキーっぽい男たち。

その態度から見ても友好的な相手ではなさそうだな。


「お前達、何か用か?」


俺がそう尋ねると明らかに不機嫌になる男たち。


「おいてめぇ、口の利き方には気を付けろよな。農家風情の分際でよ」

「多少モテるからって良い気になってんじゃねえぞ」

「そうそう。俺達戦闘職のエリートには敬語を使ってもらわなくちゃな」

「頭が高いっての。農家なら農家らしく地面に這いつくばってろよな」

「そのうちこいつから草が生えたりしてな」


何が楽しいのかぎゃはははっと笑う男たち。意味不明だ。

少なくとも敬意を払う価値はなさそうだ。


「はぁぁ。それで戦闘職のエリート様というのが何の御用で?」

「はっ。喜べ、俺達がお前を使ってやるよ」

「使う?」

「おうよ。どうせ生産職なんて戦闘職に寄生して生きてくしかないんだ。

だから俺達が精々有意義に使ってやるって言ってるんだ。嬉しいだろ」

「全然。何をどうやったらそんな結論になるんだよ」

「「はぁ!?」」


俺が断ると、顔を近づけて変な声を上げるヤンキーABC。

あ、こういうのをメンチを切るって言うんだっけ。

リアルだったら息臭くて苦しむところだからゲームで良かった。

しかしなぜ従うのが当たり前、反発するなんてあり得ないって考えてるんだろう。


「お前立場が分かってないみたいだな」

「ちょっとお勉強させてあげようか、なっ!」

「ぐっ」


いきなり腹を殴られた。

って、そうか。畑の中は魔物が出るくらいなんだから戦闘可能エリアか。

急に攻撃してくるとか、なんなんだ?


「おら頭下げろや。戦闘職様に逆らってごめんなさいってな」


続いて顔面にきたパンチを受け止めると、横にまわった男が回し蹴りを放ってくる。


「受け止めてんじゃねぇよ。生意気なんだよ」

「ぐふっ」

「最初の威勢はどうした、おるぁ」

「がっ」


5人がかりでタコ殴りにされる。

いったい何なんだろう、こいつら。面識がある訳じゃないっぽいし、過去に何かがあった訳じゃないだろう。

まずいな。ゲームだから痛みはそれほどではないけど、体力は残り2割を切った。

流石にこれ反撃して殺しても怒られないよな?

そう思いながら正面の男を睨みつける。


「なんだその目は。どうやら1度死なないと理解できないらしいな」


言って剣を抜くヤンキーA。

と、その時。唐突に地面が揺れ出した。

ってこれは!


「ミーッ!!」


俺とヤンキーたちの間に顔を出したのは先日のミミズ。


「ミミズ?」

「ミーッ、ミーッ!!」


怒り心頭といった様子のミミズ。

まさか俺が攻撃されているのを察知して加勢に来てくれたのか。

頭を1メートル程出したミミズは俺には目もくれずヤンキーたちを威嚇している。


「なんだこいつ。驚かせやがって」

「ミーッ!!」


叫びながら飛び掛かるミミズがヤンキーAの足に噛みついた。


「いってぇ。この野郎が」

「待てっ!」


ヤンキーAがミミズに剣を振り下ろす。

咄嗟に手を伸ばすが、だめだ。間に合わない!


ズバッ!!


真っ二つに両断されるミミズ。

その半身が吹き飛び、ドサッと地面に横たわった。


「くそっ。魔物ごときが俺様に楯突きやがって!」

「うはっ、だっせぇ」


そうほざくヤンキーAたちの言葉に遂に何かがブチッと切れた。

目の前の5人をヒトガタの魔物と認定。


「『限定召喚:ヤドリン』」

「……!」


奴らの後ろに静かに召喚されたヤドリンと目が合った。

その目は俺の姿を見た瞬間、炎が燈ったように見えた。

そして左のハサミを奴らの膝裏に一閃。

膝カックン、なんてあまい物じゃない。

手前3人は両足共に切断され、残りの2人も立っていられない程の深手を負っていた。


「……くぃ」


地上に無理に呼んだからだろう。それだけやってヤドリンは帰って行った。

なら後は俺の仕事だな。

アイテムボックスから麻痺針を選択。投擲。

足を切られて喚いていても油断はしない。

続いて『はじまりの銛』を取り出して動けなくなった奴らの手首を順に突き刺していく。


「ちょっ、やめっ」

「ぐぁ。いてぇ」



麻痺のお陰で抵抗されないから、攻撃力が低くても無事に貫通できるな。

これで麻痺が切れてもすぐには抵抗できないだろう。

でも腐っても戦闘職のヤンキーたち。

当然これくらいじゃ死なないな。

ただ返しの付いた銛で刺した分、傷口は広い。今も血がドクドク出ているから【出血】とかの状態異常になっているんだろう。


「てめぇ。俺達にこんなことしてタダで済むと思ってんじゃねえだろうな」


地面に倒れながら凄んでくるヤンキーA。

まだまだ元気だな。

それなら大腿部もぶさっとな。


「お前たちが誰かも知らないし、興味もない。

でも人の畑に土足で上がり込んでの蛮行。

更には仮とは言え従魔を殺しておいて許されると思っているお前たちの方が大丈夫じゃないだろう」

「うるせぇ。お前ら生産職なんてただの寄生虫だろうが」

「へぇ。じゃあお前たちは破壊をまき散らす害虫だな。

……ああ、そうか。害虫か」


害虫駆除って言ったら農家の仕事か。

人だと思うから戦うのを躊躇ったりするんだ。

害虫ならちゃんと根絶やしにしないといけないよな。うんうん。


「害虫だって土に還れば立派な養分だよな。

病気持ってないと良いんだけど」


そんなことを呟きながら害虫にとどめを刺していく。

何か喚いてるけど虫の羽音みたいなもんだな。

あー、しまった。ゲームの世界なんだから死んだら死体は残らないんだった。

これじゃあ肥料にならないかな。残念。

そうして5人とも消えた所でようやく落ち着いてきた。

ちょっとやり過ぎたか?

まぁいいや。GMに連絡入れて判断は任せよう。


「ん?」


ふと、地面から伸びたミミズの半身が目に入った。

あれ、なんで消えてないんだ?

死んだら消えるはずだよな。


その時。

俺のその疑問に答えるように、ガツガツと丼をかき込むような音が隣からしてきた。


「なん……だ?」

「ミ?」


そこには俺の芋畑に齧り付いたのを見つかって冷や汗を垂らしているミミズの半身が居た。


「ミミズ。お前、生きてるのか?」

「ミィ」

「いや、トカゲの尻尾切りとかいうレベルじゃないだろ。

真っ二つだぞ、真っ二つ。

……って、そうか。

そう言えばミミズって元々真っ二つになっても生きていける生き物だっけ」


流石に2匹に増える訳じゃないけど、前半分は元気そうだ。

更にするするっと近寄ってきたかと思ったら後ろ半分に切断面をタッチ。

すると後ろ半分が光になって前半分に吸収されていった。


「なんだ、これなら慌てる必要無かったな」

「ミィー♪」


そんなことない。嬉しかったよって俺の肩に乗っかるミミズ。

まぁそれならいっか。

と思ったところで通知が出た。


【隧道ミミズと従魔契約を結びました】


よしよし、無事に仮が取れたみたいだな。


「これからよろしくな」

「ミィー」


撫でてみると意外とスベスベで良い触り心地だった。




後書き日記(続き)


前方に道を塞ぐように獣人族のプレイヤーが3人。

年齢的には20代半ばと言ったところでしょうか。

ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべてこっちを見てるのが嫌ですね。

さて、まずは思い過ごしの線を考慮して無視しましょう。

多少道を逸れても歩けない訳じゃないので。

うーん、何か言ってますけど、分かる言葉を発して欲しいです。

遂に腕を掴もうとしてきましたがハラスメント設定のお陰で弾かれました。

そのまま無視していたら武器を抜いてしまいました。

これで敵として判定がされます。

あ、もちろん武器を出さなくても、殴る蹴るなどの攻撃でも敵と判断されます。


さてどうしましょう。

レイナさんの話の通り、横の森からは介入の機会をうかがう視線が多数。

漂ってくる雰囲気が目の前の3人と変わらないのでどちらも敵ですね。

っと、3人組がこれ見よがしに攻撃してきました。

大振りで適当な攻撃なので避けるのは問題ないですが、っとここで敵の援軍追加ですか。


彼らがグルなのかどうかは分かりませんが、私にとって敵である事には変わりないでしょう。

すぐに最初の3人組と後から来た10人が言い争いを始めました。

この隙に逃げられれば、っと。そんなに甘くは無いですね。

13人に囲まれました。

ここはひとつ、私の料理の腕前を見て頂きましょうか。

ささ、ここに先日作ったお団子がありますので皆さん一つずつどうぞ。

黒いのは焦げてる訳じゃないですよ。

それでお味のほどは?

天にも昇る感じですか。お世辞が上手ですね。

そのまま顔を青くして倒れる人が11人。2人は食べなかったんですね。酷いです。

騙したとか言い出しましたが、敵から食べ物を貰って疑いもせずに食べる人の方が悪いと思いますよ?

そして残った2人も襲い掛かってきました。

一人はなにかスキル名を叫びながら切りかかってきたので、その大きく開いた口にお団子をぽいっ。

もう一人はナイフ使いですか。

持っているナイフが妖しく光っているので毒でも塗ってあるんでしょうか。

でも私の包丁の方が早いです。

包丁は対人戦には向きませんが、それでも指は切れます。

あ、それと私の包丁にも毒を塗っておきましたので。はい。

無事に撃退出来た私はなんとか西の村に辿り着きました。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 海中の住人なのにミミズを仲間にするところ。 ヤドカリってFFやテイルズの召喚獣のような扱いだったのか。 [一言] ゲームで奴隷労働させるとは、ログインしなくなって逃げられるだけでしょうに。…
[気になる点] >>そんなことない。嬉しかったよって俺の肩に乗っかるミミズ。 直径20cm、真っ二つ後は全長2~3mになってるはずのミミズにのしかかられる絵図を想像すると…主人公はごりごりのマッチョ…
[一言] 包丁に毒塗るのはどうなんだ? せめて料理用と別の包丁であってほしい
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