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さぁ開墾しよう!

さあてお立合い。

ここに取り出したるは【はじまりの鍬】。

その性能、攻撃力は1だがなんと【不壊】特性付きである。

この特性は【はじまり】シリーズでお馴染みらしい。

普通の人ならさっさと上位の装備を手に入れるんだろうけど、ここには道具屋も無ければ鍛冶屋も無いからな。

ただただ壊れないということが非常にありがたい。

そしてその鍬を地面に突き立てる!!


ゴボゴボッガンッ!

ビリビリビリッ

「くぅ~痺れるねぇ」


こんな冗談が言いたくなる程、地面は岩盤の様に硬く、普通に鍬で叩いてもビクともしない。

むしろ反動でこっちにダメージが入るほどだ。

そこで次に登場するのがスキルだ。

そのスキルの名は【開墾】。

農具を使って土を耕すことに特化したスキルで攻撃には使えないらしい。

だけどこれを使えばあら不思議。


ザッ!


さっきは1ミリも掘れなかった地面がなんと5センチも掘れたではないですか。

え、なに?たった5センチだろって?

馬鹿言っちゃいけない。

5センチでも掘れれば岩壁に1畳分の寝床だって掘れるんだぜ!!

というか、昨日の大半をそれに費やしたんだが。

ひとまずそっちは寝れたら十分なのでこれ以上の拡張は畑が出来てからだ。

昨日の成果は寝床と1メートル四方を耕して終わった。

今日の目標は小さくても良いからしっかりと地面を耕して畑らしい部分を作ることだ。

その為にやることはただ一つ。

ひたすら地面に鍬を打ち込む。これだけだ。


ザッザッザッ


【開墾】スキルの有効時間は1回につき25分。

スキル効果が切れたら休憩だ。

再使用までにかかる時間は5分。

なので30分が1クールになる。

あと、忘れているかもしれないけどここは海底だ。

地上に比べて空気の代わりに水の抵抗が大きい。

なので普通に重労働なんだ。


「だぁ~疲れる。これがリアルなら水でも飲んで一息入れたいところだぞ。

実際には常に水を飲んでいるような状態だけどな」


だめだ、まだ始めたばかりだというのに自分で自分に突っ込みを入れ始めた。

やっぱ周りに誰も居ない環境っていうのは良くないな。

なぜか独り言が増える。

こういうのは無心になって動き続けるべきだよな。


「よし、休憩終わり!」


【開墾】スキルで地面を掘り起こして、クールタイム中に土を盛って(うね)を作る。

それを延々と繰り返した結果。

5メートルx5メートルを耕したところで日付が変わったので今日は終わりにして寝ることにした。

流石に2徹はきついからな。


そして翌日学校が終わった後にログインすると事件が起きていた。


「……芽が出てる」


昨日耕した部分にぽつりぽつりと植物の芽が出ていた。

いったいどこから?

ってそうか。

普通に植木鉢とかで植物を育てても、どこからともなく雑草が生えてくるんだ。

それは元々土の中に種が含まれていることもあるけど、風に乗って飛んでくることもある。

ここで言えば風の代わりに海流に乗って流れてきたんだろう。

目には見えないけど植物プランクトンとかも沢山水中には居るはずだしな。

まぁ何はともあれ、うちの畑の植物第1号だ。

ただの雑草なのかもしれないけど、海草が出来れば海中の酸素濃度も上がるだろうし、小魚もやってくる。

小魚が来れば肉食の魚も来てどんどんこの辺りが豊かになっていくだろう。


「しかし、困ったぞ」


俺はこの第1号達に何をしてやれるだろう。

普通だったら肥料をあげたり水をあげたりするんだろうけど、ここには肥料はないし、水はあげるどころか水中だ。

つまり、やれることが無い!!

……いや、まて。

良く考えろ。あるじゃないか。それは。


「がんばれ~~。元気に育てよ~~」


ザ・応援。

傍から見たら痛い人かもしれないけど、実際に音楽や明るい声を掛けて育てた植物の方が生育が良いという検証結果は実在する。

だからきっとこの草たちも応援すれば成長が早まったり元気に育つ……かもしれない。

ただ流石にずっとしている訳にもいかないから、【開墾】スキルが有効な間は鍬を振るい続け、インターバルの間に応援をするようにしてみる。

いっそのこと歌いながら開墾してみるか?


「はーやく芽を出せ、カキの種♪」


子供のころに祖母ちゃんに教えてもらったけど、この後に続く文言はなかなかに酷いと思ったものだ。

えっと、あとはこれかな。


「いちじく、にんじん、さんしょうにしいたけ、ゴボウにむくろじゅ、七草、はったけ、きゅうりにとうがん♪」


おっ、なんか乗ってきたぞ。

よしよし。他に植物に関する歌って何があったかな。


「~~♪」


そうして思いつく歌を口ずさみながら開墾をする日々が始まった。



後書き日記


21xx年4月22日

アルフロ3日目。

今日は採集中に知り合った男性2人組とパーティーを組んで狩りをすることになりました。

ただ最初の自己紹介で私が「ジョブは料理人です」と伝えた時に微妙な空気になりました。

その原因は狩りを始めて直ぐに教えてもらいました。

どうやらこのゲームにおける生産職は、戦闘には向かない職業だそうです。

特に戦闘スキルを持たない生産職はパーティー内のお荷物とまで言われました。

男性2人は1人が戦士、もう一人が魔導士です。

キッチリ前衛後衛に分かれていたので、私は中衛のサポート役に指名されました。

この時点で色々言いたいことが溜まってきていたのですが、初対面ですしね。多少は我慢しましょう。

しかし、ずいぶん森の奥へと入っていきますね。

彼らも2期組でしょうからそんなに私とプレイ時間が違うとも思えないのですが、大丈夫でしょうか。



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[良い点] 更新乙い [一言] >>アルフロ三日目 アフロ三日目 よし!!
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