湖を綺麗にしよう
気が付けば評価点が9000点を超えている!!
皆様本当にありがとうございます。
そして夢の中に6本足のイモリっぽい子が出てきたんですが、その子も登場させろっていう神のお告げでしょうか。
いつかみんなが水中でも活動が出来るようになったら招待する約束をした後、無事に島を1周し終えた俺達は解散することにした。
「それじゃあ、今後もお互いに役立ちそうな情報やアイテムがあれば共有しあうということで」
「はい。今回は助けてくれてありがとうございました」
「珍しい植物の種とか見つかったら連絡するね」
「私たちも綺麗な景色とか見つけたら写真送るわ」
「素材を持ち込んでもらえれば色々と作れると思いますので」
そんな感じで別れの挨拶をしてたところで、ウィッカさんが一言。
「折角だから、私たちでクランでも立ち上げましょうか」
いつもどおりのんびり口調でそんな事を言っていた。
「クランってそんな簡単に創れるんですか?」
「創るだけなら役所に申請出して1万G払うだけね。
クランハウスとかを準備するならかなりのお金が必要だけど」
1万Gは安いのか?
少なくとも俺の懐にはほとんど金はないぞ。
そんな心配が顔に出たんだろう。
ウィッカさんがヒラヒラと手を振った。
「あぁ、1万Gくらいなら私が出すわよ。
お酒って良い値段で売れるからねぇ。それくらいはお姉さんにまっかせなさい」
「なるほど。じゃあ俺らはお酒の材料やらつまみやらで物納させてもらいますね」
「ふふっ。カイリ君分かってきたわねぇ。
そうね、私はそういうのの方が嬉しいわ」
とんとん拍子で話が進んでしまった。
特に反対意見も出なかったので、そのままウィッカさんに手続き諸々をお願いすることになった。
無事に出来たら連絡するわ、といって去っていくウィッカさん。
「それじゃあまたな」
「うん、これからもよろしくね」
「はい、それでは」
それを見送った俺達も三々五々解散した。
さて、イベントも今日を抜かせばあと2日。
最終日は畑の様子を見に村に戻るとして、今日の残りと明日は何をするかというと実は一つやりたいことがあったりする。
俺が向かった先はボートの船着き場。
周囲を確認して誰も見てない間に俺は湖に飛び込んだ。
途端に視界は青一色になり、肺の中が水で満たされる。
この感覚もだいぶ慣れたけど、苦しくないのは何度体験しても不思議なものだ。
そして湖の底へと沈んでいく俺。
何をしに来たかと言うと、掃除だ。
さっきサクラさん達を助けるために潜った時に水が濁っていたのが気になっていたんだ。
こうして潜ってみるとやっぱり淀んでる。
底に着いた足がズズッと沈みこむ。
これはヘドロだな。
ヘドロは言ってしまえば分解しきれなかった有機物の堆積物だ。
分解できなかった原因は、分解を行う微生物が居なかったり酸素不足、日照不足などの理由が幾つかある。
でも俺にとって重要なのは有機物の塊だって事だ。
うちの畑は逆に有機物が不足しているからこれがあれば改善できるかもしれない。
問題は耕せばいいのか、地上に持ち上げて発酵を促せばいいか。
ま、とにかくここに余っていることには違いない。
なので開墾しながらアイテムボックスに収納出来るか試してみると……無事に出来た。
【水神湖のヘドロ:レア度2、品質1。
水神湖の底に溜まっているヘドロ。有機物の堆積物。
このままでは使えない。
】
やっぱりこのままじゃ使えないか。
でも逆に言えばどうにか加工すれば使えるはずだ。
折角なので回収出来るだけ回収してしまおう。
そのうえで、ここを綺麗にする方法を考えないとな。
「うーん、日照不足を補うって言ったら、コウくんかな?
ということで『限定召喚:コウくん』」
「ぴっ!」
「コウくん、ここを綺麗にするにはどうすれば良いかな?」
「ぴ……ぴっ」
ちょっと悩んだコウくんは試しに光魔法を放ってくれた。
けど、焼け石に水というか、表面だけちょっと変化したかな? という程度。
残念ながらそれで改善するにはものすごい時間が掛かりそうだ。
次の作戦に行ってみよう。
次は……水の入れ替え、かな。
海と違って海流が無い分、水が滞りがちのはず。
更に周りを見ても大きい魚はあまりいない。
だから湖底に新しい水を送り込む流れを作ればよくなる気がする。
問題はどうやって水流を作るか、だけど。
自分で泳ぐ?
……やってみた。無理だった。
学校のプールでみんなで流れを作る感じで出来れば良かったんだけど、あれはやっぱり人数が必要だな。
風水で流れを作るにしても、風水のレベルが低すぎてこれも体感できるレベルじゃない。
じゃあ最後。
農家なら農家らしく植物の力を借りる。
俺のアイテムボックスの中で、この環境でも育ちそうなものと考えて1つ心当たりがある。
それは【花の種】だ。
説明書きを読んでも何の花かは不明になっているので、ランダムなのか、はたまた蒔く土地によって変化するのかは分からない。
でも試してみる価値はあるだろう。
泥の中で咲く花と言われて真っ先に思い浮かぶのは蓮の花だ。
前に聞いた話では仏様が持つ蓮は蕾の状態で、汚れた大地を浄化すると開花するとも言われている、らしい。
まぁそれが本当かどうかは知らないけど、この環境でも育つ可能性が高いことに違いは無いだろう。
なので、鍬を構えて蓮の花をイメージしながら【花の種】を蒔きまくる。
幸いヘドロは柔らかいから鍬が簡単に入るのでかなりのスピードで蒔けそうだ。
このペースなら今日と明日で何とかなるだろう。
後書き日記(続き)
途中、嫌な視線を何度か受けましたが、特に絡まれることも無く湖の周りを1周しました。
予想通りゴミは全くありませんでしたね。
そしてサクラさん達はこの後用事があるそうなので解散することになりました。
その際、ウィッカさんからクラン設立の提案があり、特に誰からも反対意見が出なかったので後日ウィッカさんが立ち上げてくれることになりました。
そうなるとクランリーダーはウィッカさんでしょうか。
まぁウィッカさんに限って独裁はしないでしょうし問題はないですね。
神社に向かうカイリ君を見送りつつ、私は私で新しい食材探しに向かいます。
さっき周った時に数か所目を付けていたお店があるんです。
多分島の西側の酪農関連品や北側の果物が集まって来てるんですね。
でもこういうのは産地に行った方が安く良いものが手に入るのが常なので、村にも行ってみたいです。
確かウィッカさんが北に果実酒の元を探しに行くって言ってましたし、レイナさんは南に糸素材を探しに行くって言ってました。
なら私は西ですね。
牛乳、卵、チーズにバター。
これらがあれば料理のレパートリーは一気に広がります。
何よりスイーツが作れそうで楽しみです。




