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竜宮農場へようこそ!!  作者: たてみん


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水を得た魚

その後1名を除きちょっとぎくしゃくした雰囲気のまま、折角だからと最初の3鳥居の左側も行ってみることにした。

そこにあったのは、アスレチックフィールド&遊技場だった。

複数人で仕掛けを解除しながら進むコースや、高さ3メートルの壁をロープ1本で登ったり、池に突き出た柱に飛び移りながら対岸を目指したりするコースなど、なかなかに楽しそうだ。

他にもテニスコートみたいなところもあって、そこでは『テニスのお姫様』のような魔球レシーブの応酬をしている人達もいた。


そんな中、レイナさんのリクエストにより、俺達が選んだのはボート。

神社を囲む湖へ漕ぎ出せるらしい。

しかも4人乗りがあったので、みんなで乗る事にした。


最初の漕ぎ手は俺とリース。

レイナさんとウィッカさんは反対側に座っている。


「さて、じゃあ行くよ」

「ええ」

「よっ」

「ほっ」


タイミングを合わせてオールを漕ぐ。

最初はなかなか加減が分からなくてうまく進まなかったけど、少ししたらちゃんと前に進むようになった。

そうして多少余裕が出来て湖の中央付近に来たところで休憩。

周りを見回せば、カップルで乗っている人が大半で少しだけ女性同士で乗っている人もちらほら見える。

男同士で乗ってるのはいないか。まぁそうだよな。

そこでふと、気になってたことを聞いてみることにした。


「俺達って周りから見たらどう映ってるんだろうな」

「普通に考えれば仲良し4人組じゃない?」

「そうですね」

「もしかしたらカイリ君のハーレムって思われてる可能性もあるわねぇ」

「あ~やっぱり?」


時々周囲の視線が痛かったからな。

俺だって傍から見たら「あの野郎、キレイどころを3人も連れやがって~!!」ってなってたかもしれない。

そんな事を考えてたところで、レイナさんが慌てた様子で俺の後ろを指さした。


「カイリさんっ。あれ!」


振り返れば2艘のボートが舵取りを誤ってぶつかるところだった。

いや、なんか片方のボートが猛スピードで突撃を仕掛けたみたいにも見えるな。

2艘の内、横からぶつけられた方がひっくり返り、乗っていた女性2人が水中に投げ出されてしまった。


「行ってくる」

「え、カイリ君!」


リースの声を後ろに聞きつつ俺は湖に飛び込んだ。

そしてそのまま水中を泳ぎ落ちた女性を探す。

このゲーム、水中で生きていられるのは30秒~1分だ。

特に今回みたいに突然水中に投げ出された時は短くなる。


「えっと、いた!」


幸い海と違って流れが無い分、2人ともすぐに見つかった。

急いで近づいて後ろから脇に手を入れて抱え込む。

そのままもう一人の方を、暴れてたので襟首をつかんで引っ張る。


「ぶはっ」

「がはっごほっ」


水上に顔を出したところでむせ返る2人。

この様子なら意識もあるし、大丈夫そうだな。

少し待って落ち着いたのを見計らってから声を掛けた。


「大丈夫?災難だったね」

「はい、助けて頂きありがとうございます」

「うぐっ、助けてくれたのは嬉しいけど待遇の改善を要求します」

「ん?あぁごめんごめん。暴れてたからさ」


襟首を掴んでた方の子を改めて抱え直した。

さてこの子達が乗ってたボートは、無くなってるな。

もしかしてぶつけられた衝撃で壊れたから消えたのか?

仕方ない。

俺達が乗ってたボートに運ぶか。


「みんな、ごめん。引き揚げるの手伝って」

「「はい」」


4人乗りなだけあって横幅があるボートだから安定感があってよかった。

ただ2人を乗せると既に定員オーバー。

俺の乗る余地が無いな。


「いったん岸に戻ろうか」

「うん、それは賛成だけど。カイリ君は乗らなくて良いの?」

「ああ。俺は水中は慣れてるから。

それにこうして後ろから押していけば早いだろ」


そう言って船尾に張り付いて押そうと思った矢先。

さっきの突撃してたボートが今度はこっちに向かって来ていた。


「いやっはーー! リア充爆発しろぉ!!」

「ちんたら漕いでんじゃねぇぜぇぇ!!」


乗っているのは男性が2人。

全く迷惑なこと、この上ない。

ちょっとお灸をすえてあげようか。

幸いここには水があるからな。


「『限定召喚:イカリヤ』」

「きょっ」


従魔術の能力の1つ、限定召喚。

数分だけ自分の傍に従魔を呼び寄せる事が出来るスキルだ。


「イカリヤ。あの暴走してるボートぶった切っちゃってくれ」

「きょっ!」


水中を投槍のように飛んだイカリヤはそのまま暴走ボートに突撃。

跳ね上げた所を更に自慢の両手でズバッと切り裂いた。

キラリと光に変わるバラバラになったボートと、湖に落ちる男2人。

ま、あいつらは自業自得だからそのまま溺れてもらおう。

無事に役目を果たしたイカリヤが戻ってきたので頭を撫でてあげる。


「ありがとな」

「きょ~♪」


嬉しそうに手を振って帰って行くイカリヤを見送った。

って、あっ!!

あのボートって間違いなくここの貸しボートだよな。

思わず破壊してしまったけど、やっぱ怒られるだろう。

弁償で済めば良いんだけど。



後書き日記(続き)


ちょっとハプニングもありましたが、神社を後にした私たちは続いてみんなでボートに乗ることになりました。

カイリ君の横にウィッカさんは危険な気がしたので、私が座ることにしました。

でもボート乗るの初めてなんですけど、上手く漕げるでしょうか。

ん~まぁ。何とかなった、と言っていいでしょう。


ほっと一息ついたのもつかの間。

再びハプニング発生です。

頭のオカシイ男性プレイヤー2人組が、水魔法か何かを駆使してボートを爆走させて他の人のボートに突撃させました。

それを見たカイリ君は躊躇うことなく湖に飛び込み、落ちた女性を救助しました。

あれはまるで水を得た魚ですね。

さらに暴走ボートをあっさりと吹き飛ばしてしまいました。

乗っていた男たちは水中に沈んでいきましたが自業自得でしょう。

死んだとしてもプレイヤーだったのでどこかで復活しているはずですしね。


あ、今更ですがここって非戦闘エリアではありませんでした。

区分的にはダンジョンの一部という位置づけのようです。

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― 新着の感想 ―
[一言] ヒャッハー野郎2人組がPK(未遂)扱いになるでしょうからPKKはセーフですね。 ボートの弁償は乗ってた本人の自己責任かPK行為したヒャッハーの責任ではないかと。
[一言] ダンジョンの一部扱いなら実は水中に隠し要素(素材や宝とか洞窟)があったりして
[一言] イカリヤつええ
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