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竜宮農場へようこそ!!  作者: たてみん


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ダンデとバトル

最近文体が崩れてる気がして心配です。(え、今更?)

バトルの勝利条件は相手の体力を残り2割まで削った方の勝ちだ。

武器、魔法、アイテムの制限はなし。

勿論消耗品が後から返ってくるなんてことはない。

制限時間は5分。


「1発KOには気を付けろよ」

「そっちこそ、生産職だと思ってたら痛い目を見るからな」


開始前の言葉の応酬。

といってもお互いの戦意を高揚させる程度の意味しかない。


さて、改めてダンデを見れば、武器はさっきと同じバスターソードか。

上半身をブレストプレートで固め、他もしっかりとした防具で固めてある。

典型的な前衛剣士って出で立ちだな。

対して俺は服装は初期装備のままだ。

武器は右手に鍬を持ち、腰に鎌を差しておいた。

そんな俺の姿を見た観客からは呆れのようなため息が聞こえてくる。

どうせお遊びのようにしか見えないんだろう。

俺としては本気なんだけどな。


『バトル開始5秒前。3、2、1、ファイッ』


システムアナウンスが開始を宣言する。

それと同時に飛び掛かってくるダンデ。

対する俺はその場から動かずに自然体で立っているのみ。


「うらぁっ」

「はっ」


袈裟切りをしてきたダンデに対し、俺は鍬を振り上げて応戦した。

ガンッと鈍い音と共にダンデの剣が受け止められた。

それを見た観客からどよめきの声が上がる。


「うそだろ」

「俺今ので終わったと思ってたわ」

「俺も」

「ダンデさんの1撃を正面から受け止められるのなんて、重戦士くらいだと思ってた」

「いやでも、ダンデさんのパワーなら押し切れるだろ」

「てか、思いっきり木の部分で受け止めてるけど、あの鍬なんで折れないんだ?」

「あ!あれ、『はじまり』シリーズだ」

「ってことは、あの生産職、2期組なのか」


途端に上がる驚きの声。

ダンデも一瞬驚いた顔をした後、すぐに楽しそうな笑みを浮かべていた。


「そうこなくっちゃな」

「次はこっちから行く、よっ」


鎌を腰の帯に引っ掛けて、両手で鍬を跳ね上げる。

その反動で剣ごと押し返されたダンデに、全力の振り下ろしをお見舞いした。


「はあっ」

「なんのぉ」


さっきとは逆に俺の鍬を受け止めたダンデの足元が若干沈む。


「この馬鹿力がっ」

「毎日大自然と戦ってるからな。力と体力なら戦闘職にだって負けないさ」

「つまりスピードとテクニックならこっちが上ってことだな」


その言葉と共に1撃の重さよりも手数を重視し始めるダンデ。

そうなるとどうしても防戦一方になってしまう。

何とかちょいちょい反撃で鍬を振り下ろすが、当然のように避けられて、ただただ地面を掘り返すだけだ。

まずいな、このままじゃ先日の決闘の二の舞だ。

致命打は全て防いでいるけど、ジリジリと体力が減っていく。


「どうしたカイリ。キッチリ防御してるのは流石だけど、まだ手があるんだろ?」

「まぁね」


俺は腰に差してあった鎌を取ると、振り下ろされた剣を受け止めつつ刃と柄に引っ掛けてロックした。

そして一瞬動きが止まったダンデに横殴りで鍬をぶち当てる。


「ちっ」


左手でガードされたけど、ようやく攻撃がダンデまで届いた。

まぁダメージで言うと1桁なんだろうけどな。

慌てて飛び退くダンデは左手をブラブラさせていた。


「くぅ~~。ちょっと痺れたぜ。

でもダメージ3って。カイリってもしかしてダメージ与えられる武装が無いのか?」

「実はそうなんだ。一応奥の手があるにはあるけど、ここで公開する気はないしな」

「そっか。仕方ない。じゃあボチボチ大技で終わらせるか」

「いいね。なら俺も最後にひと花咲かせて見せようか」


距離を取って対峙する俺達。

そして直ぐにダンデの持っている剣が炎に包まれた。

どうやらさっきとはまた違うスキルみたいだな。


「いっくぜぇ」


剣を振りかぶり突撃してくるダンデ。

それに対し俺もまた鍬を大きく振りかぶった。


「くらえ『炎龍剣』!!」

「『開墾』!」


ダンデの剣が俺を袈裟切りにしようと迫る。

しかしそれより一瞬早く俺の鍬が地面に突き立てられた。


ズボッ

「ぶへっ」


ダンデは地面に両足を膝まで沈めながらコケていた。

当然、必殺剣も俺には当たらず不発に終わった。


「……ここで落とし穴とか卑怯じゃね?」

「いや、れっきとした農家の業だよ。

鍬の一撃で地面を思いっきり柔らかくしたんだ」


伊達に何度も地面を掘ってた訳じゃないんだよ。

そして地面に埋まっている今ならこっちの天下だ。


「ふっふっふっ。さて、折角身動きが取れなくなった訳だしな」

「ちょ、やめ」


不敵な笑いと共にダンデに近づく。

そして。


「えいっえいっ」

ゴンッゴンッ

「いてっ。こら。俺はスイカ割りのスイカじゃねぇ!!」


鍬の柄の方で動けなくなったダンデを叩いてみた。

それを見た観客たちから笑いが起きる。

やっぱこれがお約束だよな。

ただもちろん大したダメージにはならないし、抜け出た後は勝ち目が無いのでそこで降参しておいた。

観客の人達にも楽しんでもらえたし、まぁ悪くない戦いだっただろう。


戦いが終わった後はダンデと一緒に周りに挨拶してその場を後にした。

そして積もる話もあるだろうということで、近くの料理屋へ。


「しかしさっきはやられたわ。まさかあそこで落とし穴とはなぁ」

「直接攻撃だとどうしてもダメージ出ないからな」

「それよ。

今は良いとしても今後どうするんだ?あの攻撃力は流石に厳しいだろ。

なにか奥の手があるって言ってたけど何とかなりそうか?」


心配そうなダンデ。

結局1割も削れなかったからなぁ。

でもま、従魔含めて誰が一番弱いって聞かれたら間違いなく俺だしな。

従魔込みならダンデにも勝てる、はずだ。


「本来の俺のメイン戦力は従魔たちになる予定だから大丈夫だろう」

「なら良いけどな」

「話変わるけど、ダンデは一人で来てるのか?」

「いや、ギルメンと一緒に来たんだけどな。

あそこで遊んでいる間にみんな自由に出掛けていったみたいだ。

元々緩いギルドだしな。

そういうカイリは?」

「俺もこのイベントで知り合った人と一緒に来てるよ。

みんなやりたいことがバラバラだったから今日は自由行動にしたんだ」

「なるほどな。それで……」


そうして俺達は運ばれてきた肉とポテトを突きつつゲーム談義に花を咲かせたのだった。




後書き日記(続き)


日も暮れてきて夜の商店街はお茶屋の代わりに居酒屋が増えてきました。

屋台も焼き鳥やおでんに代わっていたりします。

大根や卵など、もちろんお酒は飲みませんが注文してみました。

さて、公園のベンチに座って頂きましょうか。

味付けは、やっぱりハーブ塩がメインのようです。残念。

ですが今日の私には実は新兵器があるんです。

それがこれ。

カイリさんから『品質最低だけど』って但し書きと共に魚醤を少しプレゼントされました。


魚醤。

その名の通り魚で作った見た目は醤油っぽい調味料です。

味はだいぶ違うんですけどね。

舐めてみたら苦味とかエグ味が強めでした。

もちろんそのまま飲むものでは無いので、試しに先ほどのおでんに使ってみます。


……うーん、美味しくはない?

さっきまでの塩味メインだったところにアクセントという意味では良いのですが、もうちょっと使い方を考えないといけないですね。

と思っていたら影が差しました。

顔を上げれば私を覗きこむ女性が1人。

男性じゃなかったことに心の中で安堵しました。

女性でも戦闘職の人は絡んでくるんでしょうか。

違いました。

まずこの人も私と同じ料理人とのこと。

そして注目していたのは私ではなく魚醤。

売ってほしいと言われましたが、これしかないので無理ですとお断りしました。

ならば珍しい食材とトレードでどうかと持ち掛けられました。

珍しい食材……ちょっと心惹かれます。


「例えばどういうの?」


と聞いて出てきたのは『海ほうれん草』……?

あの、それ私も持ってます。

えっ。もしかして意外とよくあるんでしょうか。

入手元を聞いたら「友達から美味しく料理することを条件に譲ってもらった」そうです。

その「美味しく」が調味料問題で頓挫しているとのこと。

うーん、困っているということなら良いでしょうか。

私ならカイリさんにお願いすればまた作ってもらえるでしょうし、味見はしたので感想をお伝えすることも出来るので不義理ではないでしょう。

なのでフレンド登録しつつ残っていた魚醤をお譲りしました。

名前はフラフさんと言うそうです。

美味しい料理法が分かったら私にも教えてもらえる約束を取り付けました。

私も早くカイリさんに美味しい料理を振舞ってあげたいですからね。

いつも貰ってばかりでは申し訳ないです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙い [一言] 埋めてしまえば、平安京エイリアンの術完成ですね
[一言] ここでつながるとは
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