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竜宮農場へようこそ!!  作者: たてみん


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戦後処理

一応言い訳というか普通は後書きに書く事。

ボシスがシャチじゃなくてイルカなのは「シャチだと強くなり過ぎるから」です。

一応シャチもマイルカってイルカの一種ですし、イルカの中にもお腹が白い種はいるので一応セーフじゃないかな。

あと最初はペンギンにしようという案もありましたが、エコーロケーションと魔物の使役を繋げたかったので没になりました。

そうして何とか23時を迎えた。

それと同時に南に向かった魔物たちも戻ってくる。

その数は半分くらいになっているからかなりの激戦だったことが想像できるな。


「ぎゃっぎゃっ」

「くえぇぇ~~」

「クルルルルッ」


魔物たちが口々に何かを言ってる。

まぁ言葉は分からないけど『お腹空いた』で間違いないだろう。

何というか気分は動物園の飼育員だ。


「お前達。遠足は家に帰るまでだって言うし、まずは北の海に戻るぞ。ごはんはそれからだ」

「「ギャーギャー」」

「ヤドリン達はここに残ってユッケ達が戻ってきたら一緒に後片付けをしてくれ。

かなり荒らされたから大変だと思うけど頼むな。あ、休みながらで十分だからゆっくりやってくれ。

俺はこいつらを落ち着かせてくるから」

「くぃ」

「きょっ」

「ぴっ」


流石にちょっと疲れた感じの3人をその場に残して北の海へと移動した。

そうしてグレイル島から少し離れた所に平地を見つけるとアイテムボックスから食料を取り出していく。

10万体を超える魔物の食料となると、この半年間で蓄え続けたのを全部放出して何とかギリギリってところだな。

特にこの1か月で世界各地に畑を作って無かったら危なかったかもしれない。

後の問題は明日からか。

食事っていうのは1回すれば終わりな訳がない。

聞けば人間みたいに毎日3食とまではいかないまでも週に1回は今日くらい食べたいそうだ。

週1ってことは残りの6日はどうするんだと思ったら、元々ここに居る魔物たちは北の海では底辺に近い存在だから碌に食事にありつけてなくて2週間全く食べてないって時もザラにあったみたいだ。

だから週1回、それも普段食べているものとは比べ物にならないくらい美味しいものが食べられたら十分幸せらしい。

だが彼らには厳しい現実を突き付けないといけない。


「今回の事で、俺の一番大事な竜宮農場もかなりのダメージを受けたからな。

残念ながら今のままだと週に1回も厳しいぞ」

「「ギャーギャー」」


俺の言葉を聞いて不満やら何やらで騒ぎだす魔物たち。

ダメージを与えたのは全部お前達なんだけどな。

一瞬拳で話そうかと思ったけどそこはグッと堪えて魔物たちにまぁ待てとジェスチャーをしながら話を続けた。


「今のままだと厳しいとは言ったが、無理とは言ってない。

俺から提示できる選択肢は2つだ。

1つはお前達全員で食料を賭けた決闘を行う事。人数が多すぎるのが問題なんだから減らせば良いだろうって話だな。まぁ大体500体くらいにまで減れば大丈夫だろう」

「「……」」


さっきまで騒がしかった魔物たちが静まり返りお互いの様子を窺いだす。

いくら底辺とは言え猫と鼠くらいの強さの差や相性によって勝てる相手、勝てない相手が居るだろう。

同程度の強さであっても、右の奴を噛み殺す間に左の奴に刺されるかもしれない。

なので誰も彼もが動けずにいた。

はぁ。これでさっさと殺し合いが始まるようなら全部見捨てて帰るんだけどな。


「じゃあもう1つの選択肢だ。

それはお前達自身の手で畑を耕して自分たちの食料を生み出す事だ。

畑を作るノウハウは俺が教えてやる。

その代わり畑の維持管理は全部お前達がやるんだ」

「「ギャーギャー」」


これには反発してくるのな。

多分「なんで俺達がそんな面倒なことをしないといけないんだ」って感じだろう。


「考えてもみろ。もし仮にどうにかして俺1人で食料を用意したとしよう。

そうすると今後お前たちの命は俺の気分次第になるんだぞ。

食料という名の命綱を俺に握られて、いつか気まぐれで捨てられるかもしれないと怯えながら暮らすのか?

そうじゃなくても俺も病気や何かで死ぬ可能性だってある。

そうなれば共倒れだ。

いくら怒ったところで俺は蘇らないぞ。

そんな他人に命を預けた状態でお前達は胸を張って一人前に生きてるって言えるのか?

自分たちの生きる糧くらい自分たちで生み出してみせろ!」

「「!!!」」


魔物たちはまるで雷に打たれたかのようにビシッと背筋を伸ばした。

どうやら少しは感じ入るところがあったようだ。

これで俺の言葉にある程度は従ってくれるだろう。


「分かったら今後畑が安定するまでは俺の指示に従ってもらう。

まずは我こそは力持ちだと自負するものは集まれ。

ふむ、約5000と言ったところか。

よし。お前達はさっきの所に戻って瓦礫の撤去を手伝ってこい。

ただし少しでも反抗的な態度を取ったらイカリヤ達にみじん切りにされてミンチになって畑の肥料にされるから覚悟しろよ」

「ギャッ!」


返事なのか悲鳴なのか勢いよく返事をする魔物たち。


「おい、ボシス。

お前は一足先に戻ってイカリヤ達に説明してこい。

そうしないとまた襲撃に来たと勘違いして殲滅しちまうからな」

「は、はい」

「一応言っておくが、お前もサボったら同じ末路だからな」

「はいぃっ」


慌てて飛び出していくボシス。

これでもしサボるような事があれば神様だろうと大地に還ってもらおう。

神様を肥料にしたら、傷つけられた畑もいい感じに回復してくれそうだよな。

あれ、待てよ。リースが【神敵】に認定されたって言ってたけど、ボシスを倒したら俺は【神殺し】になったりするのか?

まあなったらなった時だな。


「よし、残った奴らは畑仕事だ。

ちょうどいい感じにこの辺りは平らで何も無いからな。この一帯を畑にしてしまおう。

最初は俺が開墾して畑の形を作ってやる。

そうすれば最初の収穫は3~4日で出来るだろう。

ただし最初は畑のランクも低いから生産性も大した事無いし出来る作物の品質も低い状態だ。

それを今後良くするも悪くするもお前達次第だからな。

頑張れば美味いものにありつけるし、サボれば不味いものしか食えない。

俺はお前達から上前をはねる気はない。

だから畑を耕すのは誰の為でもない。全部お前たちの為だ。

その事を肝に銘じて鋭意努力するように!」

「「ギャギャッ」」


魔物たちは最初の喧騒もどこへ行ったのか、微動だにせずに俺の話を聞いている。

声を掛ければ一糸乱れず返事をする。

何というか、今度はどこぞの鬼教官にでもなった気分だ。

ま、話が早いから良いか。

よし、俺も早く戻って農場やみんなの状態を確認したいし、サクサクやるか。


「【開墾】。ほいっと」

ズドドドドッ!!!


俺が鍬を振り下ろすと、まるで地震が起きたかのように海底が波打ち、爆発的にその姿を畑へと変えていく。

いやぁ、ここのところ世界中で畑仕事をしてたお陰か農業レベルもだいぶ上がってたんだな。

この辺りの地面が意外と柔らかいのもあるけど、この調子なら1時間もあれば畑の基礎は出来上がりそうだな。


「「……」」


そんな俺を魔物たちがなぜか呆然と眺めていた。

どうしたんだ、ってそうか。

俺が何も指示してないから何をすればいいか分からないんだな。


「よしお前達。今から作業を指示するからキビキビ働けよ」

「「ギャーっ」」


心無しさっきより返事に力が入ってる気がする。

うんうん、やる気があるのは良い事だ。

やっぱり目に見えて畑が出来てくると気分も高揚するよな。


後書き日記 北の魔物編


俺は北の海に住む魔物だ。

これでもちょっとした集団のリーダーをやっている。

強さで言えば中の下。

残念ながら俺より強い魔物なんて幾らでも居る。

そんな中で下手に目立とうものなら翌日には猛者共の腹の中だ。

ここで生き残りたければ誰にも見つからないようにひっそり暮らすか集団で協力しあうしかない。

もしくは強い奴に付き従うのも1つの手だが生憎俺の趣味じゃない。

そしてここでは誰も彼もが腹を空かせている。

なので自分たちよりも弱小の奴らが居たら襲撃し食料にするのが日常だ。

時々見た目に反して強い奴らが居て返り討ちに遭う事もあるが何とか今日まで生き残れた。


そんな時だ。

南の地に食料が豊富な楽園のような場所があるという噂が流れてきた。

しかもそれなりに信頼性の高い情報らしい。

ああ、分かってる。

どうせそういうところは強力な魔物の住処でもあるんだよな。

俺達だけでどうこう出来る訳が無い。

え、なら大勢で押し寄せたらどうだって?

焼け石に水……はぁ?もう既に10万体以上の魔物が賛同している?

確かにそれだけ居れば数の力で圧し潰せるかもな。

よし、俺達も乗ったぜ。


……くっ。なんだあの化け物ども。

たった4体しかいないのにまるで歯が立たないじゃないか。

1体は貧弱な人間っぽいのにそいつも変な技であらゆる魔物をすべて1撃で倒してる。

普段は威張り散らしてる奴らまで笑えるくらいあっさりと倒されてるし。

俺達をまるでそこら辺に生えてる海藻のように薙ぎ払いながら突き進んでいく姿は畏怖すら覚える。

あ、とうとう今回の話の首謀者が捕まった。

こりゃ早めに見切りをつけて逃げるべきか?

そう思ったところで何故か人間たちが俺達に指示を出し始めた。

さっきまで戦ってた奴に従うのかって?

当たり前だ。俺はまだ死にたくない。

それに世の中強さこそが正義だ。弱者は従うか食料になるしかない。

そして一暴れして腹が減ったところで北の海に戻ると食事を提供してもらえた。


って、うっま!!


俺きっとこれを食べるために今日まで生きてたんだ。

そうに違いない。

しかしその幸せは長くは続かない。

美味しい食事は無くなるのも早いんだ。

幸せが大きかった分、絶望も深い。

そんな俺達に人間は言った。

自分たちの幸せは自分たちの手で生み出せと。

その為の協力ならしてくれると。

その人間が細い木の棒を取り出したかと思うと地面を殴った。


ズドドドドッ!


な、なななんじゃそりゃあ!!

鋼の大地と呼ばれていた場所が一瞬でその姿を変えていく。

だれだ貧弱そうだとか言った奴。

しかもただ破壊したのではなく、俺達の為の畑だという。

これが神の奇跡ってやつか。



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― 新着の感想 ―
[一言] 海神ボシス(イルカ)カイリの遣いっパシりに堕ちる(笑) カイリ 北の魔物が信者なりつつある。 順調に神化の道を辿ってますね(^o^) 運営 阿鼻叫喚ですよね。 プレイベントのつもりが本…
[気になる点] 読み返したら「海の神様たち」では【ポシス】ですね 【ボシス】で進めるなら修正した方が良いかと [一言] あっさりし過ぎているような気もするけど、日常パートが楽しみなので個人的には大団円…
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