天高く鳥は舞う
Side サクラ
さて、やって来ました雲の上。
は良いんだけど、右を向いても左を向いても雲以外何もなし。
なんかこう、天空の城的なやつとか空の島とか、雲で出来たお城とかあるんじゃないの?
足元では相変わらず一緒に落ちてきた雛たちが楽しそうに私達の足元を歩き回っている。
「ねぇ、あなたたちの親鳥が近くに居たりしないの?」
「ぴぃ?」
「って分かる訳ないよね」
どう見ても生後数か月どころか数日って感じのひな鳥たち。
もしかして親鳥は既に他のプレイヤーに狩られてたりするのかも。
幸い私達はこの山に来てから鳥系の魔物とは逃げてばっかりだったから、私達が実は狩ってましたって事は無い。
まぁ例え狩っていたとしても弱肉強食の世界なら仕方ないと言えるんだけど。
っと、親鳥の心配の前にまず私達がこれからどうするのかの方が先よね。
「ねぇツバキちゃん。これからどうしようか」
隣に居るツバキちゃんに声を掛けるとしゃがみ込んで何かしてる。
と思ったらこっちを見てにっこり。
「見て見て。手乗りひよこ♪」
「ぴぃ♪」
手のひらに雛を乗せて遊んでいた。
何故かしら雛の方もドヤ顔に見える。
そしてそれを見た私の足元に居た雛も私にすり寄って来た。
「ぴぃぴぃ!」
「なに、あなたも真似したいの?」
「ぴぃ♪」
「仕方ないなぁ」
ひょいっと掬い上げてみると、雛は嬉しそうにパタパタ羽を動かして私の肩に移動していった。
「ぴぃ♪」
どうやらこっちの子は肩がお気に入りみたいね。
個性を出すのは良い事だけどこんな事してる場合なのかな。
ま、可愛いからいっか。
頭を撫でてあげると私のほっぺたにスリスリと柔らかい羽毛をくっつけてくる。
うん気持ちいい~。
っと、いけないいけない。
私までこんな事してたら話が進まないわ。
とにかく親鳥なり神様なり誰でも良いから探さないと。
そう思ったところで太陽が陰った。
「?」
雲の上なのだから日差しを遮るものなんてないはずだけど。
不思議に思いつつ空を見上げてみれば、全長3メートルは超えている鳥がこちらを見下ろしていた。
あ、もしかしてこの子たちの親鳥かな。
「あの……」
『ふむ。雛鳥たちが懐くとは珍しい事もあるものだ』
「って、喋るの!?
じゃなくて、あなたがこの子たちの親鳥ですか?」
『いや、その雛鳥たちに親はおらぬ』
違ったみたい。でも親がいないって事はやっぱり既に倒されているって事なのかも。
そしてそれを聞いたツバキちゃんが目をキラキラさせて問いかけた。
「じゃあじゃあ、私達が育ての親になっても良いですか?」
「ちょっ。ツバキちゃん!?」
『好きにするがいい。
だがお前達。ここまで何をしにきたんだ?』
「え?」
「えっとぉ」
そういえば何だっけ。
ってそうだよ。
「私達空が飛びたいんです!」
「そうそう。霊峰の山頂から飛び降りたら変身出来るようにならないかなって思って」
『いや無理だろう』
「ですよねー」
そんな冷静に突っ込まなくても良いじゃない。
そりゃ私達だってダメ元だったわよ。
でも雲の上に来れたってことはある意味間違ってなかったんじゃない?
「あの、空の神様をご存じないですか?」
『ふむ、会ってどうする』
「空を飛べるようにしてもらえるようにお願いしたいんです」
『人の身で空を飛ぶ、か。出来なくはないが……』
「出来るんですか!!」
『うむ。飛び方には3つある』
「「3つも!?」」
『一つは今のように雲に乗る方法だ。
雲神に頼み雲を操る術を学べ。さすれば自在に空を飛べるだろう』
つまり觔斗雲みたいなものかな。
でも私達の飛ぶイメージとは違うのよね。
『二つ目は空中に自在に足場を作り空を駆ける方法だ。
風神に頼み大気を掴む術を学べ。さすれば空と地面の違いなど目に見えるかどうかだけになる』
「空を駆ける……」
「うーん、飛ぶのとは違うような」
多分立体起動を駆使して空中戦をするなら一番だと思う。
でも私達は走りたいんじゃなくて飛びたいんだ。
『最後に背中に翼を生やして飛ぶ方法だ』
「「それです!!」」
『そうか』
私達の反応にため息をつく鳥さん。
え、今のどこにため息をつく理由があったの?
『正直この方法はお勧めはしない』
「どうしてですか?」
『前の2つに比べて習得が困難だからだ』
「そうなんですか?」
『お前達、手を挙げたり足で歩く事は出来よう』
「そりゃ、まぁ」
『なら翼を羽ばたかせる事は出来るか?』
「「!?」」
『出来ぬであろう。
故に例え私の力で進化したとしても背中に翼が出来るだけで飛ぶことは出来ん』
言われてみれば確かに。
魚に空を飛べっていうよりかはマシだけど(カイリさんなら飛べそうな予感もするけど)、元々翼の無い私達が翼を手に入れたからと言って空を飛べる事とは別なんだ。
「ぴぃぴぃ」
「慰めてくれるの?ありがとう」
「ぴっ」
「あっ」
雛が私の肩から飛び降りた。まだ飛べない翼を懸命に動かしながら。
そして私を見上げてひと鳴き。
パタパタと。
それはまるで私達を励ましてくれているような気がする。
「って、そうか。そうだよね。
私達だって赤ん坊のころは立って歩けなかったんだよね。
なら一緒に飛べるように頑張ろうか」
「つまりは特訓だ。そして雛たちとどっちが先に飛べるようになるか競争だね!」
「うん!
あの、さっき『私の力で』って言ってましたよね?
お願いします。私達を進化させてください」
「お願いします。その為ならどんなことでもしますから」
私達の言葉を聞いて鳥さん、多分鳥の神様は鷹揚に頷いて見せた。
『そうか。わかった、良いだろう。
しかし既にお前たちへ課す試練は全て終わっている』
「え、そうなんですか?」
『ああ。その雛たちに慕われているのが証拠だ。
どうやらお前達はあの山でただの1羽も鳥の魔物を倒していなかったようだな。
それに加えて山頂から宙に舞う意志の強さも見せた。
純粋な空への思いも伝わって来た。
ならば私としては空の同志として迎え入れるに吝かではない。
さあ受け取るがいい』
そう言うと鳥神様は翼をバサバサと羽ばたかせ、私達に羽根を1枚飛ばしてきた。
その羽根を受け取った瞬間、私達は光に包まれた。
……うっ、背中。
それも肩甲骨の裏側に違和感がある。
どうやら無事に進化出来たみたい。背中のこれもきっと翼が付いたって事なんだろう。自分じゃ見えないけど。
でもツバキちゃんの背中を見せてもらえば確かにそこに翼があった。同じものが私の背中にも付いてるみたい。
また言われた通り自分で動かそうとしても全然いう事を聞かない。
例えるなら事故に遭った後遺症で動かなくなった手足をリハビリする感覚に近いかも。
でも、ひとまずは進化出来た事を喜ぼう。
「やったね、ツバキちゃん」
「うん。あとは特訓あるのみだね!」
「「ぴぃぴぃ♪」」
ツバキちゃんと雛たちと一緒に喜び合う。
これで一歩どころか10歩くらいは前進した。
後はツバキちゃんの言う通り特訓して飛べるようになるだけだ。
そうやって喜び合っていた私達に再び鳥神様が声を掛けてきた。
『さあ行くぞ』
「行く?」
『飛べるようになりたいのであろう?
その為には師が居た方がよかろう。付いて来るがいい』
「あ、はい!」
「よろしくお願いします!」
『私のしごきは厳しいから覚悟しておくことだ』
そうして私達は鳥神様の指導の下、飛ぶ特訓を開始した。
無事に飛べるようになったのはそれから半月以上後の事だ。
雛たちなんて1週間で飛べるようになっていたのに。
く、くやしくなんてないんだからね!
後書き掲示板
No.842 通りすがりの妖精
もう10月になったっていうのに見つかった進化パターンは8つだけか
No.843 通りすがりの魔族
俺達4種族の神と4大国家の神の進化パターンな
残り半分もどこかに神様が居るんだろうけどさっぱり見つからん
No.844 通りすがりの人間
これに関しては運営も一切ネタを公開する気は無さそうだな
No.845 通りすがりの獣人
実は単に実装してないだけだったりしてな
No.846 通りすがりの人間
いや、そこは否定してたぞ
どうやら既に誰かがクレームを入れてたみたいだ
No.847 通りすがりの魔族
あ、それ俺も見た。
その中で既にその残り半分の神様の下で進化した人も何人か居るって話だ。
ちなみにその人たちを捕まえてネタを吐かせようとすると神罰が下りますと豪語してた
No.848 通りすがりの妖精
じゃあその人たちが情報をどこかに投下してくれるのを待たなあかんのか
No.849 通りすがりの人間
でも普通に探しても見つからないんだろ?
つまり見つけられた人も相当頑張った訳でそう簡単に情報を公開してくれるとは考えにくい
No.850 通りすがりの魔族
結局自分たちで見つけないといけないってことか
でもそこまで頑張るより安易なところで進化した方がいんじゃね?
No.851 通りすがりの妖精
それ言ったらおしまいだろw
No.852 通りすがりの獣人
「親方!空から女の子が!!」
No.853 通りすがりの魔族
はい?
No.854 通りすがりの人間
何か前にも見たな、そのネタw
No.855 通りすがりの妖精
同じネタはNGだぞw
No.856 通りすがりの獣人
いや、今度こそマジだ。
というか、飛んでる。
背中に翼も生えてるし、まさか……天使?
No.857 通りすがりの人間
詳しく!!
No.858 通りすがりの人間
さあ、はよはよ!!
No.859 通りすがりの人間
ここに来て天使フラグ。やはりこの世に神は居たんだ
No.860 通りすがりの人間
ひとまずスクショプリーズ!!!
No.861 通りすがりの獣人
ww
ひとまずスクショな
→https://xxxxxxxxx
No.862 通りすがりの人間
おぉ!マジだ。
No.863 通りすがりの人間
めっちゃ遠くてちっこいけど確かに翼で飛んでるよ!
No.864 通りすがりの獣人
あと場所は霊峰キリマンジャロだ
No.865 通りすがりの妖精
あそこか。
とうに調べ尽くしたと思ってたけどね
No.866 通りすがりの魔族
何か隠しフラグがあったのかもしれないな
No.867 通りすがりの人間
そんな事よりも俺の天使は?
No.868 通りすがりの獣人
既に北の空に飛び去った後
あとお前のじゃないしww
No.869 通りすがりの妖精
うわっ
既に霊峰に人集まり過ぎ。
山狩りなんて目じゃないなこれはw




