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竜宮農場へようこそ!!  作者: たてみん


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136/162

桜は風に舞い、椿は雲を揺蕩う

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。


Side サクラ


グレイル島を飛び出した私達は世界中を回り空を飛ぶ方法を探していた。

でも当然というかそんな情報は全然ないし、掲示板なんかにも書き込んでみたけど色よい回答は得られなかった。


「やっぱり普通の方法じゃ無理なのかもね」

「うん。でもまだまだ諦める気は無いよ」

「それはもちろん」

「じゃあ次はどうしようか」

「うーん」


一応案が無い訳じゃない。

でもあれは最後の手段に取っておきたいかなぁって思うのよね。

そう思ってたのは私だけだったみたいでツバキちゃんが決意を固めた顔で言い放った。


「やっぱあれっきゃないよ!」

「あ、あははは。はぁ」


あれ。あれですかぁ。

そうしてやって来たのは『霊峰キリマンジャロ』。

名前からして何かあるだろうと思われる場所だ。

私達以外にも同じように飛行系の進化ルートを探しに来たと思われる人たちが結構来ている。

もちろん私達も存在を知って真っ先にやって来て既に隅々まで調べ済みだ。

でもその時は結局何も見つけることは出来なかった。

麓の村に何かクエストが隠されているかもしれないって掲示板で賑わってたけど、そちらも大したものは見つかっていない。

精々魔物を討伐したり薬草を採集してくるクエストがあるくらいだ。

チェインクエストがあるかもと思って念のためクリアしてみたけど、結局秘薬のレシピを教えてもらえるだけだった。


「各種族の母国以外では進化の難易度が上がるって話もあったし、普通の方法じゃ無理なんだよ」


そう言いながら山頂を目指す私達。

8号目くらいから雲の上になるのだけど、この辺りまで来ると出てくる魔物は鳥型でかつ高レベルなものしか出てこない。

遠距離系の武器や魔法をメインで戦う人には絶好の狩場かもしれないけど、私達のメイン武器は剣と槍。

なので基本戦いは向こうから仕掛けてきたところを迎撃するしかない。

でもでも高速で飛来する魔物を迎撃するって人間業じゃないから!


「グケェーッ!」

「サクラちゃん」

「くらえ、タコ墨ショット!」


襲い掛かってきた巨大なワシっぽい魔物にタコ墨の入った袋を投げつける。

カイリくん作のこの袋。なぜか常に魔物の顔にヒットするのよね。

まぁその分、効果時間は短いんだけど。


「あそこの岩陰までダッシュ!!」

「うん」


魔物が私達を見失ってる間に急いで物陰に隠れる。

ここの魔物ってこれだけで何故か目標を見失うみたいで、今襲ってきた魔物もまるで何事も無かったかのように飛び去って行った。

前に来た時も同じように逃げ回ってたのよね。


「やっぱり何か強力な遠距離武器を用意した方がいいかな」

「うーん、でも飛べるようになったら要らなくなるかもしれないし、それから考えても良いんじゃない?」

「前来た時もそう言ってたよね」


そうしてやって来ました頂上。

眼下には薄っすらと雲海が広がり(といっても多分100メートル以上離れている)、気温も下がって地面は雪?氷?に覆われている。

そんな極地でも魔物は元気なのよね。ほんと生命力強すぎ。


「で、本当にやるの?」

「もちろん。ここまで来たんだから」

「はぁ」


何をそんなに引き延ばしているのかと言えば、今から私達がやるのは一種の自殺行為だ。

そう。ネタで言ってた『崖から飛び降りる』を実践しようというのだ。


「一応例の秘薬も使っておく?」

「そうだね。やれることは全部やっておこう」

「うん。何度もやりたくは無いからね!」

「分かってるって。これでダメだったら別の方法を考えよっ」


崖っぷちに立つと高所恐怖症でなくても自然に体が震える。

確か人間って赤ちゃんの時から高い所には恐怖感を覚えるってどこかで聞いたことがある。

だから赤ちゃんに高い高いをすると夜泣きが激しくなるんだとか。


「ね、ねぇ。やっぱりやめない?」

「ここまで来て。女は度胸だよ。

それに後ろ見て。後がつっかえてるし」

「へ?」

「ぴぃぴぃ♪」


後ろを見れば本当に鳥のひなが私達の後ろで順番待ちをしている。

産毛の様子からして生まれたてだと思うんだけど親鳥は何してるの?


「か、かわいい。よしよし。あ、この子たち、カオジロガンじゃない?

ほら、親鳥が餌をくれないから自力で崖を飛び降りて餌を取りに行かないといけない鳥」

「そうかもね。さ、行くよ~」

「あ~やっぱり誤魔化されない?」

「うん無理。という訳で。……えいっ!」

「きゃああぁぁぁぁ~~~。い~~や~~~~」

「あはははっ」


まさかまさか、突き落とすなんて~~!

そして私に続いて自分で飛び降りるツバキちゃん。

その姿を確認した後、私の意識はブラックアウトした。

あ、死んだなこれは。


……

…………

………………



「…………ん」

「……」

「……ラちゃん、起きて」

「……?」

「サクラちゃん!」

「ふわっ」


揺さぶられる感覚に意識が覚醒すると、視界いっぱいに青空が広がっていた。

隣にはツバキちゃん。

で、ここはどこかというと。


「えっと、私達天国に来ちゃった?」


足元に広がる白くてふわふわしたもの。

多分雲よね。

天国って言ったら雲の上にあるイメージだけど。

それともゲームあるあるでただ単純に雲に乗れたってこと?

でも山を登ってる途中にも雲に乗れるか試したけど、その時は普通にすり抜けるだけだった。

その時との違いと言えば死ぬほど高い場所から飛び降りたかどうかくらいだと思うんだけど。


「うーん、多分天国じゃあないと思うよ?だってほら」

「ぴぃぴぃ♪」


ツバキちゃんが指差した先には先ほどの鳥のひなが居た。

あ、この子たちも一緒に来ちゃったんだ。


「って、カオジロガンのひななら地上に降りないと餌がないんじゃないのかな」

「さ、さぁ。そこはゲームだから良いんじゃない?

それにここにその子たちの餌になるものがあるのかもよ?」

「ぴぃぴぃ♪」


私の心配なんてどこ吹く風で、ひなたちは雲をついばみながら楽しそうに飛べない羽でパタパタしてた。

うん、かわいい。

じゃなくて、これからどうしようか。



後書き掲示板


No.312 通りすがりの妖精

現時点で自分たちの国以外で進化した人ってどれくらい居るんだろうな


No.313 通りすがりの魔族

例の4大国家で進化というか神様から祝福を受けるクエストを進めてるって話はちらほら聞くな。


No.314 通りすがりの人間

ああ。ちゃんとクエストをクリア出来たら進化したって奴も見たことある。


No.315 通りすがりの獣人

ただ進化パターンって全部で16あるんだろ?

公式にはそのうち2パターンは現時点ではどう頑張っても無理って話だったけど、現時点で分かってる8パターン以外に残り6パターンあるはずなんだけど、今のところ一切情報がないんだよなぁ。


No.316 通りすがりの妖精

現時点で有力な場所って言ったら名前からして怪しい『霊峰キリマンジャロ』だけど、今のところ発見報告はないんだよな。


No.317 通りすがりの人間

うん。今も弓士や風系魔法使いが中心に探索を続けてるけど手掛かりなし


No.318 通りすがりの魔族

てかあそこ鳥の魔物多すぎw

遠距離プレイヤーにとっては良い稼ぎ場所なんだろうけどさ


No.319 通りすがりの獣人

!?

な、なぁ。俺今その『霊峰キリマンジャロ』の山頂付近に居るんだけどさ。

プレイヤーと思われる女の子が山頂から飛び降りてったんだけど(怖っ

もちろん羽も付いてなかったし、パラシュートとかも無し。


No.320 通りすがりの人間

なっ!?


No.321 通りすがりの魔族

ちょっ!!!


No.322 通りすがりの人間

「親方!空から女の子が!!」


No.323 通りすがりの妖精

古っ!

元ネタふっるぅ~~


No.324 通りすがりの人間

だが許す!

女の子カモン!!


No.325 通りすがりの人間

……って、あれ?


No.326 通りすがりの人間

…………おいっ


No.327 通りすがりの人間

………………落ちてこないじゃん!!


No.328 通りすがりの妖精

なんか大量に湧いてきて吹いた。

これだから人間はw


No.329 通りすがりの魔族

普通に考えて書き込みしている間に既に大地の赤いシミになってるだろw


No.330 通りすがりの獣人

もしくは飛んでる魔物の餌?

実際崖から足を踏み外したアーチャーが魔物に空中キャッチされて食い殺されてる現場は見たことあるw


No.331 通りすがりの妖精

スプラッタやなぁ


No.332 通りすがりの魔族

今頃魔物の巣に運ばれて雛の餌になってるんだな。

南無南無




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― 新着の感想 ―
[一言] 次の話も含めて確認 人妖獣魔 愛武法商 鳥雲風空 水流魚海 の神がいて無理なのが空と海 主人公は17番目の進化方法になるのかな?
[一言] まさか誰も雲に乗ってるとは思うまい
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