お帰りはあちらです
使用した食材は後でスタッフが美味しく頂きました。という回。
まだまだ出したい食材はあったというか、メインで出したいのは強すぎてお蔵入りという悲しい現実。
さて、やってきた冒険者は30人くらいか。
種族は魔族8割、人間2割だな。種族混成パーティーなのに獣人と妖精が1人も居ないのも珍しい。
「いらっしゃいカッパ。
さっきなにか不穏当な会話が聞こえたカッパ。
気のせいカッパ?」
俺がそう声を掛けると、一瞬静まり返った後、爆笑の渦が巻き起こった。
「ぎゃははははっ」
「カッパだってよ、カッパ」
「うわだっせぇ~~」
俺を指さしながらゲラゲラと笑う冒険者達。
一瞬ムッとしてしまったけど、俺以上に周囲の殺気がヤバいことになってるから、ちょっと落ち着けた。
まあ自分で言っててそろそろ語尾にカッパを付けるのも疲れてきたけどな。
いちおう最後まで頑張るけど。
「楽しそうなところ悪いけど、さっき俺の畑を荒らすとか言ってなカッパ?」
「あん?なんだ、もしかしてこの畑、お前のか」
「そうカッパ。もし畑の作物が欲しいなら売ってあげても良いカッパ」
俺がそう提案すると、なぜかムッとする冒険者達。
おかしいな。そんな変なことはまだ言ってないはずなんだけど。
そう思ってたら向こうから理由を教えてくれた。
「お前、NPCの癖して『売ってあげる』とか生意気なんだけど」
「そうそう。それにここってダンジョンの中だからバトルエリアだよな?
こんなところにあるってことは俺達が占拠しても良いってことだろ。
ならわざわざお前から買う必要ないじゃん」
「確かバトルエリアに居る味方以外のNPCはぶち殺したってペナルティは無いはずだよな」
「そんな訳でここの畑は俺達が有効活用してやるから、カッパは退場してくれや」
ニヤニヤと笑いながら武器を俺に向けてきた。
これはもう宣戦布告と見なしても良いだろう。
まぁでも、今の俺はどっちかというと運営サイドだしな。
突然一方的に彼らを皆殺しにするのは良くないだろう。
せめて警告はしておかないと。
「一応言っておくけど、この第9階層は俺のホームグラウンドカッパ。
戦いになればお前たちに勝ち目は無いカッパ。
今ならまだ聞かなかったことにしてあげるから、武器を下ろして大人しく次の階層に向かうカッパ」
攻略不可コンテンツですよって。
しかしやっぱりというか彼らが俺の言葉を受け入れることは無かった。
「へっ。カッパなんかに舐められてたまるかよ」
「そうだぜ。そんなこと特進クラスの奴らに知られたら何言われるか分かったもんじゃないしな」
特進クラス?ってことは塾か何かの集まりなのかも。
という事は中学生か。ならこの身勝手な言動も仕方ないのかもな。
じゃあ人生の先輩として挫折を味あわせてあげるのも役目か。
「そうカッパ。なら存分に後悔していくカッパ」
言ってサッと身をひるがえす。
「あっ。逃げるのか!」
「戦う気なら追ってくると良いカッパ」
「逃がすかよっ」
追ってくる冒険者達を引き連れて、前の人たちにスキルを使ってもらった所とは別の、沼状になっている休耕地へと移動した。
冒険者達たちは水よりも重い沼に足を取られて一気に速度が落ちた。
「ちっ。歩きづらいな。機動力を奪うのが目的かよ」
「それもあるカッパ。あと、所々落とし穴が掘ってあって底なし沼状態になってるから気を付けるカッパ」
「はぁ? って、ちょ。沈む沈む! 助けてくれ」
「ば、ばか。引っぱるな!」
「いたたたっ。なんか足に噛み付かれたぞ!」
「ああ。この階層、本来は普通に魔物が居るカッパ。
他のところは俺達が間引いてたから居ないように見えただけで、ここには沢山居るカッパ」
「くそっ。はめやがったな!!」
「だからさっき、ここはホームグラウンドだって言ったカッパ」
ギャーギャー騒いでいる間に、既に10人近くが沼に腰まで沈み、沼の中から魔物に攻撃されて死に体だ。
俺?俺は風水スキルで足元の沼を固めて、その上を歩いているから何ともない。
魔物たちも狙いやすい獲物が居るからそっちを優先してくれるし。
というか、このままだと俺が手を下す前に終わってしまいそうだな。
終わってしまう前に、イベント中の暇に飽かせて色々作ったネタ武器を試してみよう。
「ネタ武器その1『ほうれん草飛剣』。はっ」
くの字型に固定されたほうれん草をブーメランのように投げる。
「ちっ」
「こんなもん」
流石にここまで来るだけあって、多少体勢が崩れてても剣で受けれるか。
そんなこともあろうかと。
「柔らかくなれ!」
「ぐあっ」
ほうれん草が剣で受け止められた瞬間、ほうれん草が鞭のようにしなり、ガードをすり抜けて冒険者を切り裂いた。
剣のように固く鋭くなったとはいえ、元は柔らかくて甘くて美味しいほうれん草だからな。
ただのブーメランとは違うのだよ。ふっふっふ。
「さぁほうれん草はいっぱいあるカッパ。お腹いっぱいになるまで堪能していくカッパ」
「いてっ。くそ、おれはほうれん草嫌いなんだよ!!」
「好き嫌いは良くないカッパ。
でもそんな君にはこっちをプレゼントするカッパ。
ネタ武器その2『徹甲ニンジンランス』。ていっ」
今度は大きく育ったニンジンで作った槍を投げつける。
「って、デカすぎだろっ。何でニンジンが突撃槍サイズなんだよ!!」
「栄養満点な土壌と、愛情たっぷりに育てた結果だカッパ。
あと貫通破壊特性が付いてるから、正面から受けるのはお勧めしないカッパ」
「そういう事は先にっ。ぎゃあああっ」
受け止めた盾を貫通して胴体に深々と突き刺さるニンジン。
見た目はシュールだけど威力は本物だ。
直撃を受けた彼は光になって死に戻ってしまった。
さて次は……
「おい、きさま。こっちを見ろ!!」
「ん?」
「それ以上抵抗するようなら畑を燃やしてやるからな!!」
そう言って収穫前の畑に向けて火炎魔法を向ける冒険者が数名。
人質ならぬ畑質か。
有効と言えなくもないけど、人と違って最悪畑は育て直せば済むだけなんだよな。
もちろん手塩にかけて育てた畑を荒らされるのは物凄く嫌だし、やらせる気は無いんだけど。
「はぁ」
ため息をつきつつ武器を下ろした。
そんな俺を見て勝利を確信したのか、ニヤッと笑う冒険者達。
うん、まぁ。戦いが終わってしまうっていう意味では間違ってないけど。
「世の中にはやって良い事と悪いことがあるカッパ」
「は?何だ急に。負け惜しみか?」
「いや、な。ここに居るのは俺だけじゃないカッパ。
そもそも階層1つを俺一人で制圧できる訳ないカッパ。
その子たち、俺だけならともかく畑まで狙われたとなるともう止められないカッパ」
「だからそんな奴ら、どこにもいないじゃないか。どこから来るんだよ」
「来るというか、最初から居るカッパ」
そう言って上を指さす。
それと同時に今まで我慢してくれていた死糸花の糸が簾のように冒険者達に掛かっていく。
「ちょっ。何だこの糸。体に巻き付いてきやがる」
「くそっ。切れないぞ。どうなってんだ!」
「て、か。やべっ。しびれ……」
「「……」」
一瞬にしてシュルシュルと巻き付いた糸が冒険者達を状態異常に突き落としつつ、HPドレインでバッタバッタと死に戻していく。
……あっという間に全滅してしまった。
その向こうで出番がなかったとほかの皆がため息ついてるし。
後書き掲示板
No.771 通りすがりの獣人
第10階層のボスがキツイっす
No.772 通りすがりの妖精
ボスの癖に自然回復しやがるからな。
半端なダメージだと回復される。
No.773 通りすがりの獣人
そんなのどうやって勝てと?
No.774 通りすがりの人間
俺はスキルと魔法のごり押しで何とか突破した。
きつかったのは確かだけどw
No.775 通りすがりの獣人
獣人はそんなに魔力量多く無いから無理なんですけどw
No.776 通りすがりの妖精
>775
もしかして食事バフ付けずに行ってたり?
No.777 通りすがりの獣人
もちろん付けてるけど、俺の普段食べてる食事だと攻撃力アップがメインだから
No.778 通りすがりの妖精
あ(察し
No.779 通りすがりの人間
あぁ(察し
No.780 通りすがりの獣人
え、なに?
俺なんか間違えてる??
No.781 通りすがりの人間
間違えというか、見落とし?
No.782 通りすがりの妖精
コミュニケーション不足とも言うな
No.783 通りすがりの獣人
それってまさか……
No.784 通りすがりの妖精
そのまさかだと思う。
第9階層のカッパさんと仲良くすると魔力アップ系の料理をご馳走してくれる。
それさえあれば魔力量については何とかなる
No.785 通りすがりの人間
それでも足りないならプレイヤースキルの方が足りてないと思われる。
No.786 通りすがりの獣人
まじか。
生産とか全くしないから素通りしてた
今からちょっと挨拶行ってくる!
No.787 通りすがりの妖精
いてら~
No.788 通りすがりの人間
ちゃんと礼儀正しくするんだぞ~
No.789 通りすがりの妖精
ま、いうて相当悪い態度取らなければ問題ないだろうけど。
No.790 通りすがりの魔族
つ 急募『カッパ討伐隊』
No.791 通りすがりの人間
は?
No.792 通りすがりの妖精
突然、何事?
No.793 通りすがりの魔族
我々は現在、第9階層に巣くうカッパ討伐の為の仲間を募集中である!!
かの化け物は米の市場を独占し、我々プレイヤーに対して牙を剥いてきた。
我々はプレイヤーとしての尊厳を守らなければならない。
よって共に手を取り合い総力を挙げてあの化け物を討伐し、日本人の魂と言うべき米を取り戻そうではないか!
No.794 通りすがりの人間
おいおい。
あのカッパさんが牙を剥いたってどんだけ失礼な事をしたんだよw
No.795 通りすがりの妖精
だよな?
あの人を怒らせるって相当だと思うんだけど、なにしたんだ?
No.796 通りすがりの魔族
我々は当然の権利を主張しただけだ。
No.797 通りすがりの人間
当然の権利? なにそれ。
No.798 通りすがりの魔族
フリーエリア、バトルエリアに存在する素材を取得する権利だ。
No.799 通りすがりの人間
あーそうね。そう考える人って一定数居るよねw
No.800 通りすがりの魔族
更に奴が居ない時を狙って行けば、奴の眷属と思われる魔物が問答無用で牙を剥いてくる始末。
何としてもこの暴挙に対し正義の鉄槌を下さねばならんのだ!
No.801 通りすがりの妖精
……ヘイト稼ぎすぎwというか相当嫌われてるなww
>>799 どうする?
No.802 通りすがりの人間
>>801
当然決まってるだろ?
No.803 通りすがりの妖精
>>802
だよな。
No.804 通りすがりの魔族
おぉ、では!
No.805 通りすがりの人間
他の仲間にも声を掛けて第8階層に検問を設けよう
No.806 通りすがりの妖精
それならカッパさんに迷惑も掛からなくて良いな!
No.807 通りすがりの魔族
お? おい、どういうことだ?
No.808 通りすがりの人間
つまり俺達は恩人であるカッパさんを守る者ってことだ。
じゃあな。
早速皆に声を掛けて来るわ
No.809 通りすがりの妖精
>>807
ゲーム内で会ったら敵同士だな!
じゃあ、俺も行くぜ
No.810 通りすがりの魔族
は…………な、なんなんだ!?




