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竜宮農場へようこそ!!  作者: たてみん


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海賊の拠点を攻略せよ

休み癖が付くと良くないですね。

シルバーウィークも気付けば終わりそうですし。

何とか毎日更新にペースを戻したいのですが。

母艦の自爆から難を逃れた船に救助されたダンデ達は何とかイベント島へと戻ってきた。

そんな彼らを島に残っていたペーター達が港へと迎え入れた。


「おかえりなさい。ずいぶんと手ひどくやられたみたいですね」

「ああ。見事にやられたぜ!」

「ふふっ。相変わらず負けても元気ですね」

「まあな。次勝てば良い訳だからな!」


ニカッと笑って答えるダンデと少し眩しそうに見るペーター。

彼らはそのまま酒場へと場所を移して作戦会議を始めた。


「海戦の次は拠点攻略か。間違いなく厳しい戦いになるだろうな」

「そうだな。特に今回は上陸するところからだから更に厳しいぞ。

海岸線には間違いなく砲撃拠点も作ってあるだろうからな」

「あ、そういえば『大海賊王』もだけど、火薬が手に入ったのか?」

「ん?ああ。爆裂鉱石っていうこのイベント限定素材があったんだ。

石状のそれをすり潰して粉にすれば爆裂粉っていう火薬の代わりになる。

粉にしなくても爆発はするそうだが、その場合は強い衝撃が必要になるみたいだ。

ただ量はそんなに取れなかったな。

俺たちも大砲数門分を確保するのが精々で、あんなに大量にどうやって手に入ったんだか」


イベント限定素材か。

まあ確かに火薬が普段から出回ったら、世界観がぶっ飛ぶし。

『科学VS魔法』の戦いになったら……それはそれで楽しそうだな。

とそれはともかく。

その疑問にはペーターが答えた。


「島の住民から聞いた話ですが、海賊たちが拠点にしている島は恐らく禁戒島(きんかいじま)です。

その島は至る所に爆裂鉱石やその粒が落ちていて、島そのものが火薬庫みたいなものなんだそうです。

昔は罪人の流刑地としても使われたとか」

「きんかいじまって。音だけ聞くと良い感じに聞こえるけど、相当ヤバい場所だな」

「違いない。それと、今の話を聞いてて思ったんだが。

上手く拠点乗り込めたとして、更には奴らを追い込めたとしてだ。

最後はまた拠点ごと自爆するんじゃないか?」

「ああ……『死なば諸共だ』とか『お前たちには銅貨1枚やらぬ』とか言ってな」


つい数時間前に自分たちの母艦を躊躇いもなく自爆させた姿が脳裏に浮かぶ。

あいつら、良く言えばロマンに溢れてるからな。

自爆特攻とか大好きそうだ。


「ってことは、拠点に乗り込むのも悪手なのか」

「死に戻るだけなら良いが、奴らが奪っていった鉱石を取り戻せるとかの旨味が無いときついぞ」

「それも見越しての自爆か」

「打つ手なしじゃねえか」


酒場の空気が重くなる。

誰もが海賊たちに一泡吹かせてやりたいとは思うものの、その為に無理心中に付き合う気はない。

そんな皆をみてふふっと笑ったペーターが新しい情報を投下した。


「ところで。その禁戒島なのですが、どうやら双子島らしいですね」

「双子島?それがどう……あっ」

「気付きましたか?そうです。

恐らく彼らがこれ見よがしに待ち構えている拠点は、本拠地ではなく、あくまで前線基地。

自爆して痛み分けと見せかけつつ、彼らはデスペナを負うだけで無傷。いえ、それすら脱出用のボートを隠している可能性だってありますね」

「知らずに突っ込んだら、まさに飛んで火にいる夏の虫ってところか」

「でも逆を言えば、もう一つの島で待ち構えていれば一網打尽に出来るってことか」

「はい。本拠地にも警報の類は付いているでしょうから、攻めるなら前線基地の攻略と同時が良いでしょう」

「じゃあ、後はどうやって攻め込むかだけど……」


そうして酒場では賑やかに食事もしつつ、海賊攻略に向けて話し合いが進められるのだった。



そして翌日7月29日


海賊島を取り囲む多数の船……の姿は無く、待ち構えていた海賊たちは拍子抜けしていた。


「あいつら、もうあきらめたのか?」

「ふっ。情けない奴らだ」

「まあ、俺達の手にかかったらこんなもんよ」

「昨日のあいつ等の逃げ帰りっぷりは笑えたよな」


のんびりとあくびをしながら無駄話をしている彼らの足元に何かがコロコロと転がって来た。

それは黒くて丸いボールのようで、それでいて紐が付いていて紐に火が付いているような……


「ば、ばくっ」

どっか~~~ん


最後まで言葉を発する前に、転がって来た爆弾が爆発した。

爆発は1か所だけではなく島の数か所で同時に発生している。

更にはその爆発の衝撃で島中の爆裂鉱石が連鎖的に爆発を繰り返していく。

その光景をどう表現すればいいかと言えば。


「昔の特撮映画みたいだな」

「ウルトラスーバーマン?」

「いやいや、そこは仮面ライダー戦隊だろ」

「はいはい、ウルトラ仮面でも何でもいいけど、爆発が収まって来たから上陸するよ」

「「はーい」」


浮き輪に乗って様子を見ていた冒険者たちがバタ足でせっせと島に上陸していく。

ちなみに彼らを乗せてきた船は拠点の沖で彼らを下ろした後、島の裏側へと回って本拠地と思われるもう一つの島へと向かっていった。

さて拠点の様子はと言えば、誘爆に次ぐ誘爆で作られていた防衛陣地のほとんどが半壊し使い物にならなくなっていた。

生き残った海賊たちは早々に見切りをつけて島の中央にある砦へと逃げ込むようだ。


「くそお。あいつらやってくれたなー」

「仕方ない。ここは本拠地に逃げ込んで籠城戦だーー」

「にげろにげろーー」


そんなことを大声で叫びながら逃げ込む海賊たちを残念なものを見る目で冒険者たちが見送る。


「……酷い棒読みだったな」

「ああ。あれじゃあ、何か罠を用意してますよって言ってるようなものだな」

「でもまぁ、分かっていても飛び込むしかないんだけどね」

「爆弾は全部使っちまったからな」


警戒しながらも突入を開始する冒険者たち。

海賊たちはじりじりと後退しながら攻撃を仕掛けてくる。


「くっ。ちまちま飛んでくる弓と魔法がウザい!」

「戦力的にはこっちが上なのになかなか進めないな」

「やっぱり、こういう時に有効な武器って言ったら、これかしら、ねっ」


冒険者の一人が手のひらサイズの丸い何かを海賊たちへと放り投げる。

「また爆弾か!?」と慌てた瞬間、カッと閃光を放った。


「ぐおぉ、目がーーっ」

「くそっ。フラッシュグレネードか!?」

「光魔法を封入した魔道具の威力はどう? これも要塞戦の定番でしょ。はっ」


いつの間にかサングラスをかけた冒険者たちが、盲目の状態異常になった海賊たちを襲撃しこれを殲滅。一気に指令室まで駆け抜けた。


バンッ

「さあ追いつめたわよ、海賊たち。観念しなさい」

「ふっふっふ。よくぞここまで辿り着いたな、冒険者たち。

ここをお前達の墓場としてくれようぞ!」


指令室に居たのはたったの5人。対して冒険者たちは20人を超えている。

普通に考えれば海賊たちに勝ち目はない。

だが海賊たちに悲壮感はなく、むしろ勝利を確信しているかのようだった。


「全員攻撃開始!」

「「おおっ」」

「返り討ちにしてくれるわ。やれっ」

「「へいっ」」


ぶつかり合う冒険者と海賊たち。

流石にここに残っているだけあって海賊たちもトップクラスの戦闘力の持ち主だ。

指令室が狭いこともあって粘り強い戦いを見せた。

しかしそれでも数による消耗の差は覆すことが出来ず、1人2人と倒されていった。

残るは大将と思われる海賊が1人だけ。


「さああなたで最後ね」

「くっ。みすみす奪った鉱石を取り返されてなるものか。

こうなったら拠点ごとお前たちを海の藻くずにしてやるわっ!!!」


海賊が後ろ手に何かを操作すると砦内にアナウンスが流れ始める。


『自爆装置が作動しました。

この拠点はあと10秒で爆破します。

内部に残っている人は速やかに退去してください』

「10秒でどうやって退去しろっていうのよっ!」

『爆破まであと8、7……』


思わず入ったツッコミを無視してカウントダウンは進む。

冒険者達は慌てて砦の外へと逃げる。

と見せかけて、こっそり指令室の奥へと向かう海賊の後を追った。

それを見て慌てる海賊。


「なっ。お前達なぜ逃げない!?」

「逃げてるわよ。というか、あなたが向かってる先に脱出路があるんじゃないの?」

「ギクッ」

「という訳で私達もそれに便乗させてもらうわっ」

「くっ。こうなったら本気で心中してやるわ」

「あら、という事は本当に脱出路があるのね」

「え、ちょ。騙したなーー!」

「騙してないわよ。カマかけただけ」

「そんなだから性悪女って呼ばれてるのよ」

「……ちょっと、そう呼んだの誰?」

『……2、1』

「って、あっ」

ずどどどーーーんっ


海賊の言葉に足を止めている間に、無情にも砦は爆発を開始するのだった。


◇◆◇◆◇◆


「たーまやー」

「いやいや。あっちは多分それどころじゃないから」


対岸の爆発を呑気に観察するダンデ達。

そこへ、砦攻略班から連絡が届いた。


『こっちは終わったわよ』

『お疲れ~。こっちからでも盛大に爆発してるのが見えたぞ。それで無事なのか?』

『何とかね。自爆装置も一気に全部が崩壊するんじゃなくて、司令部は遅れて爆発するようになってたみたいだから。

今は地下の脱出路から水路で島の外に抜けるところよ。

そっちは?』

『全く問題なし。そっちの連絡待ち、というか爆発待ちだったから』

「よし、攻略を完了させてくれ」

「あいよっ」


メンバーの一人が本拠地の攻略を完了させると、アナウンスが流れた。


【特殊クエスト『輸送船を襲う海賊を討伐しろ』をクリアしました。

報酬として討伐に参加した皆様には海賊が奪った鉱石がイベント終了後にアイテムボックスへと送られます。

また特別報酬として以下の機能を変更します。

・イベント中のアイテムボックスに鉱石を収納できない制限を7月30日最終日に限り解除します。

・鉱石ダンジョンのボス部屋ならびに第11階層以降のレアメタルの採掘率を大幅に引き上げます。


そのアナウンスの内容に目が点になる冒険者達。


「第11階層って……」

「あのダンジョン第8階層までじゃなかったのかよ」

「パンフレットには第8階層までが下層って書いてあったのに」

「そう言えば、あのパンフレットを書いたのって町の観光案内所で、冒険者じゃないんじゃないかって話があったな」

「つまり書いた人は第8階層までしか行ったことが無かった?」

「いや、今はそんなことどっちでもいいだろ。

とにかく早く戻って採掘に行くぞ」

「「おおっ!!」」


後書き日記 リース編


7月29日


お休みを貰ってみんなで水竜の泉に遊びに行った後。

1日休んだ分、後半戦頑張ろうって気合を入れてきたのですが……。

なぜか2日続けてダンジョンに潜ってくる冒険者が激減してます。

別に売り上げ目標がある訳ではないので、暇でも良いのですがちょっと肩透かし感がありますね。

何かあったんでしょうか。

そう思って立ち寄ってくれた冒険者に話を聞いてみたところ、主要な攻略クランが軒並み海賊討伐に向かっているそうです。

しかも海賊もプレイヤーがやっているそうです。

うーん、盗賊プレイヤーの話は良く聞きますけど、海賊まで居るんですね。

ただその為に今採掘に来ているメンバーは船の乗船人数的にあぶれた人が中心なんだそうです。


その話を聞いた後、冒険者ギルドにも行って詳しい話を聞いてみました。

するとこの島の東側にある禁戒島が海賊たちの拠点になってそうだというお話を聞けました。

って、そこまで分かってるなら島の人たちで討伐に乗り出したりってしないんでしょうか。

……なるほど。島に実害がない限りはノータッチなんですね。

まぁ海賊もプレイヤーだって事ですから、現地の人たちが積極的に動くのも変な話ですよね。

これもイベントに一部って可能性もありますし。

私達も今は現地サイドですから、手出し無用でしょうね。


後は、あぁ。

ウィッカさんのバーは相変わらずお弁当を求める行列が絶えないですね。

あの人たちにしてみたら、海賊なんかよりも彼氏もしくは彼女が優先でしょうから。

お弁当が食べたいだけって可能性は否定はできないですけど。


さて状況も分かったし戻ろうかなと思ったところでアナウンスです。

えーー。

せっかくここまで隠してたのに第11階層の情報出しちゃうんですね。

今日を含めてもイベントはあと2日しかないとはいえ、これは大変なことになりそうです。

言ってるそばから町中のプレイヤーが我先にとダンジョンに向かっていきますし。

あ。お弁当の行列だけはそのままですか。ブレないですね。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙い [一言] ロマンだし、ついでにイベント拠点なら自爆も惜しくない
[気になる点] 主観ですが主人公のカイリが出なくなって以降、 読んでいて誰がしゃべっているのか分かりにくくなりました。 今回の話が特に顕著だと思いましたが、 登場人物の特徴も短期間に代わりすぎてつかみ…
[一言] どうなるのやら
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