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Ⅴ-楽太郎27歳

 お裁縫ついでに、落下防止ネットを作っている楽太郎の元にまた人が落ちてきた。残念ながら14日で、谷を覆うネットは完成しなかったため魔法で受け止める。今度のは、珍しいものだった。髪は金髪でキラキラしていたが肌は褐色だ。そして耳は長く尖っている。エルフの特徴を受け継いでいるようだ。

 だが、ダークエルフとナチュラルエルフの2種属を受け継いでいる。ナチュラルエルフは、肌が透き通るほど白く金髪。反対にダークエルフは、肌が褐色で銀髪・もしくは藍色。先祖返りか、愛ゆえのか…楽太郎はわからない。見ると左腕が骨折しているようだ。添え木をし治療を施し、毎度お馴染みのスープを作りに取り掛かるが、エルフは肉を食べないことを思い出した楽太郎は以前のスープをベースに薬草中心のに変えた。

 少し緑臭いがスープが完成した頃に彼は目を覚ました。


「うぐ…」

「起きたか…ほれエルフでも食せるスープだ」

「あ、ありがとうございます」


 割と落ち着いている【Five】と心の中で名付けた彼を見た。片腕で美味しそうに薬草スープを味わっている。


「聞かないんですね。自分のこと」

「ん?ここに来る奴は何かしら抱えているからな。無理には聞かないよ、ファイブ」

「ファイブ?」

「あーすまん。忘れてくれ」

「気になりますよ。教えてくれたら俺の身のうちも教えますから」


 楽太郎は、自分は長くここに住んでいて定期的にファイブみたいのが落ちてくることを話した。その都度、番号で名をつけていた事も話した。

 お返しとばかりにファイブも話した。推測通り、彼はナチュラルエルフとダークエルフの混血だった。両親は本当に愛し合っていて彼も幸せだった。しかし、彼の存在はエルフ間では許せるものではなく戦争の引き金になりうるらしい。何故なら、ナチュラルエルフとダークエルフとの間には長い間争いが絶えないからだ。母はナチュラルエルフ側に引き戻され、父はダークエルフ側に裏切り者として私刑された。彼は命からがら逃げ出し身をダンジョンに隠そうと思い…足を滑らせ落ちたと言う話だ。


「大変だな…お前」

「えぇ、すいません。しばらく自分を置いてはくれませんか?自分にできる事はします」

「じゃあ食糧調達を頼む」


 奈落の魔物は高レベルのが多いがファイブは、三分の一の種の魔物を倒す力を手にした。そして1年半が過ぎた頃。彼の体に変化が起きた。ファイブのダークエルフと言われる褐色の肌の色が抜けてきているのだ。楽太郎はもしやと思い、ファイブに聞いてみた。


「なぁ、ファイブ。ナチュラルエルフとダークエルフの文化的な違いは何かあるか?肌に何かすり込むとか…」

「うーん、あ!ナチュラルエルフは肌を隠す服装を多くしますね。対してダークエルフは、肌を露出させて日焼け止めの薬を塗ります」

「これは仮説なんだが…ナチュラルエルフとダークエルフは元は同じ種族なんじゃ無いか?日に良く浴びたエルフがダークエルフに、反対に浴びない者はナチュラルエルフに…」

「え、いやそんな単純な…でも、現に僕の肌は褐色を失ってきている。もしもこれが事実だとすれば…!」

「エルフ界がひっくり返るぞ…!」


 できる限りの研究をまとめレポート化していく。父と母の無念を晴らすためとあって鬼気迫るものだった。奈落にある設備だけで研究したがやはり材料が足りない。ファイブは奈落を出る決意をした。


「ラクタロウさん、俺!」

「あぁ、真実を解き明かしてこい」

「あ、ありがとうございます!真実を解き明かしたらまた来ます!」

「覚えていたらでいいぞ」


 楽太郎は土産に薬草中心に作ったスープを持たせた。そしてファイブはクリスタル眼鏡を着けると、楽太郎が作ったエレベーターで地上付近の階層まで昇って行った。

 それから数年後【肌の色なんて些細なこと・血は同じ】という論文が発表されエルフ界のみならず人間界にも衝撃が走った。元々、エルフは1種属であったが肌が弱いものが現れ始めた。それに対抗すべく、肌を隠すか薬を塗るかで進化し2種属に分かれた…という内容のものだ。

 その論文の信憑性をだす為に各地のエルフの里をファイブが周っている時、楽太郎の元にも何かが落ちてきた。

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