Two story 【Ⅱ】
いつものように、トゥーが高級素材を持ってくる事を待っていた受付嬢は、ギルドに出勤すると雷を打たれた衝撃を受けた。
「え?トゥーさんがギルドを抜ける?本当ですか⁈ギルド長!」
「あ、あぁ。何でも依頼の最中に偶々、公爵を救ったとかでな。王族に呼びかけて爵位を承ったらしい。それに伴って最後の依頼を受けてギルドを抜ける、と連絡があった」
トゥーが最後に受けたという依頼書を見る。
『国に害をなす可能性の魔族の排除』
国からの依頼で成功報酬は高額。しかし、上前が跳ねられそうな素材の捕獲の依頼ではなかった。受付嬢は泡を吹いて倒れた。
残念ながらトゥーは、依頼を失敗したが貴族になった。しかし、元奴隷の性分かはたまた人柄かじっとはしてられなかった。貴族としての仕事をしながら再び冒険者をするようになった。今、話題になっている眼鏡の刺繍が施されているギルドの門を叩いた。
〜〜〜
その頃、トゥーがいたギルドの受付嬢は落ちぶれていった。贅沢生活の癖が抜けずいよいよ借金までするようになり、如何わしいお店に出入りしていた事もありギルドをクビになった。
「ふっざけんじゃないわよ!だーれが、あの薄汚いガキをSランクにしたと思ってんのよ。ワ・タ・シが、依頼を選び抜いたからじゃない!」
そばに落ちてた小石を蹴ると前にいた男に当たった。
「イッテなぁ!このくされアマ!×××で××するぞ、ゴラァ!」
「何よ!」
2人は取っ組み合いを始めた。そして、お互いに疲れた時に目の前に新聞が飛んできた。
《冒険者から貴族になった【神足のトゥー】様!新規ギルド加入でも大活躍のご様子!》
その新聞を見た瞬間、2人の目はカッと開き
「あぁー!この女‼︎キー」
「この餓鬼、あん時の‼︎」
うん?とお互いを見る。
「どうやら考えは同じのようね」
「そうだな」
2人は力強く握手した。
〜〜〜
トゥーが門を叩いたギルドは出来立てながらとても居心地が良かった。職員は分け隔てなく接し、公平な査定額を提示した。実はトゥーは、前の受付嬢が上前を跳ねていた事は知っていた。道具を買いに武器屋に行った時に、自分が卸した物が売られていたからだ。何故判るというと、こっそり【T】の字を入れていたからだ。ある日、ギルド長からお呼びがかかった。
「入ります」
「あ、すいません。本来なら貴族の方に対しては、こちらから伺わなくてはいけないのに」
「構いませんよ。ここでは私は雇われているに過ぎません」
「ありがとうございます。トゥーさん、」
「はい、何でしょうか」
沈黙が部屋を包む。ギルド長は机からクリスタルで出来た眼鏡を出した。それを眉一つ動かさず見るトゥー。
「これは私にとって大切な眼鏡です。ある人物から、ギルドを建てる際に資金の足しにするように言われた物です。これに見覚えはありますか?」
「…Rakutarou」
「やはり、ラクタロウさんの話は本当でした。初めまして姉さん、妹にあたるフォーです」
2人は時間を忘れて話した。長男にあたるワンの話をした時はフォーはひっくり返った。