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I-楽太郎19歳

 【奈落】に住み始めて2年になる。楽太郎は知恵を絞りダンジョン内の暮らしを改善していった。地下水が滴り落ちる場所に穴を掘り水を溜め、それが一杯になったら1日とカウントするカレンダー。これは自身の脈を使い、ポタポタと垂れる間隔がピッタリ1分で60回と判ったからだ。あとはひたすら数を数え、それでおおよその1日のサイクルを作った。他にもここはダンジョンと言うだけあって、素材には困らなかった。姿を隠し同士討ちさせておこぼれを貰ったり、暇つぶしに狩りごとの真似もした。そんな毎日を過ごしていたある日のこと。


「?何か上で光ったのか?地下深くのこの場所に光が差すことは無いはずだが…」


 だが確実に何かが落下する音が聞こえる。お気に入りの『スライム ベット』を、落下地点と思しき場所に置くと…


バッシャーン!!


スライム ベットを破壊して着地した。お気に入りだったのに…と思いながら落ちて来たその人物を見ると幼い男の子だったが身体中怪我だらけ。ダンジョンに生息している薬草やら日本での医術(骨折の治療)を施し1ヶ月。ようやくその男の子は目をすぅーと開け…


「うわぁああ、人間だ!あっち行け!」

「仮にも命の恩人にそれは無いんじゃないか?」


 身体を動かせないなりに言葉で威嚇して来た。昨日の残りのスープを元に新しく作り、それを飲ませて落ち着かせ話を聞く。


「先程はすいません…取り乱しました」

「構わないが俺のことを人間と言ったな?何故?」


 聞くとなんとこの子は魔王の息子で、勇者に拐われた姉と妹を取り返そうとし失敗。拷問されここに捨てられたそうだ。


「僕たち魔族は平和に暮らしていました。だけど、2年前に人間のある国で勇者を召喚して僕たちの国に襲いかかりました」

「…?質問いいかな。魔王とその人間の国の戦争て、人間からの宣戦布告なのか?」

「当たり前じゃないですか。元々、人間が魔界の豊かな資源を得るために起こした戦争ですよ?父は平和に国を納めたいだけだったんです。でもその国はそれを…」

「無理に言わなくていい。で、君はどうするんだ?」

「必ず姉と妹を取り返し、勇者に復讐し祖国を復興させるんです!」

「そうか…なら俺を殺せ」

「何故ですか?貴方は命の恩人です」


 楽太郎は自身の身の内を開け自分も2年前の集団転移の勇者の元仲間だとも伝えた。少年の目には迷いが見える。


 この人もあの勇者と同じ?全然違う!この人には父のような優しさがある。あいつらとは違う。


「出来ません。貴方はあいつらとは違います」

「そうか…まぁその怪我が治るまでゆっくりするといい。名は…?」

「カテーテル・ネクロ」

「魔王の息子とバレるとまずいから暫くの間【One】と名乗れ」

「その名前の意味は?」

「ただ俺と最初にこの地下で話したから【1】を表す名を付けただけだ」


 その日からワンと楽太郎の生活は始まる。王族とあって家事など最初は出来なかったが、楽太郎は根気よく教えた。お返しとばかりにワンは、楽太郎に魔法の基礎を教える。力をつけるため高レベルの魔物とも闘った。時には楽太郎と組み手を行い対人戦も慣れいった。将来的に必要だろうと、将棋を通して戦術も教えた。そんな日を2年続ければ、お坊ちゃんだったワンも1人前の面構えをする様になり、ある程度なら生き延びれる強さになった。


「だいぶ強くなったな、ワン」

「これもラクタロウさんのお陰です」

「お前の努力だよ」

「ありがとうございます。復興出来たら迎えに来ますね」

「来なくていいよ。俺はここが気に入っている。いきなり陽の光を見ると目がやられるから、この色付きクリスタルの眼鏡をして行きなさい」


 楽太郎はクリスタル眼鏡を渡し、隠し扉を開け階段を見せた。


「あとこの階段を上れば、上層階までショートカット出来る。使いなさい」

「この階段は…?」

「元々ここはダンジョンの階層から外れた位置にあるんだよ。保管庫を作るつもりで掘ったら、ダンジョンのボスクリア後の道に当たってな。上れば地上、下ればボス戦だ」


 ワンは頷くと駆け足で階段を上って行った。


「行っちまったか…あの子なら大丈夫だろう。さっ、ワンに教わった魔法の訓練でもするか!暇だし」


 ところがその14日後、また人が落ちて来た。

基本、このような感じで進めていきます

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