Two story 【Ⅰ】
長い階段を前に、トゥーは上へ行かず下…つまりダンジョンボスの部屋へ裏から入っていた。そこにはダンジョンボスに相応しい魔物【ドラゴン】がいた。
『む?人間の餓鬼よ何用に参った?』
「貴方を倒しに来ました」
『そうか…礼儀にのっとり全力で相手を致そう!』
「望むところです」
闘いは3日続き、とうとうドラゴンが地に伏せた。
『我の負けだ。さぁ、勝利の報酬を受け取れ』
ドラゴンからアイテムがドロップされるとそれを拾い印を付け今度こそ地上に向かうトゥー。楽太郎から貰った装備を確認し最寄りの街のギルドに来た。
「冒険者登録がしたいです」
「あの〜君には少し早いんじゃないかな?」
受付嬢にそう言われ、先程のドラゴンのアイテムを見せた。
「先程、狩ってきたドラゴンです。これでもまだ足りませんか?」
頬をヒクつかせながら受付嬢は、ギルドカードを発行した。但し、今回の持ち込み素材はトゥーの手柄ではなく拾ってきた物と処理された。そういう所でこの受付嬢は小遣い稼ぎをしていた。
(ラッキー♪欲しかったブランドものが買える♪)
「はい、冒険者登録が済みました。これがカードです」
「先程出したアイテムを換金して欲しいのですが」
「アレは処理が適切でなかったので、ギルド登録料で相殺されます」
受付嬢を軽く睨むとトゥーは依頼が貼られた掲示板に向かった。最低ランクの依頼【薬草摘み】の紙を剥がし受付嬢に渡し、ギルドを後にした。
順調に依頼をこなしランクを上げていくトゥー。合間にだが奴隷解放の方にも余念が無い。その間にもあの受付嬢は上前を跳ねていた。5年経つとトゥーはSランク冒険者で美しい女性になり、片や例の受付嬢は美しいと言うよりは成金趣味満載の姿になっていた。
「この依頼を受けます」
「あ、これですね〜。…これよりもこっちの方がトゥーさんにはお似合いですよ」
それはランクよりも、報酬金額が多く現物での納品の依頼だった。
「わかりました」
「はい、いってらっしゃいませ〜」
(クフフ、貴方は私のために働きアリになりなさい!)
だが、受付嬢のこの幸せはトゥーが冒険者を始めて6年目で終わりを告げる。
続編希望の方がいたのでもう少し頑張ります(^-^)